◎ 現代の公害企業
仕事を中断しては、派遣労働者の集会に出かけている。本欄でも何回か書いたが、若い労働者を路頭に迷わせている、諸悪の根源「労働者派遣法」を廃止させたいからだ。
この法律は、雨後の筍のように悪徳労働者供給会社を族生させ、違法行為を繰りかえさせる「天下の悪法」である。
派遣会社を利用して膨大な利益をあげてきたのが、トヨタ、キヤノン、パナソニックなど、日本を代表する大企業なのが悲しい。
これらの大企業が、いままで利益増大に貢献してきた*派遣労働者を、こんどはその利益を確保するために、非情にも矢継ぎ早に、冷たい師走の巷へ放りだしている。
これは新たな公害である。かつて公害企業は自社の利益を確保するために、公然と海や川や空を汚染していた。それを長いあいだ社会は許していた。
会社は公害対策費を使わずに、社内で不要になったものを塀の外に吐き出しては、周辺に迷惑をかけてきた。「社会的費用」を自己負担せず、外の社会に押しつけて平然としていたのである。
あたかもゴミを捨てるかのように、派遣労働者を吐き出し、「あとは野となれ山となれ」の冷酷さ。
これから政府が瀬戸際にいる命を救わなければならない。しかし、会社と株主だけがちゃっかり利益を確保し、失業者救済のツケを税金にまわすのは許されない。
厳しい発生源対策が必要だ。
『東京新聞』(2008/12/16【本音のコラム】)
鎌田慧(ルポライター)
仕事を中断しては、派遣労働者の集会に出かけている。本欄でも何回か書いたが、若い労働者を路頭に迷わせている、諸悪の根源「労働者派遣法」を廃止させたいからだ。
この法律は、雨後の筍のように悪徳労働者供給会社を族生させ、違法行為を繰りかえさせる「天下の悪法」である。
派遣会社を利用して膨大な利益をあげてきたのが、トヨタ、キヤノン、パナソニックなど、日本を代表する大企業なのが悲しい。
これらの大企業が、いままで利益増大に貢献してきた*派遣労働者を、こんどはその利益を確保するために、非情にも矢継ぎ早に、冷たい師走の巷へ放りだしている。
これは新たな公害である。かつて公害企業は自社の利益を確保するために、公然と海や川や空を汚染していた。それを長いあいだ社会は許していた。
会社は公害対策費を使わずに、社内で不要になったものを塀の外に吐き出しては、周辺に迷惑をかけてきた。「社会的費用」を自己負担せず、外の社会に押しつけて平然としていたのである。
あたかもゴミを捨てるかのように、派遣労働者を吐き出し、「あとは野となれ山となれ」の冷酷さ。
これから政府が瀬戸際にいる命を救わなければならない。しかし、会社と株主だけがちゃっかり利益を確保し、失業者救済のツケを税金にまわすのは許されない。
厳しい発生源対策が必要だ。
『東京新聞』(2008/12/16【本音のコラム】)
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