昨日の朝日新聞朝刊1面に小学6年生の男の子が40センチほどに伸びた髪を切ってもらっている写真が出ていました。大呂遼平君です。卒業式を控えた2月28日の写真です。
男の子が40センチの髪?
遼平君は癌治療や脱毛症で髪に悩む子ども向けのウイッグを作る髪の寄付(ヘアドネーション)をするために4年生から伸ばし続けたのでした。
小学生新聞で髪の寄付のことを知り、病気で困っている子のためにできることをしたいと思ったのです。
一つには、同級生に病気で髪を失くした子がいたこと。
そして妹が難病で苦しんでいること。 が動機になったのでした。
朝刊29面には、大呂家の家族紹介記事がありました。妹が難病で助けることも難しい事態にまでなったことがありました。遼平君は1年生でした。骨髄移植をする以外に、助ける方法はなく、血液型が一致するのは遼平君しかいませんでした。まだ幼い遼平君にきちんと説明しました。「怖くて泣きそうになりながらも」妹が助かるのならと納得して提供しました。その後、肺も移植しなければならなくなり、父と母がひとつづつ提供しました。
今、退院し、リハビリに励んでいるのだと言います。
病気で苦しんでいる人のために、髪を伸ばそう。決心して実行した遼平君の意志の強さ。女の子みたいと馬鹿にされたこともあったとも言っています。それでも自分の決心は変えませんでした。周りと違うことはこんな目で見られるという事なんだ、と身を持って体験しました。今は、辛い思いをすることは人にやさしくなれることと思っています。
遼平君のぶれない生き方、他人を思いやる気持ち、不幸とも考えられる病気の子を抱えた家族の生き方、幼い子でも、キチンと話して、自分でどうするか決めさせたご両親の態度、本当に心打たれます。
記事にはなっていませんが、私にはこんな思いが沸き起こりました。髪を伸ばし始めた遼平君に対する、担任・他の教師の対応の仕方を想像するのでした。もしかしたら、「男の子が髪を伸ばすなんて校則違反だ。切らせろ」というような取り締まる意見もあったのではないでしょうか。学校側、担任、他の子の父母、などがどのような態度で接したかということです。書いてある文面からは、どなたかが上手く取りまとめられたのだと思います。
先日来、「校則」について肯定・否定の意見が声の欄等に載っていますが、四角四面にその縛りを使わなかったのは、良かったことでした。