五者卒業式・入学式対策本部
2016年4月22日
2016年4月22日
◎ 良心的不服従教職員に対する懲戒処分を撤回し、
服務事故再発防止研修を行わないことを求める要請
服務事故再発防止研修を行わないことを求める要請
今春の卒業式・入学式おける、3度目の要請になります。今春の卒業式では、教職員としての責務に忠実にであろうとして職務命令に従えなかった教職員4名に対して懲戒処分が発令され、うち2名に対しては既に服務事故再発防止研修が実施され、さらに残る1名に対しても研修命令が発令されました。
これらの措置は、憲法、教育基本法、国際人権条約等に保障された人権を侵害するものであり、そのことは最高裁判決で一部認められ、国際人権機関からの勧告でも指摘されているところです。そして、教員に対する起立・斉唱の強制は、人種・民族・言語・宗教など様々な文化的背景の下で人格形成途上にある生徒たちの多様性と尊厳を否定する同調圧力として機能しているものでもあります。
改めて、教育委員会が国際標準の教育理念に立ち返り、本来の職責を正しく果たすことを求め、過去2回の要請で、不明だったり不十分なところへの再質問を交えつつ、以下の要請を行います。
なお回答は、質問の各項に対応すること、また内容も質問内容に符合していただくことを求めます。
記
1,教育行政機関として、三権分立の原則に則り、常に司法判断を遵守して、職務を遂行すること。
2,教育上の信念及び自らの歴史観ないし世界観に基づいて行動した教職員に対しする懲戒処分を撤回すること。
3,これまでの判例の蓄積を踏まえ、「慎重な考慮」を伴わない機械的に累積加重された減給以上のすべての処分を、過去にさかのぼって撤回すること。
4,処分取消が確定した教職員及び元教職員に対して、違法な処分を行ってしまったことを謝罪し、違法な処分に伴う一切の不利益と毀損された名誉を回復し、責任の所在を明確にすると同時に再発防止策を講ずること。
5,教育上の信念及び自らの歴史観ないし世界観に基づいて行動した教職員に対して、その教育上の信念及び自らの歴史観ないし世界観の改変を迫る服務事故再発防止研修を行わないこと。
6,不起立行為等に対して、懲戒処分の原因となった服務事故の再発を防止するため、関係規定に基づきこれまで実施してきた服務事故再発防止研修で、上がった成果を示されたい。【別添資料.1】
7,前回(3月15日)の要請項目9.に対する回答(4月18日)を踏まえて、東京都が人権教育及び人権啓発を推進する責務を有することについて、再質問する。【別添資料.2】
(1)『人権教育及び人権啓発の推進に関する法律』第5条には、地方公共団体の責務が謳われていることを認めるか。
(2)同じく、国が策定した『人権教育・啓発に関する基本計画』には、「第1章 はじめに」の末尾に「人権教育・啓発の総合的かつ計画的な推進を図るに当たっては、国の取り組みにとどまらず地方公共団体や公益法人・民間団体等の取り組みも重要である」とあり、かつ「第3章 人権教育・啓発の基本的在り方」「2 人権教育・啓発の基本的在り方」の冒頭に、「人権教育・啓発は、人権尊重社会の実現を目指して、日本国憲法や教育基本法などの国内法、人権関係の国際条約などに則して推進していくべきものである」とあることを認めるか。
(3)昨年度の要請に対する「人事部職員課」の回答を、別添資料に掲げる。【別添資料.3】
ここで繰り返されている「日本政府の見解について答える立場にない」という回答は、東京都には『最終見解』(2014.7.24)を、外務省の文書にある「広く関係者に周知するとともに、一層の人権の保護・促進に向けた施策を実施するに当たって参考としていただき、活用」する責務がない、と認識しているという意味に受け取って間違いないか。
(4)改めて外務省からの文書を受け取った後に、『最終見解』(2014.7.24)を、都民、学校、生徒にどのように周知したのかを、示していただきたい。
(5)また、『東京都人権施策推進指針』では、重点プロジェクトの筆頭に、次のことを掲げられている。
<1 オリンピック開催に向け、人権尊重都市『東京』を内外に向け発信>
そして総論部分では、次のように「多様性や人権の尊重」を謳っている。
<平成26(2014)年12月に発表された「東京都長期ビジョン」では、目指すべき将来像を「『世界一の都市・東京』の実現」とし、生活習慣・文化・価値観などの多様性や人権が尊重され、誰もが幸せを実感できる都市、誰もがそこに住み続けたいと思う都市こそが、真に魅力的な世界一の都市であるとしています。>
さらに、「Ⅱ、基本理念と施策展開の考え方」の③にも、次のように「多様性を尊重」した「寛容な東京」が謳われている。
<③ 多様性を尊重し、そこから生じる様々な違いに寛容な東京>
以上の『指針』によるならば、「人権尊重都市」を掲げる東京都において、卒業式・入学式等で画一的に日の丸・君が代への起立斉唱を強制することは、生活習慣・文化・価値観などの多様性や人権に寛容とは言えない、『指針』の基本理念に反するやり方であるので、東京五輪開催に向けて今のうちに改めておくべきではないか。
8,前々回(1月26日)の質問12.及び前回(3月15日)の質問5と10に対する同一の回答(2月9日及び4月18日)に出てくる「適正」な指導とは何か、について具体的に再質問する。【別添資料.4】
教育活動の一部または全部に参加できない意思を示す生徒がいた場合、その思いを尊重するとともに、指導にあたっては、生徒の実態をふまえながら、参加のあり方について、気持ちに寄り添った丁寧な対応を心がけることが、適正な指導と言えるのではないか。
東京都教育委員会 教育長 中井敬三 殿
委員 木村 孟 殿
委員 山口 香 殿
委員 遠藤勝裕 殿
委員 宮崎 緑 殿
委員 大杉 覚 殿
五者卒業式・入学式対策本部
「日の丸・君が代」強制反対・予防訴訟をひきつぐ会
「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会
「君が代」強制解雇裁判をひきつぐ会
再雇用拒否撤回を求める第二次原告団
東京「再雇用拒否」第三次訴訟原告団
対策本部長:川村佐和(都立美原高校・全)
(回答期限) 5月6日(金)「日の丸・君が代」強制反対・予防訴訟をひきつぐ会
「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会
「君が代」強制解雇裁判をひきつぐ会
再雇用拒否撤回を求める第二次原告団
東京「再雇用拒否」第三次訴訟原告団
対策本部長:川村佐和(都立美原高校・全)
【別添資料.1】 前回(3月15日)の要請6に対する回答(4月18日付)
6,思想及び良心は内心にとどまる限りにおいては絶対的に保障されるところ、不起立行為等の再発を防止すると言うことは、外部に行動として現れる前の内心の改変を迫ることに当たり、そのような研修は、憲法で禁止されているので絶対に行わないこと。
(回答) (所管:人事部職員課)
懲戒処分の原因となった服務事故の再発を防止するため、関係規定に基づき、懲戒処分を受けた者に対し、服務事故再発防止研修を実施します。
【別添資料.2】 前回(3月15日)の要請9に対する回答(4月18日付)
9,同勧告に関して、外務省から、東京都総務局人権部に送付され、教育庁総務部教育政策課が受け取ったとされる文書に指示されている「人権の一層の保護・推進に向けた施策として活用するように」、に基づいて行われた施策があれば、示していただきたい。
(回答) (所管:総務部教育政策課)
平成26年7月24日に採択された自由権規約委員会の最終見解について、外務省総合外交政策局人権人道課長から、都道府県人権主管部局長あてに発出された文書(平成26年10月3日付総人合第1029号)には、「この『最終見解』を広く関係者に周知するとともに、一層の人権の保護・促進に向けた施策を実施するに当たって参考としていただき、活用願います」と記載されています。
都教育委員会は、これまでも人権教育を推進しており、今後とも国が策定した「人権教育・啓発に関する基本計画」を踏まえると共に、「東京都人権施策推進指針」等に基づき、施策を実施していきます。
【別添資料.3】 昨年(2015年)の国際人権関連の要請項目に対する回答
(2015年3月20日要請)
10,わが国が「国際社会で尊敬され、信頼され」るためには、憲法98条2項の定めに従い、行政機関として国連勧告を尊重し、実現に向けて誠実に努力する責務があることを認めること。
(回答 2015年4月14日) (所管:指導部指導企画課)
日本政府の見解について答える立場にない。
(2015年3月20日要請)
11,前回指導部指導企画課の回答(11)では、「職務命令は・・・憲法19条に違反するものではない」とあるが、わが国は「自由権規約」を批准しており、その規約の有権的解釈である「総括所見パラグラフ22」(※注2)を尊重すべき立場にあることを認めること。
(回答 2015年4月14日) (所管:指導部指導企画課)
日本政府の見解について答える立場にない。
(2015年3月20日要請)
12,「総括所見パラグラフ22」で、「いかなる制約も控えるように」とある「いかなる制約」には、自由権規約委員会が日本政府に宛てた「質問事項17」(※注3)にある「減給、停職、及び解雇を含む制裁」及び「再発防止研修」が含まれることを認めること。
(回答 2015年4月14日) (所管:人事部職員課、指導部指導企画課)
日本政府の見解について答える立場にない。
(2015年5月7日要請)
7,人権教育及び人権啓発を推進する責務を有する地方公共団体の当事者として、東京都における「学校行事の際、国歌の起立斉唱を拒んだために、減給・停職及び解雇を含む制裁の対象になってきた」(List of Issues para17)という事例に対して出された、国連自由権規約委員会第6回日本審査総括所見パラグラフ22の勧告を尊重すること。
(今回の【資料】及び前回3月20日要請書の【注】参照。前回3月20日の要請項目10.11.12.に対して、「日本政府の見解について答える立場にない」などとうそぶいた、4月14日付の指導部指導企画課・人事部職員課の無責任で不真面目な回答は許されるものではない。)
(回答 2015年6月5日) (所管:人事部職員課)
前回の回答のとおりである。
【別添資料.4】 前々回(1月26日)の要請12.と前回(3月15日)の要請5.10.に対する同一の回答(2月9日・4月18日)
12,卒業式の前に生徒に「内心の自由」を告知することは、学校の創意工夫の一つであり、各学校の創意工夫に介入しないこと。
5,これまでの最高裁判決全体の趣旨を踏まえて、「何が子供たちの教育にとって,また子供たちの将来にとって必要かつ適切なことかという視点」(第1小法廷桜井龍子裁判官)に立って、「稔りなき応酬を終息させる」(第1小法廷横田尤孝裁判官)ために、「教育行政担当者において,寛容の精神の下に可能な限りの工夫と慎重な配慮」(第2小法廷須藤正彦裁判官)を行うか、もしくは「すべての教育関係者の慎重かつ賢明な配慮」(第1小法廷金築誠志裁判官)が形成される場を設定すること。
10, 都立高には、多様な人種、皮層の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見を持つ生徒が通っていることを踏まえ、各々の尊厳と権利を尊重し、今後、画一的な日の丸・君が代への起立斉唱の強制は行わないこと。
(回答) (所管:指導部指導企画課)
国旗及び国歌の指導については、学習指導要領に「入学式や卒業式においては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする。」とあることに基づき、児童・生徒に国旗・国歌に対する正しい認識をもたせ、それらを尊重する態度を育てるよう、適正に行っていきます。
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