最高裁第三小法廷 裁判官 御中
私たちは「日の丸・君が代」の強制が「思想・良心・宗教の自由」の侵害に当たり、日本国憲法だけでなく、国連自由権規約にも違反することを裁判の中で主張するとともに、2008年から2014年にかけて国連の自由権規約委員会にレポートを提出し、また数度にわたってジュネーブに行き、委員会に直接訴える活動を続けてきました。
その結果、2014年日本報告審査「最終見解」において、パラグラフ22で「『公共の福祉』を理由とした基本的自由の制約」のタイトルの下、規約18条「思想・良心・宗教の自由」の侵害の問題が取り上げられました。(別添資料、和文p3に引用があります)
ここでは、規約18条3項の「厳しい条件」を満たさない限り、思想・良心・宗教の自由の権利に対して、いかなる制約を課すことも差し控えるよう強く促す、と書かれています。
強く促すurgeという動詞は、緊急性を要する行動要請であり、全29パラグラフのうちここでしか使われていません。
国連勧告は、(A)政府報告→(B)それに対するNGOレポート→(C)委員会から政府への問い合わせ(List of Issues)→(D)政府回答→(E)NGOの再反論→(F)本会議での審査というプロセスを経て、(G)『最終見解』として示されます。
今回は(C)のリスト・オブ・イシューのパラグラフ17で「国旗・国歌の強制」の問題が初めて取り上げられました。そして、(G)の「最終見解」のパラグラフ22はリスト・オブ・イシューのパラグラフ17に完全に対応する形で記述されています。
なお、日本政府は、自らの主張を正当化するために、(A)においては「板橋高校卒業式事件最高裁判決」(2011.7.7)、(D)においては「不起立教員再雇用拒否1次訴訟最高裁判決」(2011.6.6)と2つの最高裁判決を引用しています。
以上のことから、パラグラフ22で国連が懸念している事例には「君が代強制」による「思想・良心・宗教の自由」の侵害が含まれていることは明らかであり、更に、国連が(D)の政府回答を受けた上で規約第18条3項の「厳しい条件」を適用せよと勧告したということは、日本政府が引用した「最高裁判決」は国際標準を満たしていないと判断されたことを意味します。
本年4月には国連「表現の自由」特別報告者デビッド・ケイ氏の来日が実現し、政府機関等からのヒアリングの他に、4月16日には国内NGOの訴えを聞くブリーフィングの場も設けられました。私たちの会もそのブリーフィングに参加し、東京における「日の丸・君が代」強制の実態についてケイ氏に直接説明しました。
日本政府は自由権規約委員会の勧告を真摯に受け止めるべきですが、勧告から1年以上経過しても、関係機関の動きは鈍く、私たちはその現状についてもケイ氏に報告しました。そのとき提出した資料の内容が最高裁判例にも関わるので、参考として提供させていただきます。私たちは今後とも国連の人権機関に「日の丸・君が代」の強制による人権侵害について訴える活動を続けていきます。
最高裁は人権の砦として、国内諸機関に率先して、自動執行力のある自由権規約18条を裁判規範として適用する責務があります。今回の国連勧告パラ22を真摯に受け止めるということは、私たちの支援する裁判に即していえば、目前の「東京『君が代』3次訴訟」において、規約18条3項の国際標準の「厳しい条件」を適用することに他なりません。貴職がいまこそ具体的課題において国際標準の人権レベルを達成されることを強く念願し要請いたします。
◎ 要 請 書
2016年6月14日
国際人権プロジェクトチーム A
国際人権プロジェクトチーム A
私たちは「日の丸・君が代」の強制が「思想・良心・宗教の自由」の侵害に当たり、日本国憲法だけでなく、国連自由権規約にも違反することを裁判の中で主張するとともに、2008年から2014年にかけて国連の自由権規約委員会にレポートを提出し、また数度にわたってジュネーブに行き、委員会に直接訴える活動を続けてきました。
その結果、2014年日本報告審査「最終見解」において、パラグラフ22で「『公共の福祉』を理由とした基本的自由の制約」のタイトルの下、規約18条「思想・良心・宗教の自由」の侵害の問題が取り上げられました。(別添資料、和文p3に引用があります)
ここでは、規約18条3項の「厳しい条件」を満たさない限り、思想・良心・宗教の自由の権利に対して、いかなる制約を課すことも差し控えるよう強く促す、と書かれています。
強く促すurgeという動詞は、緊急性を要する行動要請であり、全29パラグラフのうちここでしか使われていません。
国連勧告は、(A)政府報告→(B)それに対するNGOレポート→(C)委員会から政府への問い合わせ(List of Issues)→(D)政府回答→(E)NGOの再反論→(F)本会議での審査というプロセスを経て、(G)『最終見解』として示されます。
今回は(C)のリスト・オブ・イシューのパラグラフ17で「国旗・国歌の強制」の問題が初めて取り上げられました。そして、(G)の「最終見解」のパラグラフ22はリスト・オブ・イシューのパラグラフ17に完全に対応する形で記述されています。
なお、日本政府は、自らの主張を正当化するために、(A)においては「板橋高校卒業式事件最高裁判決」(2011.7.7)、(D)においては「不起立教員再雇用拒否1次訴訟最高裁判決」(2011.6.6)と2つの最高裁判決を引用しています。
以上のことから、パラグラフ22で国連が懸念している事例には「君が代強制」による「思想・良心・宗教の自由」の侵害が含まれていることは明らかであり、更に、国連が(D)の政府回答を受けた上で規約第18条3項の「厳しい条件」を適用せよと勧告したということは、日本政府が引用した「最高裁判決」は国際標準を満たしていないと判断されたことを意味します。
本年4月には国連「表現の自由」特別報告者デビッド・ケイ氏の来日が実現し、政府機関等からのヒアリングの他に、4月16日には国内NGOの訴えを聞くブリーフィングの場も設けられました。私たちの会もそのブリーフィングに参加し、東京における「日の丸・君が代」強制の実態についてケイ氏に直接説明しました。
日本政府は自由権規約委員会の勧告を真摯に受け止めるべきですが、勧告から1年以上経過しても、関係機関の動きは鈍く、私たちはその現状についてもケイ氏に報告しました。そのとき提出した資料の内容が最高裁判例にも関わるので、参考として提供させていただきます。私たちは今後とも国連の人権機関に「日の丸・君が代」の強制による人権侵害について訴える活動を続けていきます。
最高裁は人権の砦として、国内諸機関に率先して、自動執行力のある自由権規約18条を裁判規範として適用する責務があります。今回の国連勧告パラ22を真摯に受け止めるということは、私たちの支援する裁判に即していえば、目前の「東京『君が代』3次訴訟」において、規約18条3項の国際標準の「厳しい条件」を適用することに他なりません。貴職がいまこそ具体的課題において国際標準の人権レベルを達成されることを強く念願し要請いたします。
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