◇「再発防止研修」取消裁判第14回口頭弁論=結審
3月15日(水) 11:00~東京地裁103号法廷
原告最終弁論45分間、被告意見書提出のみ、の予定
「第13回口頭弁論 傍聴ハンドブック」から、最近5回の法廷の様子。
○第8回口頭弁論(06年1月26日)の内容
原告のSさんとGさんに対する証人尋問が行われました。
お二人とも、再発防止研修受講のうち、いわゆる「基本研修」を受講させられた経過や経験について証言されました。
○第9回口頭弁論(06年3月9日)の内容
原告のKさんとWさんに対する証人尋問が行われました。
お二人とも「国歌音唱」不起立による減給処分を受け、いわゆる「基本研修」の他に、個別に実施された「専門研修」を受講させられた経過や経験について証言をしました。
また、2日間の研修のみにとどまらず、「法令問題」と称する課題提出や、継続して行われた「校内研修」等により.長期にわたる多大な圧迫を受け、体調を崩すに至った事実などを証言されました。
○第10回口頭弁論(O6年4月17日)の内容
被告・都側証人として、松井敏夫(都教職員研修センター研修企画課長)、村越正則・立中幸江(研修センター教授:当時)の3名への尋問が行りれました。
松井元課長は、2004年8月2日と9日の「基本研修」および8月30日に行われた「専門研修」を企画・立案・実施した現場の責任者であり、村越・立中の両人は、「専門研修」における「説諭」の担当者でした。いずれ「上から云われたのでやりました」という当事者能力の全くない証人ばかりでした。特に立中証人の「(受講者が)不服審査請求していることも、何で処分されたかも知らなかった」という証言には、担当弁護士も思わず絶句、質問が中断してしまうという一幕もありました。
【松井証言よリ】
・研修センターは、人事部の依頼を受けて研修を企画・立案しただけで、研修を行うかどうか、誰を対象とするかなどは、人事部が決めること。
・不服審査請求していることは知っていたが、その件について検討はしていない。
・「日の丸・君が代」処分にかかわる研修は初めてであった。
・思想・良心の自由に立ち入ったとは思わない。「内心」の問題にはふれていない。
【村越証言より】
・「説諭」の目的は、再発防止のため、心からの反省を促すこと。説諭の内容は、(一般論として)校長の発する命令には従わなければならない。
【立中証言より】
・人事委員会に不服審査請求をしていることは知らなかった。
・「再発防止研修執行停止請求」が起こされていたことは、研修当日に初めて聞いた。
・(受講者が提出を強制された)事前課題は見ていない、課題も回答も知らない。
・説諭の目的は、校長先生の命令は重要ということをわかっていただくこと。
・「日の丸君が代」の問題で処分されたとは知らなかった。
○第11回口頭弁論(06年8月3日)の内容
この日は、再発防止研修の強行を決定した、臼井勇前人事部長への証人尋問が行われました。
この日の法廷は、原告・傍聴希望者合わせて150名を超える人が駆けつけ、103号法廷は満席こなり、急きょ原告席を30余に増やしてもらいましたが、それでも傍聴できなかった方が少なからず出てしまいました。
原告側代理人の金弁護士、山中弁護士、加藤弁護士による反対尋問は50分という制約のなかで、的を絞った質問によって貴重な証言を得ることができました。
【臼井証言の主要な内容】
・2004年6月8日の都議会古賀質問に対する教育長答弁は、人事部長が準備した。
・命令研修こし発令通知書を出すことを決定・起案したのは臼井人事部長。(それまては書面を出したことはない)。
→研修内容は研修センターが決める。人事部は、受講対象者を決めただけだ。
→研修の発令にあたり、対象者個々の職務命令や違反の態様や内容は検討していない。
→「実施要領」では、研修の対象者は「懲戒処分を受けた者と、その管理監督責任者」とあるが、今回は管理監督責任者(=校長)全員には研修を命じていない。
→争議行為に関する懲戒処分は研修実施から除外している。理由は職員団体の機関決定・部全体での処分であり、処分の統一性からみて差がつかないようにするためだ。
(注)ということは、研修は実質的には処分に等しいものということ。
→これまで国旗国歌関係の処分(2件)では研修を実施していない。2件目は研修受講を発令したが本人が来なかったので実施できなかった。ただし来なかった人への処分はしていない。(注)今回研修では、不受講者へは減給処分が出されている。
→原処分について、被処分者の多くが違憲違法たとして人事委員会に審査請求しているここは知っていたが、裁決が出てから研修を行うべきだこいう議論はなかった。
→人事委員会審理の最中に研修して「反省」という成果が得られるか、人事委員会で請求人らが勝った場台はどうなるかは、などは考えなかった。
→日程の変更は、正当な理由を校長が人事部に書面で上げてきたものには認めた。
○第12回口頭弁論(06年9月7日)の内容
戸波江二早稲田大学大学院教授(憲法学)への証人尋問を行いました。戸波教授は、教職員の国歌斉唱不起立は、憲法第19条による保護の対象となりうること,また、再発防止研修自体が受講者の内心に直接的に介入するものであり、違憲性があるということを明快に証言されました。
これらの証言に対する裁判官の関心はきわめて高く、以下に示すような裁判官による質問が30分以上に及びました。
【裁判官の質問】
→仮に、卒業式での国歌国旗を起立斉唱が正当な職務命令だとした場合にでも、個々の原告との関係て違憲ということはあるのか?
→ある外部的行為を、表現の自由(23条で保障)なのか、思想良心の自由(19条で保障)の行為なのかをどのような基準で区別するのか?合議でもいろんな場合を想定して議論しているが、先生はどう考えるか?
→君が代目の丸に対する反対の思想が人格の核心部分をなすことは分かるが,それが卒業式での不起立という行為とどう結びつくのか?別こ地の場面で反対する自由が保障されているのではないか?
→エホバの証人(神戸高専事件)のような場合こは、信仰から剣道をしないという教義が特定される。しかし、日の丸君が代に反対という思想と、卒業式で起立するかしないかの行為は直接結びつかないのではないか?
→19条7号で保護される思想について、真摯さは必要である、と言うことだが、真摯であるか否か、単に嫌いだから起立しない歌わないという区別をどうやってするのか?
→真摯さや思想の核心部分ということは、当該人物の主観で判断するのか?それとも客観的に判断ずるのか?
→10・23通達が違憲なら研修命令も違憲というのは明快だ。一方、10・23通達が適法の場合に研修命令は違憲ということありえるのか。無関係なのか?
→研修命令を発しただけで、実施されなかった場合には、研修命令を発しただけで権利侵害か生じるのか?
戸波教授は、これらの質問に的確な証言を行い、さらに「1人でも思想信条によって立てないという人がいれば、あとの100人が立っても良いと言っても、その一人の思想良心の自由を尊重することを日本国憲法は要請している」とも証言しました。
(今後の予定)
○第13回口頭弁論(06年10月25日)〔傍聴者の声-リンク〕で、結審までの手順が確認されました。
弁護側から:○戸波江二教授の再意見書、○原告の陳述書、○最終準備書面の提出
被告側から:○弁護側の書面を読んで、最終準備書面の提出
3月15日(水) 11:00~東京地裁103号法廷
原告最終弁論45分間、被告意見書提出のみ、の予定
「第13回口頭弁論 傍聴ハンドブック」から、最近5回の法廷の様子。
○第8回口頭弁論(06年1月26日)の内容
原告のSさんとGさんに対する証人尋問が行われました。
お二人とも、再発防止研修受講のうち、いわゆる「基本研修」を受講させられた経過や経験について証言されました。
○第9回口頭弁論(06年3月9日)の内容
原告のKさんとWさんに対する証人尋問が行われました。
お二人とも「国歌音唱」不起立による減給処分を受け、いわゆる「基本研修」の他に、個別に実施された「専門研修」を受講させられた経過や経験について証言をしました。
また、2日間の研修のみにとどまらず、「法令問題」と称する課題提出や、継続して行われた「校内研修」等により.長期にわたる多大な圧迫を受け、体調を崩すに至った事実などを証言されました。
○第10回口頭弁論(O6年4月17日)の内容
被告・都側証人として、松井敏夫(都教職員研修センター研修企画課長)、村越正則・立中幸江(研修センター教授:当時)の3名への尋問が行りれました。
松井元課長は、2004年8月2日と9日の「基本研修」および8月30日に行われた「専門研修」を企画・立案・実施した現場の責任者であり、村越・立中の両人は、「専門研修」における「説諭」の担当者でした。いずれ「上から云われたのでやりました」という当事者能力の全くない証人ばかりでした。特に立中証人の「(受講者が)不服審査請求していることも、何で処分されたかも知らなかった」という証言には、担当弁護士も思わず絶句、質問が中断してしまうという一幕もありました。
【松井証言よリ】
・研修センターは、人事部の依頼を受けて研修を企画・立案しただけで、研修を行うかどうか、誰を対象とするかなどは、人事部が決めること。
・不服審査請求していることは知っていたが、その件について検討はしていない。
・「日の丸・君が代」処分にかかわる研修は初めてであった。
・思想・良心の自由に立ち入ったとは思わない。「内心」の問題にはふれていない。
【村越証言より】
・「説諭」の目的は、再発防止のため、心からの反省を促すこと。説諭の内容は、(一般論として)校長の発する命令には従わなければならない。
【立中証言より】
・人事委員会に不服審査請求をしていることは知らなかった。
・「再発防止研修執行停止請求」が起こされていたことは、研修当日に初めて聞いた。
・(受講者が提出を強制された)事前課題は見ていない、課題も回答も知らない。
・説諭の目的は、校長先生の命令は重要ということをわかっていただくこと。
・「日の丸君が代」の問題で処分されたとは知らなかった。
○第11回口頭弁論(06年8月3日)の内容
この日は、再発防止研修の強行を決定した、臼井勇前人事部長への証人尋問が行われました。
この日の法廷は、原告・傍聴希望者合わせて150名を超える人が駆けつけ、103号法廷は満席こなり、急きょ原告席を30余に増やしてもらいましたが、それでも傍聴できなかった方が少なからず出てしまいました。
原告側代理人の金弁護士、山中弁護士、加藤弁護士による反対尋問は50分という制約のなかで、的を絞った質問によって貴重な証言を得ることができました。
【臼井証言の主要な内容】
・2004年6月8日の都議会古賀質問に対する教育長答弁は、人事部長が準備した。
・命令研修こし発令通知書を出すことを決定・起案したのは臼井人事部長。(それまては書面を出したことはない)。
→研修内容は研修センターが決める。人事部は、受講対象者を決めただけだ。
→研修の発令にあたり、対象者個々の職務命令や違反の態様や内容は検討していない。
→「実施要領」では、研修の対象者は「懲戒処分を受けた者と、その管理監督責任者」とあるが、今回は管理監督責任者(=校長)全員には研修を命じていない。
→争議行為に関する懲戒処分は研修実施から除外している。理由は職員団体の機関決定・部全体での処分であり、処分の統一性からみて差がつかないようにするためだ。
(注)ということは、研修は実質的には処分に等しいものということ。
→これまで国旗国歌関係の処分(2件)では研修を実施していない。2件目は研修受講を発令したが本人が来なかったので実施できなかった。ただし来なかった人への処分はしていない。(注)今回研修では、不受講者へは減給処分が出されている。
→原処分について、被処分者の多くが違憲違法たとして人事委員会に審査請求しているここは知っていたが、裁決が出てから研修を行うべきだこいう議論はなかった。
→人事委員会審理の最中に研修して「反省」という成果が得られるか、人事委員会で請求人らが勝った場台はどうなるかは、などは考えなかった。
→日程の変更は、正当な理由を校長が人事部に書面で上げてきたものには認めた。
○第12回口頭弁論(06年9月7日)の内容
戸波江二早稲田大学大学院教授(憲法学)への証人尋問を行いました。戸波教授は、教職員の国歌斉唱不起立は、憲法第19条による保護の対象となりうること,また、再発防止研修自体が受講者の内心に直接的に介入するものであり、違憲性があるということを明快に証言されました。
これらの証言に対する裁判官の関心はきわめて高く、以下に示すような裁判官による質問が30分以上に及びました。
【裁判官の質問】
→仮に、卒業式での国歌国旗を起立斉唱が正当な職務命令だとした場合にでも、個々の原告との関係て違憲ということはあるのか?
→ある外部的行為を、表現の自由(23条で保障)なのか、思想良心の自由(19条で保障)の行為なのかをどのような基準で区別するのか?合議でもいろんな場合を想定して議論しているが、先生はどう考えるか?
→君が代目の丸に対する反対の思想が人格の核心部分をなすことは分かるが,それが卒業式での不起立という行為とどう結びつくのか?別こ地の場面で反対する自由が保障されているのではないか?
→エホバの証人(神戸高専事件)のような場合こは、信仰から剣道をしないという教義が特定される。しかし、日の丸君が代に反対という思想と、卒業式で起立するかしないかの行為は直接結びつかないのではないか?
→19条7号で保護される思想について、真摯さは必要である、と言うことだが、真摯であるか否か、単に嫌いだから起立しない歌わないという区別をどうやってするのか?
→真摯さや思想の核心部分ということは、当該人物の主観で判断するのか?それとも客観的に判断ずるのか?
→10・23通達が違憲なら研修命令も違憲というのは明快だ。一方、10・23通達が適法の場合に研修命令は違憲ということありえるのか。無関係なのか?
→研修命令を発しただけで、実施されなかった場合には、研修命令を発しただけで権利侵害か生じるのか?
戸波教授は、これらの質問に的確な証言を行い、さらに「1人でも思想信条によって立てないという人がいれば、あとの100人が立っても良いと言っても、その一人の思想良心の自由を尊重することを日本国憲法は要請している」とも証言しました。
(今後の予定)
○第13回口頭弁論(06年10月25日)〔傍聴者の声-リンク〕で、結審までの手順が確認されました。
弁護側から:○戸波江二教授の再意見書、○原告の陳述書、○最終準備書面の提出
被告側から:○弁護側の書面を読んで、最終準備書面の提出
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます