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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

徳島県教組 裁判勝利報告集会 差別は許さない

2017年03月05日 | 人権
 ◆ 「在特会」の組合襲撃 人種差別撤廃条約違反だ
   ヘイト行為 人間の尊厳をつぶす
(週刊新社会)


 2010年6月15日、事件からちょうど2カ月後、いち早く事件の詳細を報じたのは『週刊新社会』685号だった。紙面には、「在特会」が徳島県教組に乱入との大見出しが目に飛び込んでくる。
 多くのマスコミは、事件を知りながら報道することはなかった。

 ◆ 名誉穀損には不起訴
 10年4月14日、のどかな春の昼下がりの空気を、突然の罵声と怒号の襲来が切り裂いた。どこの誰とも名乗ることなく、十数人の男女が徳島県教職員組合書記局になだれ込んできた。
 在特会の襲撃と知ったのは警察情報からだった。
 当初は、何がなんだかわからず混乱し、殺伐とした現場に呆然と立ちすくむだけだったが、在特会らの目的は、明らかに朝鮮学校攻撃の一環としての襲撃だった。
 2009年12月から3度にわたる京都朝鮮学校襲撃は、学校を憎悪と差別の渦に巻き込み、子どもたちを恐怖に震え上がらせた。
 在特会は、その直後に徳島県教組を襲撃した。
 組合が四国朝鮮初中級学校へ支援カンパをしたからだ。
 京都も徳島も襲撃の共通項は朝鮮学校なのだ。徳島県教組襲撃は、朝鮮学校を支援すると、こんなひどい目に遭うのだという見せしめ、つるし上げだった。
 確定した高松高裁判決文には、「リンチ行為に及ぶ」と記されている。
 そればかりか、襲撃の状況を動画にアップし、不特定多数の眼に晒し続けた。
 こんな人間の尊厳をたたきつぶすような行為を許してはいけない。

 本来ならば現行犯逮捕されるべきだったが、警察が主犯格を逮捕したのは半年近く後の秋9月だった。
 起訴された6人は威力業務妨害と建造物侵入で有罪判決
 しかし、名誉殿損は不起訴。納得いかない。

 組合ばかりでなく、元書記長名指しのヘイト攻撃を検察は不起訴にした。
 さらに、襲撃メンバー2人(現場で撮影した人物と事件後もプログなどで執拗に朝鮮学校、組合、元書記長への誹諺中傷を繰り返している人物)が放免されたことも許せない。
 検察審査会に不服申し立てを行った。審査会は「不起訴不当」を議決。検察は、しぶしぶ襲撃メンバー2人を起訴し有罪となったが、名誉殿損は、またもや不起訴にした。このままでは終わらせない。
 ◆ 差別裁判の原動力に
 13年8月、民事裁判を提訴。組合と元書記長が原告となり、在特会らのヘイト行為が人権侵害であること、人種差別撤廃条約違反であり女性差別撤廃条約違反と訴えた。
 徳島地裁判決は「・・・動機として個人被告らの人種差別的思想に由来するかどうかはともかくとして、朝鮮人に対する差別を直接的に扇動・助長するような内容まで伴っているとはいい難く、本件抗議活動それ自体をもって、人種差別的思想が発現したとはいえない・・」と条約違反を否定した。
 裁判官は何を見てきたのか。愕然とした。ここで引き下がっては負けになる。

 2015年8月、高松高裁での控訴審
 差別を許さないと一歩も引かない人たちが裁判支援に加わった。四国朝鮮初中級学校との出会いもできた。京都朝鮮学校訴訟弁護団も合流「京都の判決を京都だけに終わらせない」と法廷を牽引した。
 そうした支援は、元書記長にとって、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を抱えながら襲撃犯の前で証言することの苦難を乗り越える力となった。
 迎えた2016年4月25日判決
 「第一審被告らは、…在日朝鮮人に対する差別意識を有していたものと認められる。第一審被告らは…第一審原告組合が四国朝鮮初中級学校へ支援金を渡したということを把握するや、第一審原告らが差別の対象とするグループである朝鮮学校へ支援したことに憤りを覚え、…ことさら「募金詐欺」などという謂われのないレッテルを貼り、…リンチ行為としか言いようのない狼藉に及び、しかもこれらをインターネット上に公開したものである。これらの一連の第一審被告らの行動は、…第一審被告らが差別の対象とする在日朝鮮人らを支援する者は第一審被告らから攻撃を受け、様々な被害を蒙るということを広く一般に知らしめ、その支援活動に萎縮効果をもたらすことを目的としたものと認めることができる。」
 「…本件各示威行動等が行われ、その映像がインターネット上で公開された後、第一審原告組合の事務所に嫌がらせ電話が殺到し、ニコニコ動画にアップロードした動画には視聴者による夥しい数の第一審原告らを誹諺中傷するコメントが書き込まれたことからも、その目的に沿う効果があったことは容易に確認できるところであり、人種差別撤廃条約1条に定義する少数者の『平等の立場での人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを妨げ又は害する目的又は効果を有するもの』に該当し、強い非難に値し、違法性の強いものというべきである」
 という徳島地裁判決を180度転換した画期的判決となった。
 朝鮮学校を支援する日本人に対するヘイト行為にも、人種差別撤廃条約違反とした歴史的意義ある判決を勝ち取ることができた。
 今年の2月4日、民主主義に対する暴力行為を許さない徳島実行委員会による裁判勝利報告集会が開催された。四国はもとより京都、ヒロシマなどからこの裁判を支援し続けた人たちが集まり、判決の意義を確認した。
 パネルディスカッション「女性たちの反ヘイト-私たちは沈黙しない!-」では、裁判闘争を振り返るとともに差別を許さない声をあげようとの思いが共有された。
 差別を許さず闘い続けることで、社会を変えていくことができると実感した6年半の裁判闘争だった。
 多くの民族差別裁判勝利への原動力となることを願ってやまない。

『週刊新社会』(2017年2月28日)

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