◎ 未完の大作『板橋高校卒業式事件』 藤田勝久〈再掲〉-1
「錦秋の裾合」 《撮影:佐久間市太郎(北海道白糠定、札幌南定、数学科教員)》
p1・・・「板橋高校卒業式事件」
p2・・・もみじ葉の 一葉落ちて その音の 大地に触れる 瞬間を聞く(版画)
p3・・・2004年3月の出来事
★「都教委・指導部長」、報告
「二つ目には、ほとんどの生徒が起立しなかったり、また生徒が式場に入場しなかったりする学校が一部にございました。既に新聞等でご覧になったと思いますが、板橋高校におきましては、生徒がほとんど起立しなかった。また、この板橋高校におきましては、旧職員が会場でビラを配りまして、卒業式の開始が5分遅れたというような状況もありまして、都教育委員会並びに学校といたしまして被害届を出しているところでございます。・・・・」(2004,3,30、東京都教育委員会臨時会)
この「被害届」は、3月26日に出されたと報道されているが、本人には何の連絡もない。だからどのような内容なのか今もってまったく分らない。
「5分遅れた」と言っているが、あとで詳細に説明するように、当日のテレビ局の取材の関係であり私の責任ではない。
★都立板橋高校、3月11日、卒業式
9時55分分頃 「卒業生入場」、着席。
10時03分頃 「一同起立」、「開式の辞」、教頭、登壇。開式を宣言。教頭、降壇。
続いて司会、「国歌斉唱」と発声。
この時、異変が起こった。
卒業生が前の方より潮のひくごとく座り出したのである。
その途中で男子生徒の「座れ、座れ」という声も混じる。
あっという間に卒業生、270名の大半が着席してしまった。
驚愕した校長は叫ぶ。
「立ちなさい」 「>立って歌いなさい」
続いて教頭も叫ぶ。
「立ちなさい」
さらに当日来賓として来ていた都議・土屋氏も叫ぶ。
「立ちなさい」
その間、約50秒、式場は時ならぬ三人の中年男の大合唱の場と化してしまった。
その蛮声の中、起立していた数少ない卒業生のうちの一人の男子生徒がこう言った。
「思想・信条の自由はどうなんだ・・・」
その発言は、教頭の位置に近かったせいか、教頭がこれに応じた。
「信念をもって座っている者以外は立ちなさい」
あとでこの話を聞いた時、私はえらく教頭に同情した。 自分だったらどう言うだろうか。
この一言は、卒業生の失笑を買い騒動は終結の様相に至る。
「信念をもっている者以外は立ちなさい」と言われてから立つのは、自分が信念のない人間であることを満場に曝すこととなる。
それよりか失礼なのは、起立している少数の生徒に「信念がない」と公言していることである。
これ以上動きがないと思われた時、生徒の「始めようー」という声に誘われたのかピアノの音が鳴った。 「国歌斉唱」が始まったのである。
ここでまた異様な動作を参列者の多くが目撃することとなる。
「君が代」は保護者を中心として歌われていた。
その最中、都議・土屋氏が携帯を取り出し写真を撮り出したのである。
開式前司会が、「携帯等はお仕舞いください」と言っていたにもかかわらずである。
「千代に 八千代に」 「カシャ」 「苔の・・・」 「カシャ」
この出来事は、のち多くの人の口の端にのぼることとなる。
「なんであんな男を呼んだのか」 「立って歌えという本人がなんで写真なんか撮ってんだ」
彼は、指導部賀澤課長言う如く、証拠写真を撮っていたのだ。
土屋氏にとっては、自分が「立ちなさい」と言ったにもかかわらず無視して着席した卒業生の行為を許せなかったのであろう。
この年の3年生は「やんちゃ」であり、クラッカーを鳴らしたりするのではないかと危惧されていた。
しかしこの着席による意思表示で発散したのか、その後の式の進行においてはほとんど私語もなく近年稀に見る立派な卒業式となっていった。
式最後、卒業生全員が起立して自分達が選曲した歌を合唱した。
「・・・遥かな空の果てまでも 君は飛び立つ・・・」
「旅立ちの日に」という歌である。
中学で歌っているせいかさして練習もしていないのに見事なハーモニーであった。
伴奏は、視覚障害にもかかわらず3年間通い続けて今日、卒業式を迎えた女子生徒であった。
このこともあいまって感動のうちに式は終了した。
「錦秋の裾合」 《撮影:佐久間市太郎(北海道白糠定、札幌南定、数学科教員)》
p1・・・「板橋高校卒業式事件」
p2・・・もみじ葉の 一葉落ちて その音の 大地に触れる 瞬間を聞く(版画)
p3・・・2004年3月の出来事
★「都教委・指導部長」、報告
「二つ目には、ほとんどの生徒が起立しなかったり、また生徒が式場に入場しなかったりする学校が一部にございました。既に新聞等でご覧になったと思いますが、板橋高校におきましては、生徒がほとんど起立しなかった。また、この板橋高校におきましては、旧職員が会場でビラを配りまして、卒業式の開始が5分遅れたというような状況もありまして、都教育委員会並びに学校といたしまして被害届を出しているところでございます。・・・・」(2004,3,30、東京都教育委員会臨時会)
この「被害届」は、3月26日に出されたと報道されているが、本人には何の連絡もない。だからどのような内容なのか今もってまったく分らない。
「5分遅れた」と言っているが、あとで詳細に説明するように、当日のテレビ局の取材の関係であり私の責任ではない。
★都立板橋高校、3月11日、卒業式
9時55分分頃 「卒業生入場」、着席。
10時03分頃 「一同起立」、「開式の辞」、教頭、登壇。開式を宣言。教頭、降壇。
続いて司会、「国歌斉唱」と発声。
この時、異変が起こった。
卒業生が前の方より潮のひくごとく座り出したのである。
その途中で男子生徒の「座れ、座れ」という声も混じる。
あっという間に卒業生、270名の大半が着席してしまった。
驚愕した校長は叫ぶ。
「立ちなさい」 「>立って歌いなさい」
続いて教頭も叫ぶ。
「立ちなさい」
さらに当日来賓として来ていた都議・土屋氏も叫ぶ。
「立ちなさい」
その間、約50秒、式場は時ならぬ三人の中年男の大合唱の場と化してしまった。
その蛮声の中、起立していた数少ない卒業生のうちの一人の男子生徒がこう言った。
「思想・信条の自由はどうなんだ・・・」
その発言は、教頭の位置に近かったせいか、教頭がこれに応じた。
「信念をもって座っている者以外は立ちなさい」
あとでこの話を聞いた時、私はえらく教頭に同情した。 自分だったらどう言うだろうか。
この一言は、卒業生の失笑を買い騒動は終結の様相に至る。
「信念をもっている者以外は立ちなさい」と言われてから立つのは、自分が信念のない人間であることを満場に曝すこととなる。
それよりか失礼なのは、起立している少数の生徒に「信念がない」と公言していることである。
これ以上動きがないと思われた時、生徒の「始めようー」という声に誘われたのかピアノの音が鳴った。 「国歌斉唱」が始まったのである。
ここでまた異様な動作を参列者の多くが目撃することとなる。
「君が代」は保護者を中心として歌われていた。
その最中、都議・土屋氏が携帯を取り出し写真を撮り出したのである。
開式前司会が、「携帯等はお仕舞いください」と言っていたにもかかわらずである。
「千代に 八千代に」 「カシャ」 「苔の・・・」 「カシャ」
この出来事は、のち多くの人の口の端にのぼることとなる。
「なんであんな男を呼んだのか」 「立って歌えという本人がなんで写真なんか撮ってんだ」
彼は、指導部賀澤課長言う如く、証拠写真を撮っていたのだ。
土屋氏にとっては、自分が「立ちなさい」と言ったにもかかわらず無視して着席した卒業生の行為を許せなかったのであろう。
この年の3年生は「やんちゃ」であり、クラッカーを鳴らしたりするのではないかと危惧されていた。
しかしこの着席による意思表示で発散したのか、その後の式の進行においてはほとんど私語もなく近年稀に見る立派な卒業式となっていった。
式最後、卒業生全員が起立して自分達が選曲した歌を合唱した。
「・・・遥かな空の果てまでも 君は飛び立つ・・・」
「旅立ちの日に」という歌である。
中学で歌っているせいかさして練習もしていないのに見事なハーモニーであった。
伴奏は、視覚障害にもかかわらず3年間通い続けて今日、卒業式を迎えた女子生徒であった。
このこともあいまって感動のうちに式は終了した。
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