◆ <お礼>「聖断」賛美映画の宣伝の件
皆さま 高嶋伸欣です
先日お願いしました映画『日本のいちばん長い日』の過剰な事前宣伝ぶりについての各地の様子を知らせて頂き、ありがとうございました。
頂いた情報などで自信を得て、同映画を批判する拙稿を『週刊金曜日』のコラムに載せてもらいました。
実は、あの「6紙共同広告」の広告が掲載された7月31日が、原稿の締め切り日だったのですが、用意していた別テーマのものを取りやめてこの件に切り替えることにし、編集部に3日(月)朝まで待ってもらうことにしたものです。
その間にこの大規模な宣伝の範囲を知りたいと思い、皆さんに情報の提供をおねがいしました。おかげさまで、宣伝の規模などを見極めた上で、批判的に原稿をまとめることができました。
字数の関係で触れませんでしたが、広告掲載とは別に、新聞の本紙記事でもお粗末さが目立ちます。
例えば『読売』は8月2日朝刊の連載「戦後70年 あの夏」2回目で空襲体験者を取り上げていますが、その解説で「空襲は終戦の玉音放送が流れる日まで続く。14日夜から15日未明にかけて、秋田や関東地方の都市が被害に遭っている」としています。
「空襲は終戦の玉音放送が流れるまで続く」は誤りです。米軍は、日本政府からポツダム宣言受諾の意向が伝えられた10日頃に、空襲を中止させていたのです。
ところが日本政府は「国体(天皇制)存続を容認すると確約して欲しい」との水面下交渉を続けて煮え切らなかったために、業を煮やした米軍が爆撃を再開して14日深夜の空襲になった、といういきさつがすでに判明しています。
NHKがそのことを夜7時半からのゴールデンタイムの番組で指摘していたことも、私のコラムで紹介してあります(週刊金曜日、2012年6月15日号)。この事実に触れないで14日夜の空襲をわざわざ強調するのは、歴史の歪曲でしょう。
ちなみに、この『読売』の”落ち度”を生徒に気づかせる絶好の図版を『産経』が掲載しています。8月5日朝刊(東京本社版)の「戦後70年シリーズ」の全ページ特集「昭和20年夏」の一画にある「ポツダム宣言以降の主な本土空襲と死者数」の図です。
「主な」ですから、14日夜の神奈川県小田原市などを含んでいませんが、それでも死者総数229,877人です。
夏休み明けの授業で、「この図版から何が分かるかなあ?」と問いかけてみてはいかがでしょうか。もちろん『産経』の記事ですから校長も「だめ!」とはいわないはずです。
本日(9日)の『世界日報』では小堀圭一郎東大名誉教授が「終戦の詔勅」について「国体護持条件に堂々と停戦」と強調しています。無条件降伏ではなく国体護持を認めさせた有条件降伏だったと「堂々と」主張しているのですから、いよいよ「聖断」は国民のためではなかったということです。
だとすると、安倍首相のための有識者会議の報告書で、戦後の日本は「全く異なる国に生まれ変わった」としているのは、事実に反することになります。
かくして「聖断」美化の映画は、「聖断」の本性を次々と暴きだす話題への連鎖反応の発端の役を演じることで、偉大な反面教師の役割を果たしつつあるようです。
その点で、今後に注目しています。
関連の情報がありましたら、提供を宜しくお願いいたします。
転載・拡散は自由です
皆さま 高嶋伸欣です
先日お願いしました映画『日本のいちばん長い日』の過剰な事前宣伝ぶりについての各地の様子を知らせて頂き、ありがとうございました。
頂いた情報などで自信を得て、同映画を批判する拙稿を『週刊金曜日』のコラムに載せてもらいました。
実は、あの「6紙共同広告」の広告が掲載された7月31日が、原稿の締め切り日だったのですが、用意していた別テーマのものを取りやめてこの件に切り替えることにし、編集部に3日(月)朝まで待ってもらうことにしたものです。
その間にこの大規模な宣伝の範囲を知りたいと思い、皆さんに情報の提供をおねがいしました。おかげさまで、宣伝の規模などを見極めた上で、批判的に原稿をまとめることができました。
字数の関係で触れませんでしたが、広告掲載とは別に、新聞の本紙記事でもお粗末さが目立ちます。
例えば『読売』は8月2日朝刊の連載「戦後70年 あの夏」2回目で空襲体験者を取り上げていますが、その解説で「空襲は終戦の玉音放送が流れる日まで続く。14日夜から15日未明にかけて、秋田や関東地方の都市が被害に遭っている」としています。
「空襲は終戦の玉音放送が流れるまで続く」は誤りです。米軍は、日本政府からポツダム宣言受諾の意向が伝えられた10日頃に、空襲を中止させていたのです。
ところが日本政府は「国体(天皇制)存続を容認すると確約して欲しい」との水面下交渉を続けて煮え切らなかったために、業を煮やした米軍が爆撃を再開して14日深夜の空襲になった、といういきさつがすでに判明しています。
NHKがそのことを夜7時半からのゴールデンタイムの番組で指摘していたことも、私のコラムで紹介してあります(週刊金曜日、2012年6月15日号)。この事実に触れないで14日夜の空襲をわざわざ強調するのは、歴史の歪曲でしょう。
ちなみに、この『読売』の”落ち度”を生徒に気づかせる絶好の図版を『産経』が掲載しています。8月5日朝刊(東京本社版)の「戦後70年シリーズ」の全ページ特集「昭和20年夏」の一画にある「ポツダム宣言以降の主な本土空襲と死者数」の図です。
「主な」ですから、14日夜の神奈川県小田原市などを含んでいませんが、それでも死者総数229,877人です。
夏休み明けの授業で、「この図版から何が分かるかなあ?」と問いかけてみてはいかがでしょうか。もちろん『産経』の記事ですから校長も「だめ!」とはいわないはずです。
本日(9日)の『世界日報』では小堀圭一郎東大名誉教授が「終戦の詔勅」について「国体護持条件に堂々と停戦」と強調しています。無条件降伏ではなく国体護持を認めさせた有条件降伏だったと「堂々と」主張しているのですから、いよいよ「聖断」は国民のためではなかったということです。
だとすると、安倍首相のための有識者会議の報告書で、戦後の日本は「全く異なる国に生まれ変わった」としているのは、事実に反することになります。
かくして「聖断」美化の映画は、「聖断」の本性を次々と暴きだす話題への連鎖反応の発端の役を演じることで、偉大な反面教師の役割を果たしつつあるようです。
その点で、今後に注目しています。
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