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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

競争より平等を選択

2012年05月26日 | 格差社会

 《労働政策研究・研修機構が勤労生活調査》
 ◆ 過去最大 終身雇用制支持が9割

 独立行政法人労働政策研究・研修機構は5月8日、第6回勤労生活に関する調査結果を発表した。調査は終身雇用・年功賃金に代表される日本型雇用慣行や職業生活に関する意職とともに、生活満足度や社会のあるべき姿など、社会全般にわたる意識の多様な側面を明らかにすることを目的として行われている。
 調査対象は20歳以上の全国男女4000人で、昨年11~12月に行われ、訪問面接調査で、有効回収率56.6%だった。
 結果のポイントは、終身雇用を支持する割合は過去最高の87.5%、フリーターを「生活を不安定にする働き方」との考えを支持する割合は84・0%で、「自由で多様な働き方」とする考え30・5%を大きく上回った、など。その概要を紹介する。

 ◆ 「終身雇用」「年功賃金」「組織との一体感」支持割合の推移
 「終身雇用」は、2001年(76・1%)に一度若干低下したものの、再び上昇に転じ、今回11年調査では87・5%と高い支持率となった。


 賃金に関する項目でも、「年功賃金」を支持する割合が上昇を続けており、今回稠査では74・5%。調査を開始した1999年以隆いわゆる日本型雇用慣行をあらわす項目に対する支持割合が上昇している(グラフ1)。
 「終身雇用」を支持する割合について、すべての年齢階層で8割を超え、差が5ポイント程度に収まっており、年齢階層で大きな違いがあるわけではない(11年調査)。
 時系列に年齢階層別の割合をみると、前々回(04年調査)までは、年代が上がるに従って、「終身雇用」を支持する割合は高まる傾向にあったが、前回(07年調査)で、20歳代、30歳代の若年層で「終身雇用」を支持する割合がともに10ポイント以上伸びて、すべての階層で8割を超え、年齢階層別の差は急激に小さくなった。今回調査では、さらに年齢階層別の差が縮まっている。
 「年功賃金」も「終身雇用」と同様に、前々回調査(04年)までは、年代が上がるに従って「年功賃金」の支持割合が高まっているが、前回調査で、20歳代の支持割合が約20ポイントと大きく伸び、また今回調査では、30歳代で約10ポイント伸びて、年齢階層に関わりなく、7~8割の高い支持割合となった。

 ◆ 日本が目指すべき社会
 これからの日本が目指すべき社会のあり方について聞いたところ、「貧富の差の少ない平等社会」を選ぶ割合が38・6%で、「意欲や能力に応じ自由に競争できる社会」の34・1%を上回った。
 調査開始以来の推移をみると、04年までは「意欲や能力に応じ自由に競争できる社会」を選択する割合が「貧富の差の少ない平等社会」を10ポイントほど上回っていたが、前回調査で10ポイント以上の差で逆転し、今回調査では順位はそのままで差が縮まっている(グラフ2)。

 ◆ 東日本大震災の仕事への影響
 東日本大震災にかかわって、仕事にどのような影響があったかについて聞いたところ(複数回答)、「何もなかった」という人の割合が66・9%ともっとも高い。
 一方、何らかの影響があった人をみると、「勤務時間の変更など勤務や仕事のやり方が普段と違う対応となった」割合が13・0%ともっとも高く、次いで「仕事が減った」(11・5%)、「収入が減った」(8・7%)、「職場から帰宅するのが困難になった」(7・8%)、「休暇が増えた」(3・1%)、「失業した」(0・7%)の順となっている。

 ◆ 大震災での寄付金額
 東日本大震災に際して寄付した金額の合計について聞いたところ、「1000円~5000円未満」の割合が33・7%ともっとも高く、次いで「5000円~1万円未満」が16・4%、「1000円未満」が14・7%、「1万円~3万円未満」が13・5%の順。5000円未満が約半分を占めている。他方、「寄付しなかった」は14・0%。
 男女別にみると、男性の方が「寄付しなかった」割合が若干高くなっている。年齢階層別では、60歳以降の高齢者で、「寄付しなかった」割合が高くなっている。
 ☆
 この調査は「勤労意識の動向」として、毎回同じ質問を設定しながら、時機にあった設問として「災害被災地支援に関する意識」を今回行った。大規模災害の経験・予想などを質す以前に、「仕事への影響」をもっと地域別など精緻な分析を行い、産業構造を明らかにする方が、賢明だったのではないか。労働者の階層区分も必要になるだろう。

※「第6回勤労生活に関する調査」の設問

【勤労意識の動向】
1.日本型雇用慣行の評価、
 (1)「終身雇用」「年功賃金」「組織との一体化」支持割合の推移、
 (2)「終身雇用」年齢階層別支持割合の時系列比較、
 (3)「年功賃金」年齢階層別支持割合の時系列比較、
2.望ましいキャリア形成、
 (1)「一企業キャリア」「複数企業キャリア」「独立自営キャリア」支持割合の推移、
 (2)「一企業キャリア」「複数企業キャリア」年齢階層別支持割合の時系列比較、
3.望ましい分配原理、
4.仕事満足度、
5.フリーター観、
6階層意識・社会意識、
7.日本が目指すべき社会、
8.生活意識。
【災害被災地支援に関する意識】
1.東日本大震災の仕事への影響、
2.東日本大震災でのボランティア活動、
 (1)ボランティアへの参加状況、(2)ボランティア参加の窓口組織、
3.大規模自然災害に関する意識、
 (1)大規模自然災害の経験、(2)今後10年で大規模自然災害を経験する可能性、
4.被災による失業者への支援、
 (1)大規模自然災害による失業者への手厚い支援、(2)被災による失業者に対して手厚くすべき支援策、
5.被災地支援と負担に関する意識、
6.企業の災害支援、
7.国によるボランティアへの関与、
8.東日本大震災での寄付金額

全容は、http://www.jil.go.jp/press/documents/20120508.pdf に所収

『週刊新社会』(2012/5/22)


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