介護現場から社会が見える
◆ 保険導入前に逆戻り
~自己負担型が増加するだけ (週刊新社会)
◆ 見直し ごとに
2000年に介護保険制度が発足して7期目に入ります。「介護現場から社会が見える」が私の持論ですが、ヘルパーになって15年、見直しごとに改悪の方向に向かっています。
今回出されてきた「介護予防・日常生活支援総合事業」とは、実際はどのように変わってゆくのでしょうか?
2025年に75歳以上がピークを迎え、●国の財政困難→●要支援(軽度)者は、自治体(市、町、村)に管理→●さらに利用者の自己負担を増額→●地域ボランティアの育成(無償)など、自治体ではすでに具体的構想が出されています。大都市では、すでに着手しているところもあるようです。
今回の改正内容は、すでに報道されていますが、2018年以降、次のようになります。
① 年収340万円(年金のみ344万円)夫婦年収463万円-3割負担
年収160万円以上(年金のみ280万円以上)-2割負担
② 要支援1、2の人は保険から除外され市町村事業として自治体に移行する。
福祉用具貸与価格の見直し。国が商品ごとに全国平均の貸与価格を公表。
「訪問介護」「通所介護」「短期間入所」「生活保護」は現行通り。
今回の「総合事業計画」は、社会保障の膨大なふくらみにかこつけて、「住民による支え合い」計画として取り入れられてきました。
そのことは聞こえはいいのですが、国がかかえる負担額を国民総がかりで、かかえてもらおうということです。この上限額にも根拠もなく、当初は一律1割負担が確約されていました。
一方、投げ出された自治体では3年ごとの変更によって業務に苦慮しているなかで、当初これに反対を唱えた自治体が60パーセント近くもあったといわれますが、まったく無視です。
たび重なる業務変更によってパニック状態なのが実態です。国は、大都市を見ているだけで地方の過疎地などの実態が充分把握できてないと苦情すらもらしているとこもあるそうです。全国一律の基礎方針すら提示されなくて、各自治体独自での対応するとのこと。
「訪問介護」のヘルパーのなり手がいない、人手不足を理由に「サポーター」研修育成に手がけ、無償ボランティアの育成に力を入れている。「身体介護」のみをはずして、女性なら誰でもできる家事支援の講習を受けさせるということです。
私のように2級資格を取るために、3カ月の講習と受講料10万円近くも払って許認可を受けた有資格者からは、逆に不満も出てきます。
さらに、利用者側も無資格者に「介護」をしてもらうことに不安をいだく人もいます。
◆ 産業化されている
一方、請け負う事業所も、居宅、通所サービスへの国からの補助金が減額されて、事業所が倒産、廃所に追いやられ、さらに受け入れを拒否する所も出てきています。
良心的な小さな事業所は排除、介護事業が「産業化」されていることは大きな社会問題です。
今まさに、介護保険導入前に逆戻りし、「支え合い」の美名のもとに国民に財政も労働力も負担させていこうという姿勢が見え見えです。
私はこれまで「熟年者ユニオン」の団体に参加し、対市交渉に臨んできました。
国の意向にそって、これからの自治体の方針も公的介護保険サービス縮小解体と、「自助」の名による自己負担サービスや、片側で企業の新たな儲け口拡大へと邁進してゆく過程を私たちは見過ごすわけにはいきません。
私の住む街でもすでに「NPO」「いきいきサロン」など地域を拠点に、2017年末で360カ所で実施されています。これにともない総合事業の「受け皿」として、これらを利用すべく「生活支援サポーター」の養成に取り組んでいます。
しかし、これらの受講者への技術指導は明らかにしても、身分保障に関しては明らかにされていません。
また、地域主体の「助け合い」整備にあたっては、活動に必要な施設、設備、経費等もほとんどが自己負担型になっているのが実情です。
この総合事業計画が市町村の財政不足分については、利用者、住民負担ではなく、国に負担させるように訴えていこうと思っています。
対市交渉をしていても市は上から指示待ちの姿勢で、担当者もそのつど顔ぶれが違っています。
これからますます介護利用者が増大するなかで、介護問題は社会的にも「深刻」な問題です。市町村がどれほど「真摯」に対処するか、介護労働者の視点で今後もしっかりと問題を見つめていこうと考えています。
(介護土 山村玲子)
『週刊新社会』(2018年1月23日)
◆ 保険導入前に逆戻り
~自己負担型が増加するだけ (週刊新社会)
◆ 見直し ごとに
2000年に介護保険制度が発足して7期目に入ります。「介護現場から社会が見える」が私の持論ですが、ヘルパーになって15年、見直しごとに改悪の方向に向かっています。
今回出されてきた「介護予防・日常生活支援総合事業」とは、実際はどのように変わってゆくのでしょうか?
2025年に75歳以上がピークを迎え、●国の財政困難→●要支援(軽度)者は、自治体(市、町、村)に管理→●さらに利用者の自己負担を増額→●地域ボランティアの育成(無償)など、自治体ではすでに具体的構想が出されています。大都市では、すでに着手しているところもあるようです。
今回の改正内容は、すでに報道されていますが、2018年以降、次のようになります。
① 年収340万円(年金のみ344万円)夫婦年収463万円-3割負担
年収160万円以上(年金のみ280万円以上)-2割負担
② 要支援1、2の人は保険から除外され市町村事業として自治体に移行する。
福祉用具貸与価格の見直し。国が商品ごとに全国平均の貸与価格を公表。
「訪問介護」「通所介護」「短期間入所」「生活保護」は現行通り。
今回の「総合事業計画」は、社会保障の膨大なふくらみにかこつけて、「住民による支え合い」計画として取り入れられてきました。
そのことは聞こえはいいのですが、国がかかえる負担額を国民総がかりで、かかえてもらおうということです。この上限額にも根拠もなく、当初は一律1割負担が確約されていました。
一方、投げ出された自治体では3年ごとの変更によって業務に苦慮しているなかで、当初これに反対を唱えた自治体が60パーセント近くもあったといわれますが、まったく無視です。
たび重なる業務変更によってパニック状態なのが実態です。国は、大都市を見ているだけで地方の過疎地などの実態が充分把握できてないと苦情すらもらしているとこもあるそうです。全国一律の基礎方針すら提示されなくて、各自治体独自での対応するとのこと。
「訪問介護」のヘルパーのなり手がいない、人手不足を理由に「サポーター」研修育成に手がけ、無償ボランティアの育成に力を入れている。「身体介護」のみをはずして、女性なら誰でもできる家事支援の講習を受けさせるということです。
私のように2級資格を取るために、3カ月の講習と受講料10万円近くも払って許認可を受けた有資格者からは、逆に不満も出てきます。
さらに、利用者側も無資格者に「介護」をしてもらうことに不安をいだく人もいます。
◆ 産業化されている
一方、請け負う事業所も、居宅、通所サービスへの国からの補助金が減額されて、事業所が倒産、廃所に追いやられ、さらに受け入れを拒否する所も出てきています。
良心的な小さな事業所は排除、介護事業が「産業化」されていることは大きな社会問題です。
今まさに、介護保険導入前に逆戻りし、「支え合い」の美名のもとに国民に財政も労働力も負担させていこうという姿勢が見え見えです。
私はこれまで「熟年者ユニオン」の団体に参加し、対市交渉に臨んできました。
国の意向にそって、これからの自治体の方針も公的介護保険サービス縮小解体と、「自助」の名による自己負担サービスや、片側で企業の新たな儲け口拡大へと邁進してゆく過程を私たちは見過ごすわけにはいきません。
私の住む街でもすでに「NPO」「いきいきサロン」など地域を拠点に、2017年末で360カ所で実施されています。これにともない総合事業の「受け皿」として、これらを利用すべく「生活支援サポーター」の養成に取り組んでいます。
しかし、これらの受講者への技術指導は明らかにしても、身分保障に関しては明らかにされていません。
また、地域主体の「助け合い」整備にあたっては、活動に必要な施設、設備、経費等もほとんどが自己負担型になっているのが実情です。
この総合事業計画が市町村の財政不足分については、利用者、住民負担ではなく、国に負担させるように訴えていこうと思っています。
対市交渉をしていても市は上から指示待ちの姿勢で、担当者もそのつど顔ぶれが違っています。
これからますます介護利用者が増大するなかで、介護問題は社会的にも「深刻」な問題です。市町村がどれほど「真摯」に対処するか、介護労働者の視点で今後もしっかりと問題を見つめていこうと考えています。
(介護土 山村玲子)
『週刊新社会』(2018年1月23日)
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