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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

田母神作文、徹底批判・報告

2009年05月16日 | 増田の部屋
 ◆ 田母神作文、徹底批判・報告

 こんばんは。犯罪都教委&3悪都議と断固、闘う増田です! これはBCCでお送りしています。重複、ご容赦を。
 昨夜の勤労者自主講座で使いました件名レポートを添付します。
 資料は「25部もあれば」という主催者のお言葉で、25部ピッタシ用意したら完全に売り切れ!?  主催者の口ぶりでは、いつもはそんなに多くないようでした(主催者の方、ごめんなさい)。
 でも、それだけ、田母神作文への全面批判というものが、意外と少ない・・・歴史学者さんたちによる、一般的、部分的な批判はあっても・・・ということでしょう。私も歴史学者さんたちがやってくれるだろうと、待っていたんですけど、いつまでたっても逐条方式での全面批判がないので、しょうがない・・・私がやるしかない!? とがんばりました。
 実は「本気でやり出すと、これは資料の提示に時間がかかるな」・・・と予想されたので、できれば、他の方がやってくれることを期待してたんですが・・・この連休、気が付けば午前3時!? ってこともありました。でも、皆様のご期待を裏切らなくてすんだのではないかと思います!
 A4で38枚になりますので・・・資料プリントにはコピーしてグラフなど貼り付けたのですが、パソコンではテクニックが無いため、添付ファイルには入っていませんが・・・お時間のある時に目を通していただき、補足などしていただけたらありがたいです。
※なんと図表入りを作成してくださった方がいます。私には神ワザ!? としか思えません。下記レポート、図表入りのものに差し替えましたのでご覧ください。
http://www.masudamiyako.org/news/09/090510.html
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42、『今なお大東亜戦争で我が国の侵略がアジア諸国に耐えがたい苦しみを与えたと思っている人が多い。しかし私たちは多くのアジア諸国が大東亜戦争を肯定的に評価していることを認識しておく必要がある。タイで、ビルマで、インドで、シンガポールで、インドネシアで、大東亜戦争を戦った日本の評価は高いのだ。そして日本軍に直接接していた人たちの多くは日本軍に高い評価を与え、日本軍を直接見ていない人たちが日本軍の残虐行為を吹聴している場合が多いことも知っておかなければならない。』
◎まさに、この作文中の全ての妄言中の妄言の白眉!? さすがに、最大の被害を与えた朝鮮(韓国)、中国や、200万人を餓死させたベトナムの3国は「多くのアジア諸国」に入っていないようだが、いったい、何を証拠にして田母神さんは「タイで、ビルマで、インドで、シンガポールで、インドネシアで、大東亜戦争を戦った日本の評価は高い」などと主張できるのだろうか?
●これらの国々の子どもたちの教科書は「今なお大東亜戦争で我が国の侵略がアジア諸国に耐えがたい苦しみを与えた」事実をハッキリと詳細に書き、教えている。ほんの一例としてシンガポールの教科書に書いてあることを紹介する。
 この教科書の表紙は、日本占領時代を「The Dark Years」と明記してある。そして本文は「Japanes Invasion of Malaya」の「next」にシンガポールがターゲットとなったことが書かれ、「Japanese Conquest of Singapore」の中では、中国系住民が女性も子どもも老人も含めて収容所に連れて行かれ、日本兵によって水も食べ物も与えられず、蹴られ、ビンタされたこと、18歳から50歳の男性の多くの人が帰ってこなかったことか書かれている。
 そして、日本軍が敗北して再び英軍が帰ってきたことに「cheered(歓声を上げた)」と書く。そして、自国シンガポールを守るために反日抵抗をした人々(「trying defend Singapore against the Japanese」)を「Men of courage」と紹介する。
◎田母神さんには、「タイで、ビルマで、インドで、シンガポールで、インドネシアで、大東亜戦争を戦った日本の評価は高い」と書いてある教科書、「多くのアジア諸国が大東亜戦争を肯定的に評価していることを認識」できるアジア諸国の教科書を、一冊でも紹介できるものなら紹介してほしいものだ。
(シンガポールの教科書のコピー)

43、『日本軍の軍紀が他国に比較して如何に厳正であったか多くの外国人の証言もある。我が国が侵略国家だったなどというのは正に濡れ衣である。』
◎これも、全く真っ赤なウソであり、「日本軍の軍紀が他国に比較して如何に」紊乱していたかについては、「外国人の証言」など必要なく、日本人・元日本軍人「の証言」が、吐いて捨てるほどある。
●ほんの一例として、元第一軍参謀長・兵務局長を歴任した田中隆吉(敗戦時は羅南要塞司令官)の『敗因を衝く 軍閥専横の実相』(中公文庫)P130~141を紹介する。(田中は、日清・日露の明治は軍紀厳正だったと書いているが、相対的にはアジア・太平洋戦争時よりはマシだったにしても、日本軍の軍紀紊乱の例は明治期も大正期の数多くの証拠がある)
◎この日本軍軍紀紊乱の証拠を見れば、田母神さんの二段論法「日本軍の軍紀が他国に比較して如何に厳正であったか多くの外国人の証言もある。」だから「我が国が侵略国家だったなどというのは正に濡れ衣である。」は、完全に崩れる。
●「日本軍の軍紀が他国に比較して如何に」紊乱していたか、「多くの」日本「人の証言もある。」「我が国が侵略国家だったなどというのは正に」実像「である。」
(『敗因を衝く  軍閥専横の実相』のコピー)

45、『人は特別な思想を注入されない限りは自分の生まれた故郷や自分の生まれた国を自然に愛するものである。』
◎田母神さんがいう「特別な思想」」とは、この妄言満載作文を見る限り、「侵略と植民地支配の過去を直視し反省しよう」という、人間として道徳心があれば「普通の思想」を言っているようだが、「侵略と植民地支配の過去を直視し反省」したら、「自分の生まれた故郷や自分の生まれた国を自然に愛するものである。」ということができない、と思い込んでいるらしい。
 ドイツの子どもたちは、学校教育を通じて自国のナチス時代を批判、反省することを教わり、大人も子どもも反省をしているが、それでドイツ人は「自分の生まれた故郷や自分の生まれた国を自然に愛する」ことができなくなっているだろうか?
◎ここに見られるのは田母神さんが「国」というものについて考えたことがない、ということである。「国」には「Land、 Country、 Nation、 State」の4種類がある(江口圭一『日本人の侵略と日本人の戦争観』岩波ブックレット)。
 大日本帝国というStateによる醜い「侵略と殖民地支配」の過去を直視し、批判、反省をすることは、日本国というStateのNationとして、「日本という自分の生まれた故郷や自分の生まれた国を自然に愛するものである。』ならば、全く「普通の思想」なのであって「特別の思想」などではない。
 田母神さん(に代表される「つくる会」・日本会議などの右翼勢力)は、「侵略と植民地支配」国家=大日本帝国というStateと、「戦争放棄・基本的人権、平和主義」国家=日本国というStateは、「Land、 Country、 Nation」は同じでも、全く別のStateである、ということに対する認識能力が欠落しているのである。下世話な表現をするなら田母神さんは「味噌も○も一緒にする」!? (「味噌」は日本国、○は大日本帝国)ということをしているのである。
 日本人が真に「自分の生まれた故郷や自分の生まれた国を自然に愛するものである。』ものなら、この愛する「自分の生まれた故郷や自分の生まれた国を」血塗られた「侵略と植民地支配」国家に貶め、他国の爆撃を招いて310万人もの国民を惨殺させることを許した大日本帝国を憎むのが「自然」なのである。
 「日本は古い歴史と優れた伝統を持つ素晴らしい国」だったのに、その「古い歴史」の中の1875年~1945年の70年間「侵略と植民地支配により他国を踏みにじった」という醜い「国」だった大日本帝国という「国」への批判、反省ができないということは、その反省の上に成立した日本国憲法を持つ日本国という「国」を、田母神さん(に代表される「つくる会」・日本会議などの右翼勢力)は愛していない!? ということを意味する。
48、『私たちは輝かしい日本の歴史を取り戻さなければならない。歴史を抹殺された国家は衰退の一途を辿るのみである。』
◎「輝かしい日本の歴史を」汚した「侵略と植民地支配帝国だった大日本帝国の歴史」を直視し、きちんと自己批判し反省してこそ、『私たちは輝かしい日本の歴史を取り戻』すことができるである。
「本当の意味での鋭い歴史意識、誇りにすべき歴史意識というのは、自己批判以外にありません。自己批判が冷静で、客観的で、勇気に満ちているということは、その個人、その社会の精神的、知的能力の高さです。それ以外にないといっていいほどの証拠です。だから、自己批判の力こそが、誇りの根拠なのです。
 自分のしたことについて、悪いことと認めなかったり、いつも弁解したりごまかそうとしているのは、個人であれ、社会であれ、決して尊敬されないし、誇りももてないでしょう。この(扶桑社:増田注)教科書は、誇りを持つための方向を明らかに間違えていると思います」(加藤周一『歴史教科書 何が問題か』岩波書店)

 田母神さんは「輝かしい日本の歴史を取り戻さなければならない」「ための方向を明らかに間違えている」!
 私の教えた中学生でさえ、この田母神作文のような「嘘やねつ造」による歴史偽造の「輝かしい日本の歴史」作りについて、こう書いている。
「今の僕たちが生まれる前の話だけど、朝鮮の人々が起こした三・一運動の原因を作ったのは我が日本人だった。自国の人間ではない他国の日本人が、自己の利益のみの目的で勝手に他国を侵略してしまったことを、すごく残念に思う。とても悲しいわが国の歴史の一つである。さらに悲しいことは、日本人が何年十年たった今でも、過去の過ちを認めず、『本当の謝罪』をしていないこと。これは一番いさぎ悪く、とても失礼なことだと思う。」
 中学生でさえ、日本の知性の最高峰といわれた故加藤周一さんの言われているのと同じことを言っているのである。「日本人が何年十年たった今でも、過去の過ちを認めず、『本当の謝罪』をしていないこと」が、侵略の過去よりも「さらに悲しいこと」だと・・・「一番いさぎ悪く、とても失礼なことだと思う。」と・・・
 現・日本軍幹部、現・日本空軍の最高指揮官だった人物が、知的にも精神的にも中学生にさえ劣るレベルだったとは・・・
 この妄言満載集の田母神作文の中で唯一賛成できる文言が、結論の『歴史を抹殺された国家は衰退の一途を辿るのみである。』!!!!! しかり! 侵略と植民地支配の悪行を国を挙げて行った大日本帝国の国家犯罪を無かったことにしようと「歴史を偽造」し、『歴史を抹殺』する『国家は衰退の一途を辿るのみである。』・・・そんな厚顔無恥なことは平和主義・基本的人権尊重の日本国憲法を持つ日本「国」を愛しているならできるはずはない。

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