これまでお話しした痔瘻は、肛門腺部を一次口とし、内外括約筋の間に原発巣を持つ、クリプト=グランデュラー・インフェクション・セオリーと言われる法則に基づいたものです。大半の痔瘻はこれです。時に番外編があります。炎症のある場所を一次口とするものです。通常の痔瘻を見慣れた我々に、「あれっ」と思わせる不思議な痔瘻です。炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)の部分症状として現れることもあります。腸やおなかの不調に先行することもあるので、私たち大腸肛門病専門医が「あれっ」と思うときには、十分な観察をおすすめすることがあります。何年もかかって、やはり炎症性腸疾患だったと診断が付くことも、実はよくあることなのです。(初出7/1/2009)
室内点景。緑の小さな花瓶もいいですね。
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