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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

★ なぜ、南京事件の犠牲者数について“さまざまな説”で今も論争が続いているのだろう?

2023年02月04日 | 平和憲法

 ★ <情報>『産経』「正論」欄に藤岡氏が「南京事件の嘘」論を掲載!
   皆さま     高嶋伸欣です

 本日(2月1日)の『産経』「正論」欄で藤岡信勝氏が、「南京事件の嘘」論をまたも展開しています(添付記事参照)。
 一読しただけではもっともらしく思わされそうな巧妙さです。

 けれども、
 1) 藤岡氏が言うように、国民党がプロパガンダを効果的に実施していたとしても、日本側もやっていたことです。藤岡氏が騒げば騒ぐほど、プロパガンダ合戦で日本側は遅れをとっていたことを印象付けることになります。

 2)藤岡氏は国民党によるプロパガンダの内容は根拠が不明確であると言いつつ、それを真偽不明ではなく「嘘」と断定していることになります。それならば、藤岡氏による「嘘」との断定も真偽不明ですから、その断定もまた「嘘」ということになる論法です。
 『産経』読者などだけに通じる詐術論法を藤岡氏は用いています。

 3)また、「戦時国際法に違反して軍服を脱ぎ捨て、市民に変装した中国兵の「合法的処刑」であるとわざわざ注記されている」として、戦時国際法を持ち出しています。
 戦時国際法については、南京事件についての議論の早い段階(1994年7月)で、秦郁彦氏が南京事件は戦時国際法違反であることを指摘しています。それも『産経』紙上でです(添付資料参照)。
 「軍服を脱ぎ捨て、市民に変装」するのは戦時国際法違反ですが、処刑するのには裁判による判決が必要と戦時国際法では明記されています。そうした手順無しで殺害した南京の事件は「不法殺害」であるとした秦氏の指摘は妥当です。
 藤岡氏は、秦氏から「次は従軍慰安婦問題が面白いよ」という趣旨の助言をしてもらった、と自ら公言しています。両氏は親しい関係です。藤岡氏が秦氏のこの指摘を知らないはずはありません。何しろ『産経』が南京事件について扱った特集記事なのですから。
 それなのに、今回の「南京事件の嘘」論を展開しているのは、『産経』の読者は多少の嘘には目をつぶってくれるものと想定したから?

4)『産経』の編集部内でも、秦氏の指摘はなかったことにされているように思えます。
 『産経』が”嘘つき新聞”である事例がまた一つ登場したことになります。

5)ところで、上記の秦氏コメントに合わせてこれまでに指摘してきたことですが、秦氏の指摘によって日本軍は裁判抜きで捕虜も殺害していたことが再確認された点に私は注目しています。
 裁判がされていれば殺害(処刑)された人物の名前や人数の記録が残ります。ということは、南京事件の犠牲者数の議論が今なお水掛け論的な様相で続いている責任は、そうした記録を一切残すことなく南京の市民・中国兵を虫けらのように扱い、殺害した日本側にあることを、今も世界中に印象付けているということです。
 世界の人びとは戦争の惨禍を感情的にみるだけでなく、理性的に戦争の構造に目を向け、責任の所在を見極める姿勢を継承しています。
 そうした状況を無視、あるいは気付かずに日本軍による非人道的な殺害行為の実態を今なお隠蔽しようとしている藤岡信勝氏たちと『産経』のこれらの言動は、国際的な恥さらしです。

6)<提案> 中学・高校の歴史教科書では、藤岡氏たちの政治家などを通じた圧力を受けた検定によって、南京事件について「犠牲者の数などについては、さまざまな説があります」などと、不法殺害の印象を弱める記述に変えられています。
 それならば、「なぜ“さまざまな説”で今も論争が続いているのだろう?」という問いをそこから浮上させ、「実は日本軍は、戦闘は終わっていたのに、捕らえた人々の名前や人数さえも記録しないで殺害したので、明確な犠牲者の数を分からなくしてしまった。名前の記録もないから、遺族にとっては今も行方不明のまま、命日も分かっていなのだ」などと気づくきっかけとしての活用が見込めます。

関東大震災での朝鮮人虐殺犠牲者数の教科書記述についても同様です。
「司法省調査と民間調査ではなぜこのように犠牲者数が大きく違っているなだろうか?」という疑問から、政府・官庁の統計・用語の政治性を浮上させられます。

 こうした話題に気づく機会を藤岡氏と『産経』は創り出してくれたことになります。
 この機会を大いに活用したく、今回もまた長文になりました。ご容赦下さい。

 以上 高嶋の私見です   ご参考までに  転送・拡散は自由です

 


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