☆ 岸田裁判勝利報告集会 11月30日(水)pm6:30 東京教組 会議室(日本教育会館2階)
=「10.23集会」資料から=
☆ 岸田さん裁判勝訴確定!
7月19日東京高裁は、地裁判決(岸田さん勝訴)を維持し、都教委の控訴を退け、岸田さんに対する処分取り消しの判決を出しました。その後、都教委が最高裁への上告を断念したため、岸田さんの勝訴が確定しました。皆さんのご支援に心から感謝いたします。
岸田さんは、2010年3月の卒業式において、ピアノ伴奏をしなかったとの理由で、都教委が出した停職1か月(後に都人事委員会が減給1か月に修正)の処分の取り消しを求めて、裁判を行ってきました。
東京高裁は、「減給10分の1・1月間の懲戒処分をした本件処分は、処分の選択が重きに失するものとして社会観念上著しく妥当を欠き、懲戒権者の裁量権の範囲を逸脱したものとして違法であると認められるから、本件処分を取り消すべきものと判断する。」とし、処分を取り消しました。
判決は、基本的には1審と同様でしたが、判決の理由のところでは、一部憲法判断にも触れ、1審よりも踏み込んだ内容になっています。
今裁判では、憲法20条(信教の自由)について、主張の多くを割いて展開してきたこともあり、判決では、2011年最高裁判決の範囲内ではあったものの、処分との関連で考慮すべきものとして、新たな判断が示されました。
判決は「1審原告が本件職務命令に従わなかったのは、卒業式の円滑な進行を妨げようとの積極的な害意や悪意があったわけでなく、たとえ不利益な処分がされるとしても、内面のみならず外部的行動においても個人の信仰および歴史観・世界観に忠実であるぺきとの考えによるものであると認められるのであり、このような事情は、懲戒事由に該当すると認められる行為の原因、動機、性質として考慮されて然るべきところ、本件採決はこの点の考慮が必ずしも十分とは認めがたい。」と述べ、都教委、および人事委員会が処分の判断をする際に、このような内心の問題をきちんと考慮すべきであるとしています。
さらに「本件の卒業式においては、校長の事前の処置により別の教諭による国歌斉唱の際のピアノ伴奏が実施され、その結果、卒業式の進行に具体的な支障も混乱も何ら生じなかったという事実は懲戒事由に該当すると認められる行為の結果および影響等として考慮されなければならないところ、本件採決はこの点の考慮も必ずしも十分とは認めがたく、むしろ、本件不伴奏行為を『危険性を内包する性質』を有する非違行為と評価し、本件の具体的な事実関係に即さない事情を考慮しているものと認められる。以上のとおり、都人事委の本件処分は、考慮すべき事項を十分に考慮せず、考慮すべきでない事項を考慮した点があり、その結果、本件不伴奏行為に対して戒告を超えて減給の処分を選択することの相当性を基礎付ける具体的な事情があるものとは認められないのにこれがあるとの合理性を欠く評価をしたものであり、社会観念上著しく妥当を欠く処分をしたとの評価を免れないものと認めるのが相当である。」と述べています。
これは、都教委及び人事委員会が、この処分にあたって、考慮すべきことを考慮せず、考慮すべきではないことを考慮して処分を出したことの不当性を指摘している点で、今までの判決にはなかった画期的内容となっています。
また、累積加重処分については「1審原告の過去の非違行為は、いずれも、1審原告個人の信仰および歴史観・世界観のために職務命令に違反したという点で共通しており、1審原告個人の信仰等に照らし、同様の職務命令の回数が増えればこれに伴って現実の支障や混乱の有無にかかわらず違反行為の回数だけは増えるという関係にあり、1審被告の主張は、これをそのような事情のない一般の非違行為と同列に論じる点で相当ではない。また、以上の説示にてらすと、1審原告が本件不伴奏行為を反省していないとの一事をもって、本件処分に裁量権の行使を誤った違法がないということはできない。」と、都教委、人事委員会を断罪しています。
一般の非違行為(体罰、セクハラ等)と同列に扱うことを戒めている点でも画期的です。
今回の判決は、都教委にとって、今後、処分を出す際の足かせとなることは間違いありません。
また都教委の下請機関となってしまった都人事委員会の在り方も問うており、処分行政に痛打を与えるものとなりました。
現在、進行中の累積加重処分をめぐる裁判にとって、勝利のための大きな一歩となる判決でした。下記の日程で報告集会をしますので、ご参加ください。
=「10.23集会」資料から=
☆ 岸田さん裁判勝訴確定!
「君が代」不当処分撤回を求める会(東京教組)
7月19日東京高裁は、地裁判決(岸田さん勝訴)を維持し、都教委の控訴を退け、岸田さんに対する処分取り消しの判決を出しました。その後、都教委が最高裁への上告を断念したため、岸田さんの勝訴が確定しました。皆さんのご支援に心から感謝いたします。
岸田さんは、2010年3月の卒業式において、ピアノ伴奏をしなかったとの理由で、都教委が出した停職1か月(後に都人事委員会が減給1か月に修正)の処分の取り消しを求めて、裁判を行ってきました。
東京高裁は、「減給10分の1・1月間の懲戒処分をした本件処分は、処分の選択が重きに失するものとして社会観念上著しく妥当を欠き、懲戒権者の裁量権の範囲を逸脱したものとして違法であると認められるから、本件処分を取り消すべきものと判断する。」とし、処分を取り消しました。
判決は、基本的には1審と同様でしたが、判決の理由のところでは、一部憲法判断にも触れ、1審よりも踏み込んだ内容になっています。
今裁判では、憲法20条(信教の自由)について、主張の多くを割いて展開してきたこともあり、判決では、2011年最高裁判決の範囲内ではあったものの、処分との関連で考慮すべきものとして、新たな判断が示されました。
判決は「1審原告が本件職務命令に従わなかったのは、卒業式の円滑な進行を妨げようとの積極的な害意や悪意があったわけでなく、たとえ不利益な処分がされるとしても、内面のみならず外部的行動においても個人の信仰および歴史観・世界観に忠実であるぺきとの考えによるものであると認められるのであり、このような事情は、懲戒事由に該当すると認められる行為の原因、動機、性質として考慮されて然るべきところ、本件採決はこの点の考慮が必ずしも十分とは認めがたい。」と述べ、都教委、および人事委員会が処分の判断をする際に、このような内心の問題をきちんと考慮すべきであるとしています。
さらに「本件の卒業式においては、校長の事前の処置により別の教諭による国歌斉唱の際のピアノ伴奏が実施され、その結果、卒業式の進行に具体的な支障も混乱も何ら生じなかったという事実は懲戒事由に該当すると認められる行為の結果および影響等として考慮されなければならないところ、本件採決はこの点の考慮も必ずしも十分とは認めがたく、むしろ、本件不伴奏行為を『危険性を内包する性質』を有する非違行為と評価し、本件の具体的な事実関係に即さない事情を考慮しているものと認められる。以上のとおり、都人事委の本件処分は、考慮すべき事項を十分に考慮せず、考慮すべきでない事項を考慮した点があり、その結果、本件不伴奏行為に対して戒告を超えて減給の処分を選択することの相当性を基礎付ける具体的な事情があるものとは認められないのにこれがあるとの合理性を欠く評価をしたものであり、社会観念上著しく妥当を欠く処分をしたとの評価を免れないものと認めるのが相当である。」と述べています。
これは、都教委及び人事委員会が、この処分にあたって、考慮すべきことを考慮せず、考慮すべきではないことを考慮して処分を出したことの不当性を指摘している点で、今までの判決にはなかった画期的内容となっています。
また、累積加重処分については「1審原告の過去の非違行為は、いずれも、1審原告個人の信仰および歴史観・世界観のために職務命令に違反したという点で共通しており、1審原告個人の信仰等に照らし、同様の職務命令の回数が増えればこれに伴って現実の支障や混乱の有無にかかわらず違反行為の回数だけは増えるという関係にあり、1審被告の主張は、これをそのような事情のない一般の非違行為と同列に論じる点で相当ではない。また、以上の説示にてらすと、1審原告が本件不伴奏行為を反省していないとの一事をもって、本件処分に裁量権の行使を誤った違法がないということはできない。」と、都教委、人事委員会を断罪しています。
一般の非違行為(体罰、セクハラ等)と同列に扱うことを戒めている点でも画期的です。
今回の判決は、都教委にとって、今後、処分を出す際の足かせとなることは間違いありません。
また都教委の下請機関となってしまった都人事委員会の在り方も問うており、処分行政に痛打を与えるものとなりました。
現在、進行中の累積加重処分をめぐる裁判にとって、勝利のための大きな一歩となる判決でした。下記の日程で報告集会をしますので、ご参加ください。
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