全く正常な卒業式の様子を公開~公訴棄却へ一歩前進!
1,傍聴人への過剰警備
本日も、「先着順」。12:55には85枚の傍聴券がすべて出払ってしまった。それ以降に来られた方には大変申し訳ない結果になった。
事前のHPへの掲載は、地裁の都合でなされなかった。
電話で問い合わせると、前日の午後1時以降、当日は8:45以降に、答えてくれるそうです。
[連絡先]東京地方裁判所 総務課 広報係 03-3581-5411 内線3133
傍聴席にはいるまでの警備は前回と同じ。①玄関でセキュリティチェック、②104号法廷前で手荷物の預かり、③入場の際の金属探知機、④裁判官・検事・弁護士が席に着いてからの傍聴人入場。
しかし、今回は定刻の13:30に入廷が始まり、警備の応対もこころなしか丁寧になったようで、大きな不満の声は上がらなかった。しかし、不必要に厳重な警備は、傍聴人に対する不信感のようで気分良くない。
2,審理の大まかな流れ
(1)弁護側の冒頭陳述(横山弁護士・小沢弁護士)
①藤田氏の来歴や卒業式に来賓参加するいきさつ
親身な指導と教育的熱意で生徒から慕われていた藤田先生が、現役最後に接した生徒たちとふれあう最後の機会に、とりわけピアノ伴奏予定の視覚障害のYさんの晴れ姿に接し、祝意を表したく来賓として参加を希望したこと。
また、予行において、校長から全卒業生に対して「内心の自由」を認める指導があったことも紹介された。これも、君が代斉唱時の不起立の伏線であることは間違いない。
②この卒業式の特異性
第一に、君が代強制の急先鋒である土屋都議が来賓として参加したこと。第二に、その土屋都議を追ってTBSが取材に入ったこと。
そのため、TBSの取材対応では、前日の職員会議で、「生徒を撮影させない」ため、入場前の整列場所を変更し、校長自ら「多少の遅れ」を容認する発言をしている。さらに当日朝の職員会議でも、より徹底した隔離策をとった。これらは、「威力妨害」の影響を「開式の5分遅れ」とする検察「冒陳」の記載を疑わせるものである。
③本人の行動
保護者席への雑誌コピーの配布は、何人からも制止も妨害も抗議も受けずに、約200枚配りきっている。訴えも、何ら制止も抗議もされずに、静粛のうちに終わっている。訴えの内容も、都教委通達の範囲外の保護者へ理解を求めたものであり、式の進行を妨害するようなことは一切言っていない。「表現の自由」を持ち出すまでもない常識の範囲内。
退去命令後の発言は、理不尽な命令への防御的抗議であり、妨害の意図はないし、抗議しつつも、物理的抵抗もなく、会場外に出ている。
この時、教頭が参加を容認するかの発言をしていることも紹介。「おとなしくするのか」「おとなしくする」。それで再度会場内に入ろうとした。そこに立ちふさがったのが土屋都議で、「管理者は校長だ」の一言で、校長が再度退去命令を出す。
終了後の参列者の感想を聞いても、立派な卒業式だった、感動的だった、の答えで、妨害されたとの感想は聞かれていない。
(2)弁護側から証拠開示の申し立て(大山弁護士)
9点の請求。検察側が握っていて、隠しているもの。
①5/23の家宅捜索の、捜査令状と、差し押さえ許可証。
出されないのは不自然。5月の家宅捜索時と、12月の起訴時で、容疑が変わっているので、検察は出したくないのではないか。被害があって起訴したのではなく、起訴のために容疑をでっち上げている証拠になる。
②3/26に、板橋高校3年担任全員から警察が調書をとったのに、3人分は出ていない。
検察側に都合の良い調書だけを出している。公平を欠く証拠申請。
③同じく、佐々木指導主事の調書と、岡本ビデオ担当の調書。
前者は、校長・教頭・金子指導主事らの調書の矛盾点が佐々木指導主事の行動に集中している。その本人の調書が隠されている。
後者は、証拠採用されたビデオの撮影者の調書が隠されている。
④ICレコーダのB・C・Dフォルダを含むすべての提出
Aフォルダの録音内容を、証拠提出しているが、その他のフォルダにも音声があることが偶然分かった。それを秘匿するのは不自然である。
これらは、いずれも、公平な審判に欠かせない証拠であることは言うまでもない。
(3)弁護側から、検察側提出の証拠に対する認否(加藤弁護士)
細部は省略。公式な公開文書の類以外は、すべて不同意。
板橋高校ビデオ係撮影の卒業式全容のビデオについては同意した。
補足で、小沢弁護士から、ICレコーダ不同意の理由説明。
a,撮影者鯨岡指導主事は、都教委の立場の人間である。
b,音量評価の困難性。ビデオのように、画像と音が同時に流れるものではない。
c,装置の特性(コンプレッサー機能)。最大の音量に自動的に圧縮される。
怒号・大声を、客観的に比較できない。「威力」の証明に不適切。
d,作為的変更の可能性。本人の立場から、公正は信用できにくい。
同意したものについて、検察側から、被告に現物を提示する。藤田氏が法廷中央で確認。その時、「このビデオには時刻が入っていますか」と藤田発言。「時刻が入った別のビデオがあるはず。それを提出してほしい」と加藤弁護士がフォロー。裁判長はちんぷんかんぷんの様子で、「内容を見てから」。
(4)検察側から、弁護側提出の証拠に対する認否(山田信二検事)
こちらも、ほとんどが不同意。
不同意の「TBS報道特集のビデオ」は、裁判長が職権で「採用」としたので、証拠採用となった。これは弁護団には予想外だったようだ。
採用になったものを、弁護側から検察側へ提示するのだが、「TBSビデオ」は、弁護団は現物を用意していない。急遽事務所から取り寄せた。
ここで、休憩。14:40~15:00
(5)卒業式のビデオ再生
①板橋高校撮影のビデオ(約90分)
ここから約1時間半、板橋高校内で撮影した卒業式全容のビデオを見る。法廷には3台のモニター。傍聴席からも、やや画面が小さいがよく見える。
人気のない開式前の会場の様子がスタート。いきなり、校長が「先ほどの出来事」を釈明する場面に。ほどなく「これから卒業生が入場します」のアナウンス。ブラスバンドの演奏で入場が始まる。全く正常な進行。傍聴席から思わず「ホー」と嘆声が漏れたのは、「国歌斉唱」の発声に、卒業生がサーッと着席した時。司会席後方のカメラからとらえた画面では九分九厘着席したように見える。それに対する「立ちなさい」の声は、カメラの位置から、管理職の声が大きく入る。対面の来賓席土屋都議の声は小さくて、私には聞き取りにくかった。携帯を持ちだした様子も、小さくて分かりにくいが、見えたという人もいた。とにかく誰の指示でもなく一斉に着席し、管理職らの説得にも応じないうちに曲は流れ始めた。次の校歌斉唱では、全員が起立した。
その後の進行は、卒業証書授与の一人一人の呼名など、淡々とかつ厳粛に進む。傍聴席では居眠りも始まったが、画面の生徒たちは、膝も崩さず、端然と着席しており、緊張感と意外なほどの行儀の良さに、改めて彼らの式に対する思い入れに心を動かされる。
式の最後は「旅立ちの日」の合唱。生徒の指揮と伴奏。伴奏は視覚障害のハンディを克服して3年間通い詰めたYさん。男の子も思いっきり声が出ていて、ラストの掛け合い部分に盛り上がっていく。傍聴席ではハンカチを出して目頭を押さえる姿もチラホラ。実に感動的なフィナーレで、会場でも拍手が鳴りやまない様子。卒業式は全く正常に、いや大変上出来に行われた様子が、はっきりと受け止められた。妨害の痕跡もないではないか。検事席の3人もこころなしか意気消沈の様子。
本日は、ここで終わる予定であった。時刻は既に、16:30。
②TBS報道特集(約18分)
それが、次回の予定を決めるやり取り中で、急遽このビデオも上映することになった。
これは私も見た記憶のあるものだが、改めて見るとよく構成されている。音楽教師の苦悩、国旗国歌法の成立過程から、10.23通達へのいきさつ、野田正彰教授の的確なコメント、周年行事での処分と続いて、板橋高校事件。ここで気になるのが、来賓着席の映像の後に藤田氏の訴えが編集されていること。小沢弁護士が、「意見書」で補足したいと言ったのはもちろんこの部分であろう。
次回5/30(月)10:00~同じ法廷での日程確認。
冒頭から、鯨岡広隆指導主事(ICレコーダの録音者)の証人尋問が入る。弁護団の反対尋問の予定時間は90分以上。いよいよ検察側立証を突き崩す段階に入る。激しいやり取りが予想される。
終了時間、16:55。
3,記者会見と報告集会
予定より時間が遅くなったので、簡潔に行われた。
記者会見での質問は、①板橋高校撮影ビデオに、藤田氏が訴える場面がなかった理由。②検察側が不利とも思える卒業式全容ビデオを証拠申請したわけ。③TBSビデオは曲の承認を受けているか。それに対する回答は、①任意提出されたビデオの通り。②開式の遅れの証明のためと思われる。③一般公開された映像を自宅で録画したものを弁護士の責任で提出している。
こんなに立派に行われた卒業式で、何が「威力業務妨害」だったのだろう、という素朴な疑問が強く印象づけられた公判だったのではないだろうか。
参加者の皆様、お疲れ様でした。
1,傍聴人への過剰警備
本日も、「先着順」。12:55には85枚の傍聴券がすべて出払ってしまった。それ以降に来られた方には大変申し訳ない結果になった。
事前のHPへの掲載は、地裁の都合でなされなかった。
電話で問い合わせると、前日の午後1時以降、当日は8:45以降に、答えてくれるそうです。
[連絡先]東京地方裁判所 総務課 広報係 03-3581-5411 内線3133
傍聴席にはいるまでの警備は前回と同じ。①玄関でセキュリティチェック、②104号法廷前で手荷物の預かり、③入場の際の金属探知機、④裁判官・検事・弁護士が席に着いてからの傍聴人入場。
しかし、今回は定刻の13:30に入廷が始まり、警備の応対もこころなしか丁寧になったようで、大きな不満の声は上がらなかった。しかし、不必要に厳重な警備は、傍聴人に対する不信感のようで気分良くない。
2,審理の大まかな流れ
(1)弁護側の冒頭陳述(横山弁護士・小沢弁護士)
①藤田氏の来歴や卒業式に来賓参加するいきさつ
親身な指導と教育的熱意で生徒から慕われていた藤田先生が、現役最後に接した生徒たちとふれあう最後の機会に、とりわけピアノ伴奏予定の視覚障害のYさんの晴れ姿に接し、祝意を表したく来賓として参加を希望したこと。
また、予行において、校長から全卒業生に対して「内心の自由」を認める指導があったことも紹介された。これも、君が代斉唱時の不起立の伏線であることは間違いない。
②この卒業式の特異性
第一に、君が代強制の急先鋒である土屋都議が来賓として参加したこと。第二に、その土屋都議を追ってTBSが取材に入ったこと。
そのため、TBSの取材対応では、前日の職員会議で、「生徒を撮影させない」ため、入場前の整列場所を変更し、校長自ら「多少の遅れ」を容認する発言をしている。さらに当日朝の職員会議でも、より徹底した隔離策をとった。これらは、「威力妨害」の影響を「開式の5分遅れ」とする検察「冒陳」の記載を疑わせるものである。
③本人の行動
保護者席への雑誌コピーの配布は、何人からも制止も妨害も抗議も受けずに、約200枚配りきっている。訴えも、何ら制止も抗議もされずに、静粛のうちに終わっている。訴えの内容も、都教委通達の範囲外の保護者へ理解を求めたものであり、式の進行を妨害するようなことは一切言っていない。「表現の自由」を持ち出すまでもない常識の範囲内。
退去命令後の発言は、理不尽な命令への防御的抗議であり、妨害の意図はないし、抗議しつつも、物理的抵抗もなく、会場外に出ている。
この時、教頭が参加を容認するかの発言をしていることも紹介。「おとなしくするのか」「おとなしくする」。それで再度会場内に入ろうとした。そこに立ちふさがったのが土屋都議で、「管理者は校長だ」の一言で、校長が再度退去命令を出す。
終了後の参列者の感想を聞いても、立派な卒業式だった、感動的だった、の答えで、妨害されたとの感想は聞かれていない。
(2)弁護側から証拠開示の申し立て(大山弁護士)
9点の請求。検察側が握っていて、隠しているもの。
①5/23の家宅捜索の、捜査令状と、差し押さえ許可証。
出されないのは不自然。5月の家宅捜索時と、12月の起訴時で、容疑が変わっているので、検察は出したくないのではないか。被害があって起訴したのではなく、起訴のために容疑をでっち上げている証拠になる。
②3/26に、板橋高校3年担任全員から警察が調書をとったのに、3人分は出ていない。
検察側に都合の良い調書だけを出している。公平を欠く証拠申請。
③同じく、佐々木指導主事の調書と、岡本ビデオ担当の調書。
前者は、校長・教頭・金子指導主事らの調書の矛盾点が佐々木指導主事の行動に集中している。その本人の調書が隠されている。
後者は、証拠採用されたビデオの撮影者の調書が隠されている。
④ICレコーダのB・C・Dフォルダを含むすべての提出
Aフォルダの録音内容を、証拠提出しているが、その他のフォルダにも音声があることが偶然分かった。それを秘匿するのは不自然である。
これらは、いずれも、公平な審判に欠かせない証拠であることは言うまでもない。
(3)弁護側から、検察側提出の証拠に対する認否(加藤弁護士)
細部は省略。公式な公開文書の類以外は、すべて不同意。
板橋高校ビデオ係撮影の卒業式全容のビデオについては同意した。
補足で、小沢弁護士から、ICレコーダ不同意の理由説明。
a,撮影者鯨岡指導主事は、都教委の立場の人間である。
b,音量評価の困難性。ビデオのように、画像と音が同時に流れるものではない。
c,装置の特性(コンプレッサー機能)。最大の音量に自動的に圧縮される。
怒号・大声を、客観的に比較できない。「威力」の証明に不適切。
d,作為的変更の可能性。本人の立場から、公正は信用できにくい。
同意したものについて、検察側から、被告に現物を提示する。藤田氏が法廷中央で確認。その時、「このビデオには時刻が入っていますか」と藤田発言。「時刻が入った別のビデオがあるはず。それを提出してほしい」と加藤弁護士がフォロー。裁判長はちんぷんかんぷんの様子で、「内容を見てから」。
(4)検察側から、弁護側提出の証拠に対する認否(山田信二検事)
こちらも、ほとんどが不同意。
不同意の「TBS報道特集のビデオ」は、裁判長が職権で「採用」としたので、証拠採用となった。これは弁護団には予想外だったようだ。
採用になったものを、弁護側から検察側へ提示するのだが、「TBSビデオ」は、弁護団は現物を用意していない。急遽事務所から取り寄せた。
ここで、休憩。14:40~15:00
(5)卒業式のビデオ再生
①板橋高校撮影のビデオ(約90分)
ここから約1時間半、板橋高校内で撮影した卒業式全容のビデオを見る。法廷には3台のモニター。傍聴席からも、やや画面が小さいがよく見える。
人気のない開式前の会場の様子がスタート。いきなり、校長が「先ほどの出来事」を釈明する場面に。ほどなく「これから卒業生が入場します」のアナウンス。ブラスバンドの演奏で入場が始まる。全く正常な進行。傍聴席から思わず「ホー」と嘆声が漏れたのは、「国歌斉唱」の発声に、卒業生がサーッと着席した時。司会席後方のカメラからとらえた画面では九分九厘着席したように見える。それに対する「立ちなさい」の声は、カメラの位置から、管理職の声が大きく入る。対面の来賓席土屋都議の声は小さくて、私には聞き取りにくかった。携帯を持ちだした様子も、小さくて分かりにくいが、見えたという人もいた。とにかく誰の指示でもなく一斉に着席し、管理職らの説得にも応じないうちに曲は流れ始めた。次の校歌斉唱では、全員が起立した。
その後の進行は、卒業証書授与の一人一人の呼名など、淡々とかつ厳粛に進む。傍聴席では居眠りも始まったが、画面の生徒たちは、膝も崩さず、端然と着席しており、緊張感と意外なほどの行儀の良さに、改めて彼らの式に対する思い入れに心を動かされる。
式の最後は「旅立ちの日」の合唱。生徒の指揮と伴奏。伴奏は視覚障害のハンディを克服して3年間通い詰めたYさん。男の子も思いっきり声が出ていて、ラストの掛け合い部分に盛り上がっていく。傍聴席ではハンカチを出して目頭を押さえる姿もチラホラ。実に感動的なフィナーレで、会場でも拍手が鳴りやまない様子。卒業式は全く正常に、いや大変上出来に行われた様子が、はっきりと受け止められた。妨害の痕跡もないではないか。検事席の3人もこころなしか意気消沈の様子。
本日は、ここで終わる予定であった。時刻は既に、16:30。
②TBS報道特集(約18分)
それが、次回の予定を決めるやり取り中で、急遽このビデオも上映することになった。
これは私も見た記憶のあるものだが、改めて見るとよく構成されている。音楽教師の苦悩、国旗国歌法の成立過程から、10.23通達へのいきさつ、野田正彰教授の的確なコメント、周年行事での処分と続いて、板橋高校事件。ここで気になるのが、来賓着席の映像の後に藤田氏の訴えが編集されていること。小沢弁護士が、「意見書」で補足したいと言ったのはもちろんこの部分であろう。
次回5/30(月)10:00~同じ法廷での日程確認。
冒頭から、鯨岡広隆指導主事(ICレコーダの録音者)の証人尋問が入る。弁護団の反対尋問の予定時間は90分以上。いよいよ検察側立証を突き崩す段階に入る。激しいやり取りが予想される。
終了時間、16:55。
3,記者会見と報告集会
予定より時間が遅くなったので、簡潔に行われた。
記者会見での質問は、①板橋高校撮影ビデオに、藤田氏が訴える場面がなかった理由。②検察側が不利とも思える卒業式全容ビデオを証拠申請したわけ。③TBSビデオは曲の承認を受けているか。それに対する回答は、①任意提出されたビデオの通り。②開式の遅れの証明のためと思われる。③一般公開された映像を自宅で録画したものを弁護士の責任で提出している。
こんなに立派に行われた卒業式で、何が「威力業務妨害」だったのだろう、という素朴な疑問が強く印象づけられた公判だったのではないだろうか。
参加者の皆様、お疲れ様でした。
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