◆ 不正入試発覚
~都教委の都立高再編施策の破綻が露呈
東京都教育委員会は2011年3月25日、都立蒲田高校(大田区)の校長在職中、2年にわたり入試の不正工作をした、都西部学校経営支援センターの学校経営支援担当課長・芝尾仁氏(55歳)を「信用失墜行為」等で懲戒免職にした。アイヒマンのように従い、不正を手伝った男性副校長と女性副校長も、停職と戒告の処分にした。
都教委によると、蒲田高校は2006年7月、「力を発揮できずにいるが、学び直しの意欲ある生徒」に、「午前30分授業、午後は体験学習」を行う、いわゆるエンカレッジスクール(エンカレ)に指定。不正は約1年前の匿名の電話とFAXで発覚したという。
芝尾氏は、受験生の「茶髪などの頭髪、ピアスの着用や跡の有無、スカート丈」等を、願書提出時と入試当日、複数の教諭に観察させる入試実施要綱を決定。チェック内容を副校長に集約させた。
そして芝尾氏は、主幹教諭(教務担当)らに指示し、「頭髪・服装等に課題ある生徒」を不合格にするため、総合成績(千点満点)から最大で154点を減点。不正な得点”調整”は2年間で61人に上る。
具体的には、07年度の入試で「課題生徒」を合格させないため、面接点の改ざんを指示。08年度は面接点だけでは「課題生徒」全員を不合格にできず、小論文や実技検査も減点させる一方、本来は不合格の9人に加点し合格させる”調整”を指示した。
この結果、本来合格だが不合格とされ、同校で学ぶ権利を奪われた生徒は、計21人となった。
校長権限を濫用した芝尾氏と、違法な指示・命令に服従してしまう”部下”という、上意下達の学校組織化が、事件の主要因だ。
だが、都立高関係者らは取材に、「多くの教職員の反対を押し切り、都教委がこれまで全都で5校指定したエンカレは、面接・小論文・実技だけでの選抜を強制。学力試験を禁じているため、中学の調査(内申)書以外、客観的に学力面を見る手段がない。芝尾氏の改窟は大問題だが、普通高校を解体し『特色ある学校作り』と言って、進学指導重点校とかエンカレとかに選別・再編した、都教委の『都立高校改革推進計画』の破綻が露呈した。芝尾氏は、トカゲの尻尾切りされた面もある」と語っている。
~都教委の都立高再編施策の破綻が露呈
永野厚男(教育ライター)
東京都教育委員会は2011年3月25日、都立蒲田高校(大田区)の校長在職中、2年にわたり入試の不正工作をした、都西部学校経営支援センターの学校経営支援担当課長・芝尾仁氏(55歳)を「信用失墜行為」等で懲戒免職にした。アイヒマンのように従い、不正を手伝った男性副校長と女性副校長も、停職と戒告の処分にした。
都教委によると、蒲田高校は2006年7月、「力を発揮できずにいるが、学び直しの意欲ある生徒」に、「午前30分授業、午後は体験学習」を行う、いわゆるエンカレッジスクール(エンカレ)に指定。不正は約1年前の匿名の電話とFAXで発覚したという。
芝尾氏は、受験生の「茶髪などの頭髪、ピアスの着用や跡の有無、スカート丈」等を、願書提出時と入試当日、複数の教諭に観察させる入試実施要綱を決定。チェック内容を副校長に集約させた。
そして芝尾氏は、主幹教諭(教務担当)らに指示し、「頭髪・服装等に課題ある生徒」を不合格にするため、総合成績(千点満点)から最大で154点を減点。不正な得点”調整”は2年間で61人に上る。
具体的には、07年度の入試で「課題生徒」を合格させないため、面接点の改ざんを指示。08年度は面接点だけでは「課題生徒」全員を不合格にできず、小論文や実技検査も減点させる一方、本来は不合格の9人に加点し合格させる”調整”を指示した。
この結果、本来合格だが不合格とされ、同校で学ぶ権利を奪われた生徒は、計21人となった。
校長権限を濫用した芝尾氏と、違法な指示・命令に服従してしまう”部下”という、上意下達の学校組織化が、事件の主要因だ。
だが、都立高関係者らは取材に、「多くの教職員の反対を押し切り、都教委がこれまで全都で5校指定したエンカレは、面接・小論文・実技だけでの選抜を強制。学力試験を禁じているため、中学の調査(内申)書以外、客観的に学力面を見る手段がない。芝尾氏の改窟は大問題だが、普通高校を解体し『特色ある学校作り』と言って、進学指導重点校とかエンカレとかに選別・再編した、都教委の『都立高校改革推進計画』の破綻が露呈した。芝尾氏は、トカゲの尻尾切りされた面もある」と語っている。
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