TDY、Temporary Duty。アメリカの軍隊用語で出張を意味する。世界の僻地の出張記録!TDYの次は日常の雑感

現役時代の出張記録。人との出会いと感動。TDY編を終え、写真を交えた日常の雑感を綴る。

折々の写真&雑感 488

2024年06月16日 | エッセイ
 誰も信用していないにも拘らず、自分はカメハメハ大王の血を引く子孫だと云い張っている友人のことは既に何回か書いた。彼は大学を卒業後に日本航空に就職し、フランスとアメリカ(主にアラスカ)の駐在員を永く務めた。北海道に勤務地を移されてしばらくしてから退職してしまった。ハワイから花を輸入し、それを北海道中に売るために退職したらしいが、友人の誰もが残念がっていた。それに南国の花を北海道に売る発想を疑問視した。彼はカメハメハ大王との強い繋がりがあるから花の輸入には自信があると胸を張っていた。

 次に彼と再会したのは神田の小さい事務所だった。北海道の何かの団体の東京事務所の代表だと云っていたが、その事務所には彼一人しかいなかった。「花屋はどうなっているんだ?」と聞くと、完全につぶされたと悔しそうな顔をした。それも競争相手につぶされたのではなく、北海道のヤクザに潰されたのだそうだ。花とヤクザとはどうしても結びつかなかったが、彼の説によると、後で知ったことだが北海道の花屋の業界はヤクザが取り仕切っているのだそうだ。

 サンプルに二十種類ほどの花をハワイから送って貰い、北海道中のめぼしい花屋に見て貰った。どの花屋も非常に興味を示し、すぐにでも商売に取り掛かりたいほどの評判だった。彼は退職金と今までにシコシコ貯めた預金のかなりの部分をつぎ込んでハワイから花を仕入れた。花の流通はセリにかけられたた後で花の小売店のもとに届けられるのだそうだ。そのセリを取り仕切っていたのが北海道一の勢力を持つ何とかいうヤクザだったらしい。而し、それを競り落とす花問屋は一社もなかった。あのように評判の良かった花を誰も買おうとしないのはおかしいと、彼は彼なりに調べた。そして、なんとかいう組のヤクザにたどり着いた。

 彼は殴り込む勢いでその組の親分に交渉に行った。親分は彼の云い分を熱心に聞いてくれ、「お前さんの花を扱えるようにしよう」と云ってくれたが、それから先には全く進まなかった。何回交渉に行っても同じだった。最初に輸入した花はしおれ、売り物にはならなかった。ヤクザの親分の話を信じ、次を仕入れたが同じことだった。借金をして三回目を仕入れようとしたが、それが旨く行かなければ家族ともども路頭に迷う心配があった。彼は「お前な、どんなに人の良さそうな奴でも、ヤクザはヤクザだ。彼らを信用するなよ」と寂しそうに私に云った。

 以下は深川江戸資料館の写真であるが、全てを撮るのに20分もあれば充分だった。入館料が400円だったが、無料でも再度行きたくなるような撮影場所ではなかった。おまけに地下鉄の出口を間違え、かなりの道のりを歩かされた。これは私が悪いのだが、それ以上にインターネットの案内用の写真に騙され、過度の期待感を持ったことにもっと腹を立てた。