◆ 教育委員は議題について事前に勉強してこないの?
今日の議題にも教員等の懲戒処分案件が議案に2件、報告に1件上がっていた。11日夜の段階では、都教委のHPにはアップされていない。公開議題は、
議題が①「東京都立学校設置条例の一部を改正する条例の立案依頼外1件について」、
報告が②「学校教育活動における外部人材等の活用状況について」のみ。
今日の所要時間もたったの30分。
①は、南多摩、三鷹中等教育学校(=中高一貫校。中高一貫校には中学校併設型中高一貫校と中等教育学校がある)が2010年度に開校したのに伴い、南多摩高校、三鷹高校は2013年度から募集を停止し、今年度の3年生の卒業を以って閉校となる。そこで、条例からこの2校を外すという内容だった。
その説明が事務方からなされた後、木村委員長の口から出た質問には呆れた。「いつから中等教育学校になるのか」ということだったからだ。事務方の回答は当然ながら、「平成22年度から始まっています」であった。
中高一貫校は都教委が強力に進めた「都立高校改革推進計画」の目玉の一つであった。2000~2002年に1校を、2003~2006年に9校を計画することになっていた。木村委員長は2004年から現職にあり、これを決定する場にいた。うっかり忘れるような問題では、断じてないはずだ。実施を決定したら終わりではなく、実施状態を観察し、プラスマイナスを検証していく責任があるだろうに、それをしなかったということだろう。なんと無責任なことかと腹立たしく思う。
②は、
ア.教員免許を持つ正規教員と
イ.正規教員以外の教員(産休代替等の臨時任用、退職後再任用の日勤講師、端数時数の授業を請け負う時間講師)、
ウ.教員免許を持たない外部人材(都立学校が設定する「日本の伝統・文化」の教科で琴・三味線や茶道を教える市民講師、ネイティブが英語教員の補助となるJET・ALT)の説明及び、
正規教員以外の教員及び外部人材の人数や労働単価、申請・届出についての報告だった。
報告を受けての発言3点を紹介したい。
「選挙での若者の低投票率に対し、政治教育が必要との声もある。特定の政治思想を植え付けることにはならないよう注意して、子どもが政治を身近に感じるために、議員を授業補助者として招くことはできるか」(乙武教育委員)との質問に、担当の人事部長の回答を遮るようにして比留間教育長が「中立性が損なわれないよう、校長が教育委員会と連絡を取り合って決めるので、それはできる」と応答した。「特定の政治思想」かどうかを判断するのは、実質教育委員会だ。都教委の判断一つでどんな解釈も成立する怖さがある。
私の体験では2000年まで勤務した学校は、卒業式や入学式に来賓として議員を呼ぶことを職員会議の決定で排してきた。学校が政治から独立したところであるためであった。
しかしその後転任した学校では(市議会)議員に招待状が届けられ、議員が参列するようになった。
10・23通達以降は、「君が代」起立をしない議員には招待状が届かなくなり、参列を拒否されるようになった。
こうした現実を見れば、また、政府見解を教科書に書けと決めた安倍政権の文部行政や、自衛隊に高校生を体験入隊させる都教委の教育行政を見れば、「特定の政治思想を植え付けることにはならない」保証など、あろうはずがない。いや、「特定の政治思想を植え付ける」チャンスとして悪用されるのではないかと危惧する。乙武教育委員は、こうした現実を踏まえてこれを質問したのだろうか。
竹花教育委員は、時間講師で働く人がいることを「知らなかった」と言った。1時間当たり1880円から2860円(授業準備や採点・評価はただ働き)で働く人たちの生活が、月2回の定例会出席で月額報酬43万円の竹花教育委員にはどう映ったのだろうか。
竹花教育委員はまた、「(今年度活用した・する)市民講師548人について、『小中学校では実績なし』というのはなぜか」と質問した。
事務方は「学校設定科目が高校にある(が小中にはない)から」と答えたが、そのことを竹花教育委員は認識していなかったということだ。
都立学校が設定する「日本の伝統・文化」の教科は、都教委が決めたことで2007年度から実施されている。竹花氏が教育委員に就任したのは2007年10月。これを決めた時点では就任していなかったものの、この事業は現在進行中のことである。
この竹花質問もまた、都教委が現場に下ろしたことが妥当であったかどうか、その後を検証していない証左だ。木村教育委員長といい、竹花教育委員といい、長いことこの職にあるのに、あまりにも現場を知ろうとしていないのではないか。教育委員は議題について、事前に勉強はしてこないのだろうか。
傍聴者に対する監視や警備にあたる職員の多いこと。定例会会場となる30階の、日常的な異常な光景だ。その様子にカメラが向けられると、持っている書類で顔を隠す職員もいる。仕事に誇りを持てないからだろう。誇りを持っていれば、動じることはないはずだ
『レイバーネット日本』(2014-12-12 20)
http://www.labornetjp.org/news/2014/1211nezu
今日の議題にも教員等の懲戒処分案件が議案に2件、報告に1件上がっていた。11日夜の段階では、都教委のHPにはアップされていない。公開議題は、
議題が①「東京都立学校設置条例の一部を改正する条例の立案依頼外1件について」、
報告が②「学校教育活動における外部人材等の活用状況について」のみ。
今日の所要時間もたったの30分。
①は、南多摩、三鷹中等教育学校(=中高一貫校。中高一貫校には中学校併設型中高一貫校と中等教育学校がある)が2010年度に開校したのに伴い、南多摩高校、三鷹高校は2013年度から募集を停止し、今年度の3年生の卒業を以って閉校となる。そこで、条例からこの2校を外すという内容だった。
その説明が事務方からなされた後、木村委員長の口から出た質問には呆れた。「いつから中等教育学校になるのか」ということだったからだ。事務方の回答は当然ながら、「平成22年度から始まっています」であった。
中高一貫校は都教委が強力に進めた「都立高校改革推進計画」の目玉の一つであった。2000~2002年に1校を、2003~2006年に9校を計画することになっていた。木村委員長は2004年から現職にあり、これを決定する場にいた。うっかり忘れるような問題では、断じてないはずだ。実施を決定したら終わりではなく、実施状態を観察し、プラスマイナスを検証していく責任があるだろうに、それをしなかったということだろう。なんと無責任なことかと腹立たしく思う。
②は、
ア.教員免許を持つ正規教員と
イ.正規教員以外の教員(産休代替等の臨時任用、退職後再任用の日勤講師、端数時数の授業を請け負う時間講師)、
ウ.教員免許を持たない外部人材(都立学校が設定する「日本の伝統・文化」の教科で琴・三味線や茶道を教える市民講師、ネイティブが英語教員の補助となるJET・ALT)の説明及び、
正規教員以外の教員及び外部人材の人数や労働単価、申請・届出についての報告だった。
報告を受けての発言3点を紹介したい。
「選挙での若者の低投票率に対し、政治教育が必要との声もある。特定の政治思想を植え付けることにはならないよう注意して、子どもが政治を身近に感じるために、議員を授業補助者として招くことはできるか」(乙武教育委員)との質問に、担当の人事部長の回答を遮るようにして比留間教育長が「中立性が損なわれないよう、校長が教育委員会と連絡を取り合って決めるので、それはできる」と応答した。「特定の政治思想」かどうかを判断するのは、実質教育委員会だ。都教委の判断一つでどんな解釈も成立する怖さがある。
私の体験では2000年まで勤務した学校は、卒業式や入学式に来賓として議員を呼ぶことを職員会議の決定で排してきた。学校が政治から独立したところであるためであった。
しかしその後転任した学校では(市議会)議員に招待状が届けられ、議員が参列するようになった。
10・23通達以降は、「君が代」起立をしない議員には招待状が届かなくなり、参列を拒否されるようになった。
こうした現実を見れば、また、政府見解を教科書に書けと決めた安倍政権の文部行政や、自衛隊に高校生を体験入隊させる都教委の教育行政を見れば、「特定の政治思想を植え付けることにはならない」保証など、あろうはずがない。いや、「特定の政治思想を植え付ける」チャンスとして悪用されるのではないかと危惧する。乙武教育委員は、こうした現実を踏まえてこれを質問したのだろうか。
竹花教育委員は、時間講師で働く人がいることを「知らなかった」と言った。1時間当たり1880円から2860円(授業準備や採点・評価はただ働き)で働く人たちの生活が、月2回の定例会出席で月額報酬43万円の竹花教育委員にはどう映ったのだろうか。
竹花教育委員はまた、「(今年度活用した・する)市民講師548人について、『小中学校では実績なし』というのはなぜか」と質問した。
事務方は「学校設定科目が高校にある(が小中にはない)から」と答えたが、そのことを竹花教育委員は認識していなかったということだ。
都立学校が設定する「日本の伝統・文化」の教科は、都教委が決めたことで2007年度から実施されている。竹花氏が教育委員に就任したのは2007年10月。これを決めた時点では就任していなかったものの、この事業は現在進行中のことである。
この竹花質問もまた、都教委が現場に下ろしたことが妥当であったかどうか、その後を検証していない証左だ。木村教育委員長といい、竹花教育委員といい、長いことこの職にあるのに、あまりにも現場を知ろうとしていないのではないか。教育委員は議題について、事前に勉強はしてこないのだろうか。
傍聴者に対する監視や警備にあたる職員の多いこと。定例会会場となる30階の、日常的な異常な光景だ。その様子にカメラが向けられると、持っている書類で顔を隠す職員もいる。仕事に誇りを持てないからだろう。誇りを持っていれば、動じることはないはずだ
『レイバーネット日本』(2014-12-12 20)
http://www.labornetjp.org/news/2014/1211nezu
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