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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

平成とは、貧困と格差が急速に拡大した時代

2019年05月23日 | 格差社会
  《週刊金曜日 風速計》
 ◆ 現実に目を背ける「祝賀報道」の洪水
   宇都宮健児


 10連休の間、平成から令和への改元報道と前天皇退位・新天皇即位に関する報道の洪水が続いた。元号が令和と変わった5月1日午前0時には、テレビ各局が特別番組を組み、東京・渋谷のスクランブル交差点などと中継を結び、年末年始さながらの祝賀ムードを盛かあげた。
 5月1日には、第90回メーデーが行なわれたがメーデーに関する報道は少なく、5月3日の憲法記念日においても、国民主権の立場から天皇制のあり方を問い直す報道は少なかった。
 また、「平成の時代」を振り返り、自然災害は多かったが戦争のない平和な良い時代であったとする報道が多かった。ところで、「平成の時代」は、現在大きな社会問題となっている貧困と格差が急速に拡大した時代であったのであるが、この問題を真正面から取り上げた報道はほとんどなかった。
 厚生労働省が発表した2015年のわが国の相対的貧困率は、国民全体の貧困率が15・6%、子どもの貧困率が13・9%、1人親世帯の貧困率が50・8%となっている。
 国民の6人に1人が、子どもの7人に1人が、1人親世帯の2世帯に1世帯が貧困状態に陥っていることになる。
 わが国は世界第3位の経済大国であるにもかかわらず、多くの先進国が加盟するOECD(経済協力開発機構)の中でも、貧困率が大変高い国となっている。
 わが国で貧困と格差が拡大してきた背景には非正規労働者・働く貧困層(ワーキングプア)の拡大がある。
 総務省の「労働力調査」によれば、1989(平成元)年の非正規労働者数は817万人であったが、2019年3月の非正規労働者数は2176万人激増している。
 この結果年収200万円以下の低賃金労働者は、12年連続で1000万人を超えている。
 OECDによれば、労働者1人の1時間あたりの賃金水準について国際比較可能な1997年と2017年を比べると、20年間でイギリスは89%増、アメリカは76%増、フランスは66%増、ドイツは58%増であるのに対し、主要国では日本だけが9%の下落となっているということである。
 貧困と格差の拡大が深刻な社会問題となっている日本の現状を考えれば、改元や新天皇の即位でお祭り騒ぎをしているときではなかろうと言わねばならない。
『週刊金曜日 1232号』(2019.5.17)


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