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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

米軍兵士を軍服姿のまま校内に招き入れて、事実上の「軍事教練」を5年間

2016年07月29日 | こども危機

 ◆ 武蔵村山5中の米兵による「軍事教練」を他のマスコミは報道しないのか?
   皆さま     高嶋伸欣です

 今日まで毎日の報道の様子を見続けてきましたが、我慢できずに発信します。
 武蔵村山5中で事実上の「軍事教練」が米兵によって過去5年間も続けられていた件が、一部の新聞で報道されただけで、一過性の話題になりかけています。
 他の全国紙・通信社・週刊誌・TV局などは、報道する価値がないと判断しているのでしょうか?
 だとすれば、先の参議院選挙で世論喚起にマスコミが失敗したのも当然と思えます。

 1 これまでの『東京新聞』『毎日新聞』の報道(7月21日・夕刊)などで、概略として次のようなことが分かっています。
 2 東京都武蔵村山市立第5中学校の「5中フェスティバル」の企画の一つに、「ミニ・プートキャンプ(新兵訓練)」があり、今年の場合(7月2日)は参加を希望した3年生33人を対象に実施された。
 指導に当たったのは、米軍横田基地所属の空軍兵士や基地従業員23人で、「訓練」の内容は「敬礼の仕方」「右向け右、左向け左」の命令(号令)に従う動作、「障害物競争」という名目の匍匐前進訓練など。これらの模様は横田基地の広報ネットに写真付きで紹介されている。
 それらの写真では「敬礼」をさせられている女子生徒の顔が大写しで示され別の写真では服についた生徒の名前が読み取れるものもある。
 この行事は、過去5年間継続されてきたもので、今年度が初めてではない。
 「市教委の佐藤敏数学校教育担当部長は『中学校は、この講座を体力トレーニングの一環として捉えていた。新兵訓練を意味する『ブートキャンプ』との講座名は適切でなかったが、内容自体は特に問題はないと考えている」(東京新聞)。
 3 以上の概要の範囲内でも、次のような問題点を指摘できます
 1) 通常の日本国内の公立学校のPR写真などでは、生徒の顔が鮮明に写っている時に、その生徒の名前が読み取れるものなどは、生徒のプライバシー保護のために使用しない。このことは、肖像権の保護とともに法規に基づいている
 しかし横田基地のPR活動による上記の写真公表については、武蔵村山市教委はもちろん日本政府も規制はもちろん干渉の権限が全くない!
 なぜなら横田基地は日本全国にある米軍基地と同様に、日米安保条約によって治外法権の区域(基地)であり、その中に日本の法律は及ばず、基地内での行動に日本側は何も権限の行使ができない(自衛隊基地であれば日本の国内法が適用される)。
 この自衛隊基地などの場合と米軍基地との間の重大な違いを、武蔵村山市教委と5中の関係者がきちんと認識していたか、疑わしい。
 認識していれば、広報担当者にプライバシー侵害にならないように、事前に念を押すなどの措置をしていたはず。
 2) 仮に昨年度までの4年間に、同様な基地PRネットで生徒たちのプライバシー侵害に当たる事例が存在していたとしたら、その存在に気づかずに是正、人権侵害補償(人権救済)の措置を講じていない市教委の責任は重い。
 3) 同時に過去の事例から、上記1)の問題点を認識できたはずであるのに、そうしなかった市教委と5中校長らの不作為の責任は重い
 4) 次に、市教委側は「新兵訓練を意味する『ブートキャンプ』との講座名は適切でなかったが、内容自体は特に問題はない」としている点に、重大な落ち度がある。
 学校は、軍隊や警察組織などではない。そこでなぜ「敬礼」や「右向け右!」「左向け左!」の訓練が強制されるのか。
 「この講座は体力トレーニングの一環」としているが、体育の授業に「敬礼」などが必要か?
 5)かつて、オリンピックの開会式で日本選手団は、足並みを揃えた分列行進で貴賓席前に差し掛かると「頭右!」の掛け声をともに右手を高く差し伸ばし、顔を貴賓席に向けていた。第23回オリンピック(1984年・ロサンゼルス)の開会式でも、日本選手団はその通りに「頭右!」の声に合わせて一斉に右手を高く掲げた。それを見ていた観衆からは、一斉に「おーう!」とのどよめきの声が上がり、翌日のアメリカの新聞とTVは「日本の軍国主義健在!」と次々に報道した。
 大きな集会・競技会などの開会式で選手団が分列行進をしながら貴賓席前で右手を掲げて一斉に敬意を表するのは、1936年のベルリンオリンピックでヒットラーに向けた「ハイル・ヒットラー」の演出として用いられたものであることが、欧米では広く知られ、戦後はやってはならないしぐさとされている。
 そのことに無知だった日本選手団が、日米経済摩擦で対日批判の雰囲気が濃厚なアメリカでの開会式で、恥を晒したのだった。
 「敬礼」や「右向け右!」の動作を学校教育で訓練することについて「内容自体は特に問題ない」としている武蔵村山市教育委員会は、歴史に何も学んでいないように見える。
 6) 開会式の「頭右!」パフォーマンスが、批判報道の洪水に見舞われた日本選手団と日本オリンピック委員会は、慌ててそれ以後のオリンピック行事での「頭右!」と右手を一斉に高く掲げる動作を禁止する旨を、選手団など関係者に通知している。
 したがって、今回のリオの開会式でも日本選手団がそうした動作はしないはずだ。

 7) さらに日本国内では、国民体育大会でも天皇・皇后のいる席に向けた同様の動作はしないようにとの指示が、ロサンゼルス大会以後に出されている。
 8) またミニ国体といわれる高校総合体育大会(インターハイ)の開会式でも、神奈川県高体連などからの提案で、同様の動作はしないことが申しあわれている。
 9) 以上のような状況にあることを、武蔵村山市教委がどれだけ認識できているのか疑わしい。多少でも認識していれば「東京オリンピック」を数年後に控えた東京の公立中学校で「敬礼」や「右向け右!」などを教育をすることの不適切さには気づけたはずだ。
 10) さらに「この講座を体力トレーニングの一環として捉えていた」とのことだが、「匍匐前進」の「新兵訓練」プログラムを「体力トレーニングの一環として捉える」のには、無理がある。横田基地のPR画面では「時間が20分に限られた」とある。「体力トレーニング」であれば準備体操から整理体操までのプログラムが必須のはずだが、そうした過程が今回の体験の中には組み込まれていない。
 これを「体力トレーニングの一環」とは位置づけるのは、「サギをカラスと言いくるめる」に等しい詭弁でしかない。
 まさしく「新兵訓練」の模擬体験であり、「軍事教練」の先取りに該当する。
 11)その事実上の「軍事教練」の教員(教官)役を日本人ではなく、外国人それも外国軍人に安易に委ねた武蔵村山市教委は、主権者教育を公教育の義務化している憲法や教育基本法に違反している。
 12)なお、市教委は今回の米兵による事実上の「軍事教練」実施について、「教育課程編成権は教育委員会と学校にある」と主張することで、正当化しようとしてるとの情報がある。
 これも詭弁でしかない。確かにそのように主張できる余地はある。しかし、だからと言って、刑事事件になる行為などを奨励するのでない限り、好き勝手な教育内容を決めて良いのだ、と言えるはずがない。
 地域との交流を目指す総合的学習であろうと、体育の体力トレーニングであろうと関連法規による公正・公平な教育でなければならない。
 13)1976年5月21日に最高裁判所大法廷が示した「旭川学力テスト事件判決」では次のように明示している。
 「個人の基本的自由を認め、その人格の独立を国政上尊重すべきものとしている憲法の下においては、子どものが自由かつ独立の人格として成長することを妨げるような国家的介入、例えば、誤った知識や一方的な観念を子どもに植えつけるような内容の教育を施すことを強制するようなことは、憲法26条(教育を受ける権利、教育の義務)、13条(個人の尊重と公共の福祉)の規定上からも許されないと解することができる」と。
 「ブートキャンプ」体験を直接米兵の指導によって受ける学校行事は、「一方的な観念を子どもに植えつけるような教育」に該当している。
 14) そうならないように、市教委と校長たちはこの一方的な体験に対峙する(カウンター)教育を準備し、実践してきたのか?
 もし昨年までの4年間の同じような講座を体験した既卒者に対して、この「一方的な観念を子どもに植えつけるような教育」を施したままであるとすれば、上記の憲法26条、13条違反の教育を教委と5中はした責任を問われることになる。
 彼ら生徒自身や保護者が人権救済を申し立て、損害賠償を請求された場合に、市教委や校長たちは被告の立場になることも想定される。
 15) 現在の学校教育法では、「第2章・義務教育」の21条(義務教育の目標)の第1項で「公正な判断力」の育成を明示している。判断力を修得するためには一つの価値観や一面的な見方だけを示すのでは不十分であって、様々な価値観などに気づかせるカリキュラムが用意されなければならない。
 この点からも、米兵指導による「ブートキャンプ」体験だけのカリキュラムは、学校教育法に違反している可能性が高い。
 16) これまでにも東京都立高校や横浜市立中学で、事実上の軍隊である自衛隊での体験合宿や火器総合演習への招待見学誘導などが表面化して、問題になっている。そうした状況を知りえる立場にある武蔵村山市教育委員会と5中の関係者が、米軍兵士を軍服姿のまま校内に招き入れて、事実上の「軍事教練」を5年間にわたって実施していたことになる。
 17)なぜそうした事実が、地元以外では知られることにならなかったのかという点を含め、現在もなおこの話題・問題が限られたマスコミでしか報道されていないことに、強い疑問と不満を私は感じている。
 なぜなのか、事情を知る方には情報の提供をお願いしたい。

    *個人で問題提起できる範囲は限られている。
     マスコミ関係者の奮起を期待したい。
    *私見としては、都知事選の論争に向けた恰好の材料と思えるのに、
     なぜ「学んで良し! 東京」という候補の選対は反応しないのか?
     歯がゆい!

       以上 文責は高嶋です     拡散・転送は自由です

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