東京都教育委員会
指導部 義務教育心身障害教育指導課長 大江 近 殿
同 人事部 職員課長 藤森 教悦 殿
度重なる抗議にも関わらず、貴教育委員会は千代田区立九段中学校増田都子教諭に対し、戒告処分と研修命令を発しました。この措置は、極めてイデオロギー性が強く、貴教育委員会の政治的中立性と教育公務員としての資質を疑わせるものなので、平和憲法と教育基本法の原点に立ち返り、公平中立の立場から速やかに撤回されんことを改めて申し入れます。
1,教育基本法に違反しています。
たった一人の親のクレームから、教育内容に詳細にわたる「照会」を繰り返し行ったことは、教育基本法第10条に定める行政の「不当な支配」に当たるものです。教育は「国民全体に対し『直接』に責任を負って行われるもの」です。
2,わが国の公式な歴史認識に反しています。
教材プリントに掲載された私信の文言を以て戒告処分とするのは、行政による一方的な思想統制であり、違法違憲の疑いの極めて濃い行為です。
古賀俊昭都議の「侵略戦争云々というのは、全く当たらないと思います」なる発言は公開の都議会で行われたものであり、扶桑社歴史教科書の「この戦争は『自存自衛』のための戦争である」など教科書全体に一貫する歴史認識も、日本政府の公式見解や憲法前文に記された歴史認識に真っ向から反するものです。
ちなみに本年8月15日の小泉首相談話でも改めて「我が国は、かつて植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました」と内外に明らかにしたばかりです。
上記のような明白な歴史偽造の表現に対して批判を加えることは一市民として当然の言論の自由・表現の自由であるばかりか、憲法遵守義務を負い教育基本法に基づいて教育を行う教育公務員ならば尚更見過ごせず公職にある者の重大な誤りを指摘するのは義務ですらあります。増田教諭の指摘は、「学習指導要領」中学社会の目標の文言「国際社会に生きる民主的,平和的な国家・社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養う」等に照らしても正当なものです。むしろ貴教育委員会が、誤った歴史認識に基づいてなされた発言をたしなめることこそが、教育公務員の職責として求められていたのではないでしょうか。過去の戦争を心から反省する多くの日本国民と日本の反省を信ずるアジア諸国民に対し「誹謗中傷」しているのは、古賀俊昭都議と扶桑社の方です。
3,教師の思想を統制し、生徒の学習権を侵害する、裁量権の濫用です。
戒告処分に加えて、現場を外す「研修命令」の発令は、思想信条に対する不当な干渉であるばかりでなく、生徒の学習権への配慮を欠いた、非常識な措置であり、嫌がらせとも言うべき裁量権の濫用です。
昨年7月、再発防止研修執行停止裁判で東京地裁は「個人の内心の自由に踏み込み,著しい精神的苦痛を与える程度に至るものであれば…違憲違法の問題を生ずる可能性がある」という決定を出しています。もし、増田教諭に対する「研修」の内容が、思想信条の改変を強要するようなものならば、「違憲・違法」の問題が発生することになります。
また、新学期前日に、突然の現場外しは、2学期制の前期末試験、3年公民の授業、様々な学校行事、進路指導、生徒指導など校務全般に甚大な影響を与えることは、教育関係者なら容易に想像がつくことです。受験生の前期評定は推薦等に深く関わるものであり、教諭本人から一言の説明もないまま放置されるなら、彼らに大きな動揺を招きかねません。生徒の学習権を侵害してまで、実行されなければならないほど緊急性のある内容と形式の研修であるか、大変疑問です。
もとより、教諭の「歴史偽造」なる文言を以て、校内のあらゆる校務から引き離すとは、思想信条による差別待遇ではありませんか。そもそも、憲法・教育基本法・学習指導要領に明示されている「かつての植民地支配と侵略」「大戦が人類全体に惨禍を及ぼしたこと」「再び戦争の惨禍を引き起こさない決意」を理解していないのは、貴教育委員会であり、研修を必要としているのは、あなた方自身であることに思いを致していただきたいものです。
4,貴教育委員会の国際感覚が問われています。処分は撤回すべきです。
戦後60年の節目、アジア諸国からわが国の歴史認識が注目されているさなかに、このような「偽造」された歴史を強権をもって擁護・正当化しようとする貴教育委員会の行為がなされたことは、国際社会の厳しい批判にさらされるでしょう。
憲法・教育基本法の基本に立ち返り、教育公務員としての自覚に基づき、生徒と大多数の保護者すなわち国民全体の利益を最優先して、不当な処分及び研修命令を直ちに撤回されますよう、衷心から強く要望いたします。
教育への政治の介入を憂える一教員
指導部 義務教育心身障害教育指導課長 大江 近 殿
同 人事部 職員課長 藤森 教悦 殿
度重なる抗議にも関わらず、貴教育委員会は千代田区立九段中学校増田都子教諭に対し、戒告処分と研修命令を発しました。この措置は、極めてイデオロギー性が強く、貴教育委員会の政治的中立性と教育公務員としての資質を疑わせるものなので、平和憲法と教育基本法の原点に立ち返り、公平中立の立場から速やかに撤回されんことを改めて申し入れます。
1,教育基本法に違反しています。
たった一人の親のクレームから、教育内容に詳細にわたる「照会」を繰り返し行ったことは、教育基本法第10条に定める行政の「不当な支配」に当たるものです。教育は「国民全体に対し『直接』に責任を負って行われるもの」です。
2,わが国の公式な歴史認識に反しています。
教材プリントに掲載された私信の文言を以て戒告処分とするのは、行政による一方的な思想統制であり、違法違憲の疑いの極めて濃い行為です。
古賀俊昭都議の「侵略戦争云々というのは、全く当たらないと思います」なる発言は公開の都議会で行われたものであり、扶桑社歴史教科書の「この戦争は『自存自衛』のための戦争である」など教科書全体に一貫する歴史認識も、日本政府の公式見解や憲法前文に記された歴史認識に真っ向から反するものです。
ちなみに本年8月15日の小泉首相談話でも改めて「我が国は、かつて植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました」と内外に明らかにしたばかりです。
上記のような明白な歴史偽造の表現に対して批判を加えることは一市民として当然の言論の自由・表現の自由であるばかりか、憲法遵守義務を負い教育基本法に基づいて教育を行う教育公務員ならば尚更見過ごせず公職にある者の重大な誤りを指摘するのは義務ですらあります。増田教諭の指摘は、「学習指導要領」中学社会の目標の文言「国際社会に生きる民主的,平和的な国家・社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養う」等に照らしても正当なものです。むしろ貴教育委員会が、誤った歴史認識に基づいてなされた発言をたしなめることこそが、教育公務員の職責として求められていたのではないでしょうか。過去の戦争を心から反省する多くの日本国民と日本の反省を信ずるアジア諸国民に対し「誹謗中傷」しているのは、古賀俊昭都議と扶桑社の方です。
3,教師の思想を統制し、生徒の学習権を侵害する、裁量権の濫用です。
戒告処分に加えて、現場を外す「研修命令」の発令は、思想信条に対する不当な干渉であるばかりでなく、生徒の学習権への配慮を欠いた、非常識な措置であり、嫌がらせとも言うべき裁量権の濫用です。
昨年7月、再発防止研修執行停止裁判で東京地裁は「個人の内心の自由に踏み込み,著しい精神的苦痛を与える程度に至るものであれば…違憲違法の問題を生ずる可能性がある」という決定を出しています。もし、増田教諭に対する「研修」の内容が、思想信条の改変を強要するようなものならば、「違憲・違法」の問題が発生することになります。
また、新学期前日に、突然の現場外しは、2学期制の前期末試験、3年公民の授業、様々な学校行事、進路指導、生徒指導など校務全般に甚大な影響を与えることは、教育関係者なら容易に想像がつくことです。受験生の前期評定は推薦等に深く関わるものであり、教諭本人から一言の説明もないまま放置されるなら、彼らに大きな動揺を招きかねません。生徒の学習権を侵害してまで、実行されなければならないほど緊急性のある内容と形式の研修であるか、大変疑問です。
もとより、教諭の「歴史偽造」なる文言を以て、校内のあらゆる校務から引き離すとは、思想信条による差別待遇ではありませんか。そもそも、憲法・教育基本法・学習指導要領に明示されている「かつての植民地支配と侵略」「大戦が人類全体に惨禍を及ぼしたこと」「再び戦争の惨禍を引き起こさない決意」を理解していないのは、貴教育委員会であり、研修を必要としているのは、あなた方自身であることに思いを致していただきたいものです。
4,貴教育委員会の国際感覚が問われています。処分は撤回すべきです。
戦後60年の節目、アジア諸国からわが国の歴史認識が注目されているさなかに、このような「偽造」された歴史を強権をもって擁護・正当化しようとする貴教育委員会の行為がなされたことは、国際社会の厳しい批判にさらされるでしょう。
憲法・教育基本法の基本に立ち返り、教育公務員としての自覚に基づき、生徒と大多数の保護者すなわち国民全体の利益を最優先して、不当な処分及び研修命令を直ちに撤回されますよう、衷心から強く要望いたします。
教育への政治の介入を憂える一教員
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます