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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

根津公子の都教委傍聴記(2022年3月10日)

2022年03月14日 | 暴走する都教委
 ◆ 高校の校則については「主体的・対話的で深い学び」を実施
   ~「日の丸・君が代」では?
(レイバーネット日本)


 3月10日は東京大空襲の日。なのに、そのことにはまったく触れずに議事は始まった。
 途中で教育委員の一人が東京大空襲には触れずに、「ロシアやミャンマーでの紛争に対し、平和について考える、まずは知る環境を学校につくってほしい。SDGsの面からも、生活と直結した問題であることを考えさせてほしい。意見と要望です」(趣旨)と発言した。
 1990年代終わり頃から都教委は学校への介入を強め、地教委を通して平和学習(ひろしま修学旅行)を中止させてきた。私が当時在職していた中学校も、私を含む教員の異動も重なって、2002年度を最後にひろしま修学旅行はやめさせられた。市内の中学校も同じだった。
 戦争・平和について子どもたちに考えさせることは大事だ。しかし、都教委がこれまでしてきたことを考えると、今回の教育委員の「平和について考える環境」づくりの要望を額面通りには聞けなかった。
 現政権が自衛隊の防弾チョッキをウクライナに送ったり、「核共有の議論をすべき」(安倍元首相)などと暴論を吐いたりする中、ロシア侵攻に乗じて日本も自衛のための武力行使は必要、そのためには改憲すべきとの世論づくりが進む。
 「平和について考える環境」づくりの要望が、こうした動きに掉さすのではないかとの疑念はぬぐえなかった。
 命・平和・人権について考える場を子どもたちに提供することは、学校教育の根底に据えるべきこと。そこは間違いない。
 さて、今日の議題は・・・。
 公開報告事項は、
   ア.「都立高等学校等に示すスクール・ミッションについて」
   イ.「都立高等学校等における校則等に関する取組状況について」ほか。
 非公開議題には、
   5件の懲戒処分案件(=停職以上の重い処分)及び懲戒処分の報告(=減給以下の軽い処分)、
   「いじめ防止対策推進法」第30条第1項に基づく報告(=重大事態が発生した旨を、当該地方公共団体の長に報告)があった。
 また、深刻・重大ないじめがあったということか。


 ア.「都立高等学校等に示すスクール・ミッションについて」

 昨年3月文科省は学校教育施行規則の一部を改正したうえで、学校設置者に対して各高校の特色・魅力を高めるためにスクール・ポリシーを策定し公表することを義務付けた。
 スクール・ポリシー(方針)とは、
   (a)育成を目指す資質・能力に関する方針
   (b)教育課程の編成及び実施に関する方針
   (c)入学者の受入れに関する方針
 の3つという。
 そこで各高校は、「目指す学校像」を基に各校の社会的意義・役割をスクール・ミッションとして示し、それを踏まえてスクール・ポリシーを策定し、HPや学校案内等に掲載するのだという(4月に予定)。
 全都立高校から都教委に上がってきたスクール・ミッションの一つを紹介すると・・・。
橘高校:「社会の変化に適応して自ら成長し続け、自立して生き抜く人、地域や社会で産業人として活躍する人、人に感謝し感謝される人、規範意識と社会性を身につけた人、高き理想(志)を掲げ、その夢の実現のために積極的に挑戦する人を育成します。ものつくりから、流通・販売までを総合的・実践的に学び、伝統工芸に関心の高い、産業人として活躍する生徒を育成します。」
 どの高校も同じくらいの字数で書いている。このスクール・ミッションの中に3つのポリシーが入っているのだとは事務方の弁。
 教育委員から「現場を混乱させないように」との意見があった。中学生及び保護者がこの文言を読んで、志望校の選択に役立つとは私には到底思えない。私にもこの文言が判断材料にはならない。
 イ.「都立高等学校等における校則等に関する取組状況について」

 「生徒が社会の一員として主体的に自校の校則について考え・守ることで社会参画意識を醸成」することを目的に、今年度4月から12月まで全都立高校で校則について教職員や生徒、保護者が話し合い点検し不要な校則を削除したとの報告。
 結果、
 「生来の髪を一律に黒色に染色」は4月時点で7課程だったが、話し合い検討した結果、0課程に。
 「『頭髪に関する届け出(任意)』の提出」は55課程から20課程に。
 「『ツーブロック』を禁止する指導」は24課程から0課程に。
 「下着の色に関する指導」は13課程から0課程に。
 「『高校生らしい』等、表現があいまいで誤解を招く指導」は95課程から0課程になったとのこと。
 この取組は、「主体的・対話的で深い学び」を特記し「思考力・判断力・表現等を育む」「個性を生かし多様な人々との協働」を謳う、来年度から使用する高校学習指導要領と、各校が作成したスクール・ポリシーに基づいた取組だという。
 この報告に、「ルールを守る人が良いとこれまで学校は教えてきたが、考えさせるのが教育。考えさせたこの取組は素晴らしい」と教育委員
 このことを否定はしないが、でもこの取組は都教委の指示で行ったこと。全都立高校が都教委の指示に従ったのだ。
 ここに考え判断する行為があったとは考えられない。

 これまでだって、都教委の指示に校長たちは考え判断せずに従ってきたのだし、都教委は都教委が指示すれば校長は従うと思ってきたのだから。
 校長をはじめとして教員たちは考え判断することを放棄させられ・放棄し、したがって、生徒たちに考え判断する教育などできようはずもない状態にある。
 また、今回、校則については考え判断させたが、「日の丸・君が代」については考え判断させずに、「尊重」と起立斉唱を強いる
 子どもたちに考え判断させないために、「君が代」起立を拒否する教員を処分する。
 この矛盾を事務方は説明すべきで、教育委員は指摘すべきことだった。何とも白々しく、聞くに堪えなかった。
 都教委よ、「日の丸・君が代」についても「主体的・対話的で深い学び」を生徒たちにさせようではないか。まずは、生徒たちが考え判断できるよう、「日の丸・君が代」の意味や歴史について資料を提供しようではないか。民主主義を東京の学校に復活させようではないか。
『レイバーネット日本』(2022-03-10)
http://www.labornetjp.org/news/2022/1646921510581staff01
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