◆ 「身分剥脱」の暴挙に出た都教委
地裁敗訴判決「逸脱」認めず控訴 (週刊金曜日)
女子生徒に不適切なメールを送ったとして、東京都教育委員会から懲戒免職処分とされた都立高校の男性教諭(33歳)が、免職処分の取り消しなどを求めた裁判で、「免職は裁量権を逸脱している」として処分を取り消した東京地裁(吉田徹裁判長)判決を不服とする都教委側が控訴した(判決は本誌10月30日号で詳報)。
男性教諭は、女子生徒に性的表現を含む不適切なメール845通を送信したなどとして、昨年7月に懲戒免職処分とされた。これに対し教諭は、家庭で虐待されていた女子生徒の相談に乗って支えるメールだったと主張し、女子生徒も裁判で「先生のおかげで卒業できた」と証言。都教委は虐待の事実を把握せず、女子生徒の話を聞かずに処分を決めていた。
判決は、「メールの内容は性的内容を含み極めて不適切だが、都教委が定める処分量定に照らしても停職とするのが相当。免職処分は裁量権を逸脱している」と判断し処分を取り消した。
東京地裁は、一審判決まで免職処分の執行停止を決定。東京高裁も地裁決定を支持したため、男性教諭は6月から元の職場で授業以外の校務を担当していた。
しかし都教委は判決後、「免職処分の執行停止は一審判決時点で効力が切れた。都職員の身分を失った」として教諭の出勤を拒んでいる。
一審判決が確定するまで、法律上の身分が中途半端で不安定な状態であるのは間違いないが、労働法の専門家は、「控訴前に身分剥奪するなんて普通はしない。違法処分と判断されてなお不当に出勤を拒むのは、ペナルティーを覚悟してなのだろうが酷い話だ」と都教委の対応を疑問視する。
男性教諭の代理人の加藤文也弁護士は「都教委は裁判所の判断を受け入れるべきだ。控訴審は1回で結審して一審判決を確定させ、できるだけ早く授業ができる状態にしたい」と話している。
『週刊金曜日 1064号』(2015.11.20【金曜アンテナ】)
地裁敗訴判決「逸脱」認めず控訴 (週刊金曜日)
池添徳明(ジャーナリスト)
女子生徒に不適切なメールを送ったとして、東京都教育委員会から懲戒免職処分とされた都立高校の男性教諭(33歳)が、免職処分の取り消しなどを求めた裁判で、「免職は裁量権を逸脱している」として処分を取り消した東京地裁(吉田徹裁判長)判決を不服とする都教委側が控訴した(判決は本誌10月30日号で詳報)。
男性教諭は、女子生徒に性的表現を含む不適切なメール845通を送信したなどとして、昨年7月に懲戒免職処分とされた。これに対し教諭は、家庭で虐待されていた女子生徒の相談に乗って支えるメールだったと主張し、女子生徒も裁判で「先生のおかげで卒業できた」と証言。都教委は虐待の事実を把握せず、女子生徒の話を聞かずに処分を決めていた。
判決は、「メールの内容は性的内容を含み極めて不適切だが、都教委が定める処分量定に照らしても停職とするのが相当。免職処分は裁量権を逸脱している」と判断し処分を取り消した。
東京地裁は、一審判決まで免職処分の執行停止を決定。東京高裁も地裁決定を支持したため、男性教諭は6月から元の職場で授業以外の校務を担当していた。
しかし都教委は判決後、「免職処分の執行停止は一審判決時点で効力が切れた。都職員の身分を失った」として教諭の出勤を拒んでいる。
一審判決が確定するまで、法律上の身分が中途半端で不安定な状態であるのは間違いないが、労働法の専門家は、「控訴前に身分剥奪するなんて普通はしない。違法処分と判断されてなお不当に出勤を拒むのは、ペナルティーを覚悟してなのだろうが酷い話だ」と都教委の対応を疑問視する。
男性教諭の代理人の加藤文也弁護士は「都教委は裁判所の判断を受け入れるべきだ。控訴審は1回で結審して一審判決を確定させ、できるだけ早く授業ができる状態にしたい」と話している。
『週刊金曜日 1064号』(2015.11.20【金曜アンテナ】)
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