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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

再発防止研修強行に対する弁護団申入書

2012年04月06日 | 日の丸・君が代関連ニュース
◎ 申 入 書

 東京都教育委員会 御中
2012(平成24)年4月5日
弁護士 尾 山 宏
弁護士 澤 藤 統一郎
弁護士 加 藤 文 也
弁護士 白 井 劍
弁護士 水 口 洋 介
弁護士 青 木 護
弁護士 雪 竹 奈 緒
弁護士 平 松 真二郎

 1 本日,貴教育委員会は,2012(平成24)年に行われた卒業式において,国歌斉唱時に起立しなかったことを職務命令違反として懲戒処分を科した教職員に対し,服務事故再発防止研修の実施を強行しようとしています。
 しかしながら,本年1月16日の最高裁判所の判決では卒業式等における国歌斉唱時に起立しなかったことを理由とする懲戒処分のうち,減給以上の処分について,貴教育委員会が懲戒権を逸脱濫用したものと断じて処分の取り消しを命じたことは御承知のとおりです。
 したがって,今後,被処分者らが,懲戒処分の取消しを求める東京都人事委員会審査請求あるいはその後の懲戒処分の取消請求訴訟において,本年の卒業式において国歌斉唱時に起立しなかったことを職務命令違反として懲戒処分を科すこと自体が,貴教育委員会が懲戒権を濫用あるいは逸脱したものとして懲戒処分の取消しが命じられることもあると解されます。その場合,処分対象者らの行為を服務事故と捉え懲戒処分を科すこと自体が違法という結論になります。
 被処分者らが人事委員会に審査請求を行い懲戒処分の適法性を争っている中,被処分者らの行為を一方的に服務事故と断じ,本日,服務事故再発防止研修が強行されることは遺憾というほかありません。
 2 また,従来の戒告処分を課された者に対する再発防止研修は,地方公務員法(服務規律規律)についての講義と受講報告書の作成にとどまっていました
 しかしながら,今回,被処分者に対する処分は戒告にとどまっているにもかかわらず,
  ①服務事故を起こすに至った状況を振り返り,その原因・理由について
  ②服務事故を起こしたときの気持ちはどのようであったか,その時の気持ち
  ③起こした服務事故に対して,現在の気持ちや考え
 をそれぞれ記述させる受講前報告書の提出及び集合研修のほかに個別研修を義務付けるなど従来の戒告処分に対する再発防止研修の枠組みを変えています。
 このうち,卒業式等においてどのような原因・理由で起立しなかったか,これは,被処分者らの思想の内容を記述させるものであり,思想の告自の強制を禁ずる憲法19条との関係で問題があるものと言わざるをえません。
 また,全体を通じて起立しなかったことが誤りであったことを認めさせようとする意図のもとに設問が設けられていることは明らかですが,それはとりもなおさず,思想の変更を迫るものであり到底憲法19条が禁じる公権力による思想の強制に踏み込んだ内容となっており到底容認できるものではありません。
 貴教育委員会が実施しようとしている服務事故再発防止研修は,いまや職務命令が自己の思想内容,信条に反すると表明する者に対して,「繰り返し同一内容の研修を受けさせ,自己の非を認めさせようとするなど,公務員個人の内心の自由に踏み込み,著しい精神的苦痛を与える程度に至るもの」であり,研修自体が違憲違法の問題を生じるものともなっていると言わざるをえません。
 3 したがって,本日実施が予定されている服務事故再発防止研修については,違憲違法であることから,即刻中止するよう求めるものです。
以上

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