諦めない教育原理

特別支援教育は教育の原点と聞いたことがあります。
その窓からどこまで見えるか…。

163 近未来からの風#2 状況と感じ方

2021年12月18日 | 近未来からの風
久しぶりのテント泊 八ケ岳 連峰の東の中央付近 みどり池登山口

いつの時代でも、未来は予測できないものである。
しかし、現在から見通す未来は、これまでの「未来」と違うのではないか。

それを私たちは予感しつつあって、各種の世論調査で「将来は今より良くなる」と答える人が少ない。
下の図は「18歳意識調査」(日本財団「18歳意識調査」第20回 テーマ:「国や社会に対する意識」(9カ国調査))である。

図1 Q あなた自身について、答えてください。


図2 Q 自分の国の将来についてどう思っていますか。


この年代(18歳)に特化した調査だが、同じ傾向がみられる。
調査は10年以上前のものだが、この傾向は大きく変わっているとは思えない。
少なくとも現在は30歳前後のこの世代の18歳現在には、近未来からの風を心地よく感じていない。

これらの結果は、もちろん学校教育の責任ではない。教育を含めた社会の実態とそれに伴う空気感の表れと言えるだろう。

ところが、この国際比較の中の低調さに比して、別の見方で日本を見ると、GDPは世界第3位であり、エネルギー消費は世界第5位である。人口は世界第11位であることを考えると、日本国民一人あたりは一般に豊かで、贅沢にエネルギーを使っているということになり、ハッピーであっても不安な条件ではないのである。

この点が興味深い。人心と経済統計上のデータとのかい離である。これも今日の問題といえるだろう。
(ちなみに幸福度のランキング(これも基準によるのだが)は50位にも入っていない。)

以前にも紹介した学習指導要領(高等学校 総則)の記述、
 
今の子供たちやこれから誕生する子供たちが,成人して社会で活躍する頃には,我が国は厳しい挑戦の時代を迎えていると予想される。生産年齢人口の減少,グローバル化の進展や絶え間ない技術革新等により,社会構造や雇用環境は大きく,また急速に変化しており,予測が困難な時代となっている。

という「見通しのつかなさ」をすでに私たちはブルーな気持ちとともに共有しているのかもしれない。
早くも「近未来からの風」を感じながら、先読みをしているような。
何しろ、未婚者が、家族をもち子育てをする前提で終身保険に入り、住居には30年先まで続くのローンを組むのが普通なのだから、未来の変化は想定していない。

しかも、この風はすべてがグローバルな国際情勢と連動して吹くもののと分かってしまうからなおさら無力感に陥りやすい。
その結果、「自分で社会を変えられると思う」18歳が極めて少ないことにつながっている。

だだ、ここで疑問がわく。
日本より積極的で、楽観的な国も、グローバルな国際情勢にあって、同じ条件下であることも多いことである。
どの国でも、「厳しい挑戦の時代を迎えていると予想される」のである。
むしろ日本はこれまでの努力によって、有利なこのも多いはずだ。
そのわりに、18歳(たぶん私たちも)の自己肯定感は何でこんなに低いのだろう。

もしかしたら、考え方、感じ方の問題のようにも思う。
空気を感じ過ぎ、風の読み過ぎているのだろうか。
もし、そうだとしたら学校教育の課題でもある。

次回は、風の源をつきとめたい。



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