『第2章 太く長く生きるための食べ方』の 「人間より体温の高い動物の肉は血を汚す」を要約します。
新谷食事健康法では、穀物と野菜を中心の食事をし、肉、魚、乳製品、卵などの動物性の食べ物はなるべく少なく(全体の15%以下)するように指導している。
動物肉に含まれているタンパク質は、現在の栄養学では理想的なものが多く、腸内でアミノ酸に分解・吸収され、血や肉なるとされている。しかし、どんな食物でも必要以上にとり過ぎると、体にとって毒になる。特に、動物性タンパク質は大量にとり過ぎると分解・吸収が完全にできず、腸内で腐敗し、大量の毒素を作り出す。それに加えてフリーラジカルも作られる。こうした毒素やフリーラジカルを解毒するために腸内や肝臓で大量のエンザイムが消費される。
タンパク質の必要量は、体重1Kg当たり約1gである。体重60Kgの人で1日60gで充分。しかし、日本人の成人男子の平均で84.9gものデータが。これは、アメリカ人の摂取量に匹敵する。過剰に摂取したタンパク質は、最終的には尿として排泄されるが、それまでの間にいろいろな被害をもたらす。
まず、ムダなタンパク質は消化エンザイムによってアミノ酸に分解され、アミノ酸は肝臓でさらに分解されて血液に流れ込む。すると、血液が酸性に傾くので、それを中和するために骨や歯から多量のカルシウムが引き出される。そして、カルシウムと酸化した血液が腎臓でろ過され、余分なタンパク質は、大量の水分とカルシウムを道連れに排出される。そして、その間にも多量のエンザイムが消費される。こうしたタンパク質の過剰摂取が、「肉(肉の加工品を含む)」や「牛乳(乳製品を含む)」で行われた場合の健康被害は、さらに深刻である。なぜなら、こうした動植物に「植物繊維」が含まれていないことも、腸相の悪化に拍車をかける。
肉をたくさん食べて植物繊維が不足すると、便の量が減り、便秘や停滞便の原因になる。さらにそうした状態を放っておくと「憩室」と呼ばれるポケットのようなものが腸壁にでき、そこに毒素や停滞便がたまり、ポリープやがんの原因になる。このことは、「魚」であっても、過剰摂取が健康被害をおよぼすことは同じ。しかし、魚中心の食事をしている人は、どんなに腸相が悪くても、「憩室」ができることはない。
この違いは、肉と魚、それぞれが持つ「脂肪」の質の違いではないか。その違いは、飽和脂肪酸が体に悪く、不飽和脂肪酸はコレステロール値を下げるなど体にいいと言われているが、人間の体温を基準にして、体温の高い動物の脂は悪く、体温の低い動物の脂はよいという考え方である。
人間より高い動物の脂は、その温度で最も安定した状態であるが、それが人間の体に入るとベタっと固まってしまう。この脂のべたつきが血液をドロドロにしてしまっている。このことを「血が汚れる」という。一方魚の脂の場合、人間の体内に入ってきたら、温度が高いので融けてさらさらの状態になる。魚がもつ脂が血液をサラサラにして、悪玉コレステロールを下げるのはこのためである。ですから、同じ動物性タンパク質でも、魚でとった方が人間の体にはるかにいいということである。