◆ <情報>福沢『脱亜論』の”真意”は
欧米諸国の日本嫌悪感や反感へイメージ払拭のためだったとの
NHK「歴史秘話ヒストリア」の再放送は26日(火)午後
皆さま 高嶋伸欣です
今回は<情報>と同時に<お願い=この再放送番組を厳しくチェックして下さい>
ということです。
20日(水)放送のNHK「歴史秘話ヒストリア」は「福沢諭吉センセイのすすめ」と題したもので、新聞の番組案内でも「学問のすすめ」などを通じて<近代日本人の心の持ちようをつくった偉人に迫る>とあったので、幾分かの期待感をもって視ました。
ところが、実際は史料を歪め、あるいは裏付の事実を提示しないままで個人的な思い付きの推論をもっともらしく見せかけた福沢諭吉絶賛の”トンデモ番組”でした!
このままではこの番組が、目下大流行の視聴覚教材にされたり、教科書検定で福沢擁護論に悪用されたりしかねないと危惧しています。
*本日まで、歴史学あるいは歴史教育の分野のどなたかが問題提起をされるのではと待ちましたが、オンライン授業等などで多忙のためか、いまだに提起がありませんので、私(�茵砲�鶺�C気擦督困�C海箸砲靴深∥茲任后」
同番組の再放送がNHKの予告によると、5月26日(火)の午後3時5分~55分とされています。まずは多くの方にこの番組を視聴して頂いて、その内容に問題があるかどうかを精査して頂きたく思っています。
この再放送の案内を、時間的余裕をみて本日中にしたいと考えて、このメールを発信しています。
26日の再放送で同番組を視聴されたところで、感想・意見等を示していただければ幸いです。
*以上が、本メールの<情報>と<お願い>です
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
*以下は、同番組を私が”トンデモ番組”と評価するに至った主要な問題点です。
第1に、冒頭部分での『学問のすすめ』の出だしを引用した字幕では「天は人の上に~」の下りの末尾「と云えり。」を削除するという小細工をしています。「天は人の上に~」は「と云えり。」までが一文なのです。伝聞として得た知識であることを福沢は正直に表現しているのを、いかにも福沢自身の見解であると誤解させてきた従来の手法を踏襲するという、小細工を仕組んでいます(本論で再度この出だし部分に言及しているところでは、さりげなく「云えり」まで引用しています)。
この福沢の見解と誤解させる手法は戦後長い間広く用いられ、歴史教科書や副教材の資料集の解説などでも「云えり」まできちんと言及しているものは多くありませんでした。
それが、安川寿之輔著『福沢諭吉のアジア認識』(2000年、高文研)の出版などを機に、大半の教科書では「~云えり。」まできちんと記述して、児童生徒などが福沢による西洋文化の受け売りであると気づけるようになっているのが現状です。
福沢は、確かに幕末・維新の頃の日本社会を開明させる上でかなりの役割を果たした人物ではありますが、男尊女卑(女性には男性と同等の教育は必要ないとして、娘にそうした教育を受けさせていないし、慶應義塾は男子学生のみでした)の枠内での「天は人の上に人を造らず」でした。
日本人女性の売春(からゆきさん)を、「人間社会には娼婦の欠く可らざる」と「欧米諸国でも認められているのだから恥じることではない」旨を公言した(『福沢諭吉全集』15巻362p)ほどの「西洋かぶれ」ぶりであることが、この「~と云えり」から読み取れるという意味でも、疎かに扱ってはならない部分のはずです。
第2に、番組では「一身独立して一国独立する」を「実学を一人一人が学ぶことこそ一国の独立の基礎となる」といかにも教育熱心の姿勢を示したものであるかのように説明しています。けれども福沢は『学問のすすめ』第三編で「国のためには財を失ふのみならず、一命をも拠(なげうち)て惜しむにたら(ない)」との国家観を明示しているのです。
これは、教育勅語の「学を修め業を習ひ以て知能を啓発し徳器を成就し進んで公益を広め世務を開き常に国憲を重じ国法に従い一旦緩急あれば義勇公に奉じ以て天壌無窮の皇運を扶翼すべし」とほとんど同じです。
忠君愛国の皇民化精神を、それとすぐには分からないようにカモフラージュした、福沢の文才には、改めて感心させられます。でも、そのカモフラージュを今の時代に”再生産”して恥じないNHK「歴史秘話ヒストリア」のスタッフの見識には感心していられません。
第3の問題点は、極めつきです。『脱亜論』を戦前のアジア侵略の方向付けをしたとする批判は”誤解”であって、「当時の背景を見ることで福沢の”真意”が明らかになる」との前置きの下、慶應義塾福沢研究センターの准教授・都倉武之氏が、次のように語り通しています。
当時、朝鮮で開化派が引き起こした甲申事変が失敗に終わった後、清がしきりに同事変は日本の陰謀だと宣伝をし、そのために欧米諸国の間で日本に対する嫌悪感や反感が強まったので福沢が心配し、日本を嫌いにならないでくださいとアピールするために、日本は欧米諸国と同じ価値観の社会であると説明する『脱亜論』を書いた!
上記の解釈を展開する間、番組中で都倉氏は根拠となる史料類を全く提示することなく、口頭で語っただけです。
寡聞にして初耳の福沢擁護論に思えます(慶応大学のHPで都倉氏の研究事績を見ても該当するものがありません)。
『学問のすすめ』の内容分析が主題の番組であるのに、なぜ『脱亜論』についてほとんどの研究者が本気で関心を示すとは思われない珍奇な説を、わざわざNHKは強調したのか、何とも不思議です。
*無視するのも一案ですが、やはりNHKゆえの”悪影響”を考えると、このままにできないとう思いです
*改めての<お願い>です。26日(火)午後3時05分からの再放送を見て、このままでいいかご検討下さい。
欧米諸国の日本嫌悪感や反感へイメージ払拭のためだったとの
NHK「歴史秘話ヒストリア」の再放送は26日(火)午後
皆さま 高嶋伸欣です
今回は<情報>と同時に<お願い=この再放送番組を厳しくチェックして下さい>
ということです。
20日(水)放送のNHK「歴史秘話ヒストリア」は「福沢諭吉センセイのすすめ」と題したもので、新聞の番組案内でも「学問のすすめ」などを通じて<近代日本人の心の持ちようをつくった偉人に迫る>とあったので、幾分かの期待感をもって視ました。
ところが、実際は史料を歪め、あるいは裏付の事実を提示しないままで個人的な思い付きの推論をもっともらしく見せかけた福沢諭吉絶賛の”トンデモ番組”でした!
このままではこの番組が、目下大流行の視聴覚教材にされたり、教科書検定で福沢擁護論に悪用されたりしかねないと危惧しています。
*本日まで、歴史学あるいは歴史教育の分野のどなたかが問題提起をされるのではと待ちましたが、オンライン授業等などで多忙のためか、いまだに提起がありませんので、私(�茵砲�鶺�C気擦督困�C海箸砲靴深∥茲任后」
同番組の再放送がNHKの予告によると、5月26日(火)の午後3時5分~55分とされています。まずは多くの方にこの番組を視聴して頂いて、その内容に問題があるかどうかを精査して頂きたく思っています。
この再放送の案内を、時間的余裕をみて本日中にしたいと考えて、このメールを発信しています。
26日の再放送で同番組を視聴されたところで、感想・意見等を示していただければ幸いです。
*以上が、本メールの<情報>と<お願い>です
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
*以下は、同番組を私が”トンデモ番組”と評価するに至った主要な問題点です。
第1に、冒頭部分での『学問のすすめ』の出だしを引用した字幕では「天は人の上に~」の下りの末尾「と云えり。」を削除するという小細工をしています。「天は人の上に~」は「と云えり。」までが一文なのです。伝聞として得た知識であることを福沢は正直に表現しているのを、いかにも福沢自身の見解であると誤解させてきた従来の手法を踏襲するという、小細工を仕組んでいます(本論で再度この出だし部分に言及しているところでは、さりげなく「云えり」まで引用しています)。
この福沢の見解と誤解させる手法は戦後長い間広く用いられ、歴史教科書や副教材の資料集の解説などでも「云えり」まできちんと言及しているものは多くありませんでした。
それが、安川寿之輔著『福沢諭吉のアジア認識』(2000年、高文研)の出版などを機に、大半の教科書では「~云えり。」まできちんと記述して、児童生徒などが福沢による西洋文化の受け売りであると気づけるようになっているのが現状です。
福沢は、確かに幕末・維新の頃の日本社会を開明させる上でかなりの役割を果たした人物ではありますが、男尊女卑(女性には男性と同等の教育は必要ないとして、娘にそうした教育を受けさせていないし、慶應義塾は男子学生のみでした)の枠内での「天は人の上に人を造らず」でした。
日本人女性の売春(からゆきさん)を、「人間社会には娼婦の欠く可らざる」と「欧米諸国でも認められているのだから恥じることではない」旨を公言した(『福沢諭吉全集』15巻362p)ほどの「西洋かぶれ」ぶりであることが、この「~と云えり」から読み取れるという意味でも、疎かに扱ってはならない部分のはずです。
第2に、番組では「一身独立して一国独立する」を「実学を一人一人が学ぶことこそ一国の独立の基礎となる」といかにも教育熱心の姿勢を示したものであるかのように説明しています。けれども福沢は『学問のすすめ』第三編で「国のためには財を失ふのみならず、一命をも拠(なげうち)て惜しむにたら(ない)」との国家観を明示しているのです。
これは、教育勅語の「学を修め業を習ひ以て知能を啓発し徳器を成就し進んで公益を広め世務を開き常に国憲を重じ国法に従い一旦緩急あれば義勇公に奉じ以て天壌無窮の皇運を扶翼すべし」とほとんど同じです。
忠君愛国の皇民化精神を、それとすぐには分からないようにカモフラージュした、福沢の文才には、改めて感心させられます。でも、そのカモフラージュを今の時代に”再生産”して恥じないNHK「歴史秘話ヒストリア」のスタッフの見識には感心していられません。
第3の問題点は、極めつきです。『脱亜論』を戦前のアジア侵略の方向付けをしたとする批判は”誤解”であって、「当時の背景を見ることで福沢の”真意”が明らかになる」との前置きの下、慶應義塾福沢研究センターの准教授・都倉武之氏が、次のように語り通しています。
当時、朝鮮で開化派が引き起こした甲申事変が失敗に終わった後、清がしきりに同事変は日本の陰謀だと宣伝をし、そのために欧米諸国の間で日本に対する嫌悪感や反感が強まったので福沢が心配し、日本を嫌いにならないでくださいとアピールするために、日本は欧米諸国と同じ価値観の社会であると説明する『脱亜論』を書いた!
上記の解釈を展開する間、番組中で都倉氏は根拠となる史料類を全く提示することなく、口頭で語っただけです。
寡聞にして初耳の福沢擁護論に思えます(慶応大学のHPで都倉氏の研究事績を見ても該当するものがありません)。
『学問のすすめ』の内容分析が主題の番組であるのに、なぜ『脱亜論』についてほとんどの研究者が本気で関心を示すとは思われない珍奇な説を、わざわざNHKは強調したのか、何とも不思議です。
*無視するのも一案ですが、やはりNHKゆえの”悪影響”を考えると、このままにできないとう思いです
*改めての<お願い>です。26日(火)午後3時05分からの再放送を見て、このままでいいかご検討下さい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます