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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

根津公子の都教委傍聴記(3/26)

2015年03月30日 | 暴走する都教委
 ◆  「君が代」不起立処分、なぜ傍聴できない?!
 3月26日の都教委定例会で、卒業式で「君が代」不起立をした田中聡史さん(不起立処分連続8回目)に対する処分が決定される。また、今年1月の最高裁判決で減給処分が取り消された現職の一人に対し再処分が決定されるということで、傍聴は抽選となった。
 公開議題は、議案が「来年度教科用図書選定審議会の諮問事項について」、報告が「コミュニティ・スクールの設置状況について」のみ。
 ◆ 「来年度教科用図書選定審議会の諮問事項について」
 都(道府県)教委は義務教育諸学校において使用する教科書の採択にあたり、区市町村教委や校長の教科書採択事務について指導・助言・援助を行わなければならないと決められている(教科書無償措置法)。そのために、毎年度、審議会の設置が義務付けられていて、今日の議案は来年度の審議会で諮問してもらうことが提案された。
 来年度は中学校教科書採択が予定されているから、審議会は中学校教科書を調査研究するというもの。質問も意見もなく、議案は承認された。
 ◆ 「コミュニティ・スクールの設置状況について」
 「コミュニティ・スクールとは、『学校運営協議会』が設置され、教育委員会から任命された保護者や地域住民等が、一定の権限と責任を持って学校運営の基本方針を承認したり、教育活動について意見を述べたりできる制度を持った学校」(文科省)という。
 学校運営協議会は2004年、地方教育行政法に「教育委員会は・・・学校の運営に関して協議する機関として、学校運営協議会を置くことができる」と加えて発足した制度。
 教育行政に反対意見を持つ人がこれに任命されるわけはなく、公平性はない。

 文科省は2013年6月の教育振興基本計画において、「コミュニティ・スクールを全公立小中学校の1割に拡大」と目標を掲げたが、2014年度実施校は全国でたったの1919校(5%)。文科省は2015年3月の教育再生実行会議第6次提言において、「地方公共団体は、すべての学校での導入を目指す」とさらに目標値を高めた。
 それと関係するのかどうかの説明はなかったが、東京の設置状況が報告された。2014年度は小中1908校中238校、2015年度は262校(13.7%)(予定)とのことであった。世田谷区、八王子市、三鷹市で6割を占める。全く未実施の区市町村の方が多い。
 報告を受けて委員の発言は、どれも、コミュニティ・スクールを歓迎しないと受け取れるものばかり。
 「設置する価値があるのか。一度始めたから止められないのではないか。論議し、精査が必要なのではないか。」(竹花委員
 「学校と地域が連携するのはいいこと。しかし、片や学校選択制を言い、片や地域を言うのは自己矛盾を起こしている。」(遠藤委員
 「詳細な調査をしてほしい」(木村委員長
 「『教育委員会は…学校運営協議会を置くことができる』のであって、置かなければならないのではない」という発言もあった(誰だったか?)。
 「自己矛盾」と言った遠藤委員の発言には頷けた。しかし、氏は子どもたちを地域から離す学校選択制に反対はしてこなかったのに、それを棚に上げて第三者的にこう言えてしまう神経を疑った。
 また、木村委員長は2004年10月には教育委員長、その前は中教審の副会長だったのだから、この制度を作った側の責任があるだろうに、やはり、第三者的発言だった。
 普段、報告や議案に反対や否定的意見が出されることはほとんどないので、この件についての発言には何らかの意図があるのかと勘繰りたくなった。これらの発言を踏まえ、事務方は精査を開始するのであろうか。
 ◆ 処分を含む非公開案件に移るということで、傍聴者には退場指示が出された。
 しかし、言うべきことは言っておかねばならない。そう考える人たちは、「君が代処分を止めろ」等々言いながら退場した。教育委員一人ひとりに、「不利益処分を受けてなお不起立・抵抗を続ける教員がいるのはなぜか、処分は正しいのか」を考えてほしいと思いながら、必死に。
 また、傍聴者の一人は、「君が代不起立処分が気になって、それを傍聴するために来たのだ。なぜ傍聴できないのか」と職員に聞いた。初めて傍聴した人だった。「個人の人事案件だから」と返答する職員に、「君が代処分は単に個人の問題ではない。教育行政の問題であり、みんなの問題だ」と食い下がる。そして、非公開とできる根拠法の提示を求めた。
 それに対し、職員は教育委員会規則第13条を示した。「会議は公開する。ただし、人事に関する件、その他の事件について、委員長又は委員の発議により、出席委員の2/3以上の多数で議決した時はこれを公開しないことができる」。
 人事案件だから非公開と、傍聴を半ばあきらめていたけれど、「君が代」不起立処分は個人の人事案件にとどまらない。公開を要求していいのだと改めて気づかされた。
『レイバーネット日本』(2015-03-27)
http://www.labornetjp.org/news/2015/0326nezu
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