★ 3月10日(火)午後2時~4時 101法廷 控訴審第7回口頭弁論
『「君が代・強制」解雇裁判通信』(2009年1月5日 第84号)
◎ 都教委の「変貌の実態」明らかに
卒業生・鈴木氏が証言=控訴審第五回口頭弁論(2)
▼ 鈴木氏の証言
尋問担当は秋山弁護士。尋問時間は四五分、反対尋問は一五分。鈴木氏は淡々とした調子で、都教委が一部政治勢力によって刻々と変貌していく様子をリアルに証言しました。それは、あらかじめシナリオを準備されていたかのような両者の動きです。
○あなたの立場は?
-控訴人の先生方は組合の指示ではなく、良心に基づいて行動した。私は都高教の担当副委員長として事実関係を知っているので証言するが、組合を代表して証言するわけではなく、意見にわたる部分はあくまで偲人的見解。
○一〇・二三通達までの卒業式をめぐる状況は?
-一九九九年の国旗国歌法制定をきっかけに「平成一年通達」がだされた。これは実施率の上昇が主眼。校長は、生徒、保護者に説明し、特に教職員には理解を得るような内容になっている。
-都教委から校長に示された「Q&A」には、「国旗掲揚・国歌斉唱は基本的には校長の権限で実施。職務命令の前に説得が必要。その発出は最後の手段」とある。
-実施率は平成一二年度卒業式では百%になった。国旗は壇上、三脚掲揚、国歌はCD伴奏が多かった。学習指導要領に反するという指導はなかった。
-生徒、保護者の強制にならないように多くの学校では「内心の自由」の説明が行われた。
○一〇・二三通達発出直前の一月、都高教は都教委に要請を行ったとあるが、そのときの対応の様子は?
-従来と同様で、賀澤高校指導課長は「都教委が直接命令するものでない。生徒の内心まで立ち入って強制するものでない」と発言したが、起立斉唱しない教職員のことや、内心の自由の説明をしていることについての発言はなかった。
○四月四日の大崎高校の出来事は?
-「入学式前に内心の自由の説明をしてはならない」「これは(横山)教育長がいっていると指導主事から指導を受けた」という校長の発言ことだ。
○それで?
-直ちに都教委に出向き、直接得た賀灘課長からの「説明するなという指導はしていない」という回答を大崎高校に伝えたところ、校長も都教委に確認し、前言を撤回した。
-この出来事から言えることは、四月四日の段階では、都教委は内心の自由を禁止するという方針は出していなかったということだ。
○都教委の姿勢が大きく変わったのは?
-教育委員会の定例会で米長委員や鳥海委員から実施状況に課題のある学校を公表せよとの要求。これまで公表に慎重だった都教委は五月二二日、一転してプレス発表を行った。これは、都議会筋の動きや一部マスコミの開示請求があったからだと、賀澤課長から聞いた。
○さらに変わったのは?
-七月二日の都議会での土屋たかゆき都議とそれに対する横山教育長の答弁で、さらに変わった。この答弁内容は六月二五日に出来ていたことが後でわかった。この内容のポイントは次のこと。
①内心の自由の説明は極めて不適切
②教員は国歌斉唱時に起立しないということはあってはならないこと
③対策本部を設置し、実施指針を作成する
-その後、対策本部の会議が何度ももたれ、一〇・二三通達の発令に至った。
○方針変更の背景にあるものは?
-一部都議に上る政治的圧力や一部教育委員の強硬姿勢だ。
○職務命令が発令されたときの組合の対応は?
-基本方針は「処分者を出さない、いったん引く」というものだが、個人の思想良心によって「ピアノを弾けない」「立てない」「歌えない」という方については許容するという方針。
-組合として、職務命令が出てもそれに従わずに、「立つな、歌うな」と指示したことはない。
-起立しないことによって、職務命令違反で懲戒処分を受けた方は、組合の指示で起立しなかったとか、組織的に抵抗したというのとは全く異なることだ。控訴人一〇人の中に、組合員でない方もいる。
○再雇用合格取消については?
-再雇用制度の趣旨は教職員の定年退職後の雇用確保にある。一〇・二三通達前は、その選考合格率はほとんど百%で、年度が始まる前に合格が取り消された例はない。
○合格取消を行った都教委の意図は?
-控訴人一〇人の合格取消は、職務命令に従わなければ定年後の職そのものが失われることを示し、いわば見せしめのために行った。過酷な措置だと批判されると思いつつも踏み切った。
○最後に、本件について特に裁判所に理解してほしいことは?
-教育者として、長い経験にも照らし、ご自分の良心に従い、また憲法にも保障されている思想・良心の自由に関わる問題で、いきなり嘱託員などの合格取消は、教育者としての存在を脅かすものです。そのことで教壇を追われることは、教師として断腸の思いではなかったでしょうか。是非教壇に戻すなりの措置をお願いします。
また、嘱託員等の合格取消や採用拒否は、退職者の定年後の生活を脅かします。本件の合格取消の後も、毎年、毎年、国歌斉唱時に起立しなかったことだけを理由にした嘱託の採用拒否や合格取消が続いています。憲法が存在するこの国で日の丸・君が代の強制、学校行事に対する執勘なまでの行政の介入が起こり、生徒達の思いが踏みにじられることは、異常なことです。このようなことは止めさせて頂きたいと願うばかりです。
▽ 都側の反対尋問
尋問者は都側の松下、細田の両代理人。その反対導問には、的を射た質問はありませんでした。かえってそれぞれの証人の的確な答弁で、私たちの主張を裏付ける結果になっていました。
※ 編集後記
▽初めての高裁での証人等問▽編集していて、二人の卒業生の素晴らしさに改めて感動を覚えている。また、鈴木氏は、私たち控訴人の思いも見事に代弁してくれた。改めて感謝したい▽これを裁判所が受けとめてくれたと信じたい▽しかし北九州「こころ裁判」控訴審では、一審で認められた損害賠償などを否定、全面敗訴の判決だ。楽観はできない▽どちらにしても今春には結審する。そして判決も今年には出る。勝ちたい裁判だ。
『「君が代・強制」解雇裁判通信』(2009年1月5日 第84号)
◎ 都教委の「変貌の実態」明らかに
卒業生・鈴木氏が証言=控訴審第五回口頭弁論(2)
▼ 鈴木氏の証言
尋問担当は秋山弁護士。尋問時間は四五分、反対尋問は一五分。鈴木氏は淡々とした調子で、都教委が一部政治勢力によって刻々と変貌していく様子をリアルに証言しました。それは、あらかじめシナリオを準備されていたかのような両者の動きです。
○あなたの立場は?
-控訴人の先生方は組合の指示ではなく、良心に基づいて行動した。私は都高教の担当副委員長として事実関係を知っているので証言するが、組合を代表して証言するわけではなく、意見にわたる部分はあくまで偲人的見解。
○一〇・二三通達までの卒業式をめぐる状況は?
-一九九九年の国旗国歌法制定をきっかけに「平成一年通達」がだされた。これは実施率の上昇が主眼。校長は、生徒、保護者に説明し、特に教職員には理解を得るような内容になっている。
-都教委から校長に示された「Q&A」には、「国旗掲揚・国歌斉唱は基本的には校長の権限で実施。職務命令の前に説得が必要。その発出は最後の手段」とある。
-実施率は平成一二年度卒業式では百%になった。国旗は壇上、三脚掲揚、国歌はCD伴奏が多かった。学習指導要領に反するという指導はなかった。
-生徒、保護者の強制にならないように多くの学校では「内心の自由」の説明が行われた。
○一〇・二三通達発出直前の一月、都高教は都教委に要請を行ったとあるが、そのときの対応の様子は?
-従来と同様で、賀澤高校指導課長は「都教委が直接命令するものでない。生徒の内心まで立ち入って強制するものでない」と発言したが、起立斉唱しない教職員のことや、内心の自由の説明をしていることについての発言はなかった。
○四月四日の大崎高校の出来事は?
-「入学式前に内心の自由の説明をしてはならない」「これは(横山)教育長がいっていると指導主事から指導を受けた」という校長の発言ことだ。
○それで?
-直ちに都教委に出向き、直接得た賀灘課長からの「説明するなという指導はしていない」という回答を大崎高校に伝えたところ、校長も都教委に確認し、前言を撤回した。
-この出来事から言えることは、四月四日の段階では、都教委は内心の自由を禁止するという方針は出していなかったということだ。
○都教委の姿勢が大きく変わったのは?
-教育委員会の定例会で米長委員や鳥海委員から実施状況に課題のある学校を公表せよとの要求。これまで公表に慎重だった都教委は五月二二日、一転してプレス発表を行った。これは、都議会筋の動きや一部マスコミの開示請求があったからだと、賀澤課長から聞いた。
○さらに変わったのは?
-七月二日の都議会での土屋たかゆき都議とそれに対する横山教育長の答弁で、さらに変わった。この答弁内容は六月二五日に出来ていたことが後でわかった。この内容のポイントは次のこと。
①内心の自由の説明は極めて不適切
②教員は国歌斉唱時に起立しないということはあってはならないこと
③対策本部を設置し、実施指針を作成する
-その後、対策本部の会議が何度ももたれ、一〇・二三通達の発令に至った。
○方針変更の背景にあるものは?
-一部都議に上る政治的圧力や一部教育委員の強硬姿勢だ。
○職務命令が発令されたときの組合の対応は?
-基本方針は「処分者を出さない、いったん引く」というものだが、個人の思想良心によって「ピアノを弾けない」「立てない」「歌えない」という方については許容するという方針。
-組合として、職務命令が出てもそれに従わずに、「立つな、歌うな」と指示したことはない。
-起立しないことによって、職務命令違反で懲戒処分を受けた方は、組合の指示で起立しなかったとか、組織的に抵抗したというのとは全く異なることだ。控訴人一〇人の中に、組合員でない方もいる。
○再雇用合格取消については?
-再雇用制度の趣旨は教職員の定年退職後の雇用確保にある。一〇・二三通達前は、その選考合格率はほとんど百%で、年度が始まる前に合格が取り消された例はない。
○合格取消を行った都教委の意図は?
-控訴人一〇人の合格取消は、職務命令に従わなければ定年後の職そのものが失われることを示し、いわば見せしめのために行った。過酷な措置だと批判されると思いつつも踏み切った。
○最後に、本件について特に裁判所に理解してほしいことは?
-教育者として、長い経験にも照らし、ご自分の良心に従い、また憲法にも保障されている思想・良心の自由に関わる問題で、いきなり嘱託員などの合格取消は、教育者としての存在を脅かすものです。そのことで教壇を追われることは、教師として断腸の思いではなかったでしょうか。是非教壇に戻すなりの措置をお願いします。
また、嘱託員等の合格取消や採用拒否は、退職者の定年後の生活を脅かします。本件の合格取消の後も、毎年、毎年、国歌斉唱時に起立しなかったことだけを理由にした嘱託の採用拒否や合格取消が続いています。憲法が存在するこの国で日の丸・君が代の強制、学校行事に対する執勘なまでの行政の介入が起こり、生徒達の思いが踏みにじられることは、異常なことです。このようなことは止めさせて頂きたいと願うばかりです。
▽ 都側の反対尋問
尋問者は都側の松下、細田の両代理人。その反対導問には、的を射た質問はありませんでした。かえってそれぞれの証人の的確な答弁で、私たちの主張を裏付ける結果になっていました。
※ 編集後記
▽初めての高裁での証人等問▽編集していて、二人の卒業生の素晴らしさに改めて感動を覚えている。また、鈴木氏は、私たち控訴人の思いも見事に代弁してくれた。改めて感謝したい▽これを裁判所が受けとめてくれたと信じたい▽しかし北九州「こころ裁判」控訴審では、一審で認められた損害賠償などを否定、全面敗訴の判決だ。楽観はできない▽どちらにしても今春には結審する。そして判決も今年には出る。勝ちたい裁判だ。
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