◆ 高裁勝利判決を経て最高裁へ
-再雇用拒否撤回第二次裁判- (都高退教ニュース)
【裁量権と期待権】
昨年5月の地裁における勝訴判決を前回お知らせしました。およそ半年後の12月10日に柴田寛之裁判長のもとで地裁判決をさらに補強するような高裁判決が言い渡されました。都教委は嘱託採用拒否事件等の高裁判決で示された「広範な裁量権を有している」および「期待というものは事実上のもの」という言葉を繰り返しましたが、柴田判決では「裁量権の逸脱濫用のない公正な選考を受け、再雇用制度等により設けられた雇用の機会が得られることについて、法的な利益(期待権)が認められるもの」であり、都教委が不公正な選考を行っても、一切責任を負うことがないのは不当であると、都教委に「公正な選考」の義務があることをあらためて指摘しました。
【思想・信条の自由と採用拒否】
高裁では地裁判決と同様に学習指導要領の国旗・国歌条項が、他の特別行事の実施や配慮すべき事項の内容と比して特段区別されていないと判示しています。
さらに、職務命令違反の「非違性を重大であると評価して大きな不利益を課すことに慎重な考慮を要するという点で、懲戒処分を科す場合と基本的には類似」しているので、採用拒否が「思想・信条の自由の侵害になり得る」とまで踏み込んでいます。
「加えて、現状の運用自体も憲法上の自由との関係で問題があるものである」とまで言っています。「現状の運用自体」とは、都教委が期待権に絡んで主張している「過去に君が代斉唱時の職務命令違反による不起立者が採用されたことは1件もない」ことではないでしょうか。
職命違反者を初めから排除しようという10.23通達→職務命令→処分→採用拒否という仕組みを裁判所が認めているように推測されます。
【上告審へ】
高裁判決の翌11日東京都・都教委は上告を都議会文教委員会に提案し、16日には都議会で承認されました。反対したのは共産党及び生活者ネットワークの二つの会派だけでした。明けて2月21日に都の上告受理申立て理由書が提出され、いよいよ私たちの上告審での闘いが始まりました。
都教委は、学習指導要領の国旗・国歌条項の重要性、思想及び良心の自由についての合憲性、先行した訴訟の高裁判決と異なっているという主張を繰り返しています。私などには最高裁が認めるわけのない主張に見えるのですが、弁護団ではそれに引きずられた対抗的な反論ではなく、私たちの主張をじっくりと展開しようということになり、5月下旬を目途に反論書を作り上げることが確認されました。
再任用制度は変わりましたが、都教委に従わない者を排除する体質は強固に見えます。排除の構造はますます巧妙に執拗になることが予想されます。私たちの勝利を確かなものにし、これからの教育現場での都教委に抗する闘いを支えようではありませんか。
『都高退教ニュース No.88』(2016年4月1日)
東京都高等学校教職員組合退職者会
-再雇用拒否撤回第二次裁判- (都高退教ニュース)
再雇用拒否撤回を求める第二次原告団 泉 健二
【裁量権と期待権】
昨年5月の地裁における勝訴判決を前回お知らせしました。およそ半年後の12月10日に柴田寛之裁判長のもとで地裁判決をさらに補強するような高裁判決が言い渡されました。都教委は嘱託採用拒否事件等の高裁判決で示された「広範な裁量権を有している」および「期待というものは事実上のもの」という言葉を繰り返しましたが、柴田判決では「裁量権の逸脱濫用のない公正な選考を受け、再雇用制度等により設けられた雇用の機会が得られることについて、法的な利益(期待権)が認められるもの」であり、都教委が不公正な選考を行っても、一切責任を負うことがないのは不当であると、都教委に「公正な選考」の義務があることをあらためて指摘しました。
【思想・信条の自由と採用拒否】
高裁では地裁判決と同様に学習指導要領の国旗・国歌条項が、他の特別行事の実施や配慮すべき事項の内容と比して特段区別されていないと判示しています。
さらに、職務命令違反の「非違性を重大であると評価して大きな不利益を課すことに慎重な考慮を要するという点で、懲戒処分を科す場合と基本的には類似」しているので、採用拒否が「思想・信条の自由の侵害になり得る」とまで踏み込んでいます。
「加えて、現状の運用自体も憲法上の自由との関係で問題があるものである」とまで言っています。「現状の運用自体」とは、都教委が期待権に絡んで主張している「過去に君が代斉唱時の職務命令違反による不起立者が採用されたことは1件もない」ことではないでしょうか。
職命違反者を初めから排除しようという10.23通達→職務命令→処分→採用拒否という仕組みを裁判所が認めているように推測されます。
【上告審へ】
高裁判決の翌11日東京都・都教委は上告を都議会文教委員会に提案し、16日には都議会で承認されました。反対したのは共産党及び生活者ネットワークの二つの会派だけでした。明けて2月21日に都の上告受理申立て理由書が提出され、いよいよ私たちの上告審での闘いが始まりました。
都教委は、学習指導要領の国旗・国歌条項の重要性、思想及び良心の自由についての合憲性、先行した訴訟の高裁判決と異なっているという主張を繰り返しています。私などには最高裁が認めるわけのない主張に見えるのですが、弁護団ではそれに引きずられた対抗的な反論ではなく、私たちの主張をじっくりと展開しようということになり、5月下旬を目途に反論書を作り上げることが確認されました。
再任用制度は変わりましたが、都教委に従わない者を排除する体質は強固に見えます。排除の構造はますます巧妙に執拗になることが予想されます。私たちの勝利を確かなものにし、これからの教育現場での都教委に抗する闘いを支えようではありませんか。
『都高退教ニュース No.88』(2016年4月1日)
東京都高等学校教職員組合退職者会
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます