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文科省にパブコメ10万人大作戦!!

2017年05月04日 | こども危機
 ◆ 「意味不明でも国歌を」
   ~幼稚園教育要領案で文科省が言明
(週刊新社会)
永野厚男・教育ジャーナリスト


文科省に公開電話取材する増山さん(右)と小野寺さん。撮影は筆者。

 文部科学省が「大綱的基準として各学校の教育課程編成に法的拘束力がある」と主張する、学習指導要領(以下、指導要領)の国家主義色の教化に危機感を持つジャーナリストらが2017年3月15日、参院議員会館で集会を開き、文科省に公開電話取材を行った。
 同日は指導要領改訂案のパブリックコメント最終日だけに、集会名は「文科省にパブコメ10万人大作戦!!」。筆者が改訂案全体の問題点を講演後、増山麗奈(れな)さん・小野寺通(とおる)さんと筆者が、幼稚園教育要領(以下、教育要領)改訂案が「正月や節句など我が国の伝統的な行事、国歌、唱歌、わらべうたや我が国の伝統的な遊びに親し」ませる旨、加筆した問題を中心に、文科省幼児教育課の沓澤(くつざわ)進・子育て支援指導官に、以下、質問した。
 ① 昨・16年12月21日、中教審総会が出した答申は、幼稚園では「我が国や地域社会における様々な文化や伝統に触れたり」と記すが、"君が代"は言及ゼロ。12月8日の中教審教育課程部会での、日本PTA全国協議会前会長・尾上浩一委員、たった1名の推進の主張だけで、文科省の役人がが"君が代"を入れるのは変。わらべ歌や伝統的な建築、風呂敷・お弾(はじ)き・お手玉等と、政治色が入る"君が代"とは、全く別だ。
 ② 08年改訂時のように、保守系国会議員や政治団体等から政治的圧力があるのでは(【注】参照)。
 ①②に沓澤氏は「中教審答申は基本的方向性を示すもので、指導要領・教育要領の文言は、文科大臣が最終的に判断する。答申の『文化や伝統』の根っこに国歌が入っていると考える。小学校入学時、初めて国歌に接すると戸惑う。幼児が『これが国歌』と分かるよう今回入れたが、必ずしも入学式で全員が歌えるようにしてほしいと思っているのではない」と回答。
 筆者が「3歳~5歳児という年齢から常識的に考えて、"国"や"統治機構(国家権力)による治世"等の概念が分からず、"君=天皇"など歌詞の意味が不明な、幼児への強制は、動物的調教だ」と質すと、沓澤氏は「国歌の意味は小学校入学後、教えていく」と答えるに留まり、発達段階への考慮のなさが露呈した。
 真山勇一参院議員(民進)や元千葉県立高校校長ら20人強(前段集会含む)が参加した会場は、沓澤氏の回答に失笑する人もいた。
 【注】 08年の指導要領改訂時、同一筆跡・同一内容で"君が代"や"愛国心"強制等を強化するよう求める、右翼政治団体の組織的かつ数を稼ぐパブコメ工作があった。増山さんは前段集会で、「これらも賛否の数にカウントするのか」と質問。教育課程企画室・審議調整係の谷原吏氏「(発信者の)名前が違えば、それも1通・2通と数える」と答えると、会場内に驚きの声が上がった。
『週刊新社会』(2017年4月18日号)掲載記事に、筆者が加筆したもの。

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