徒然なるまゝによしなしごとを書きつくる

旧タイトル めざせ、ブータン

謎の永久機関 Part3

2014年05月27日 | 物理

ハイゼンベルグの永久機関について読者の”文科系”さんとコメントでやり取りをしていて新しい知見と議論があるのでちょっと纏めて見た。文科系さんからは名前に反してなかなか鋭い指摘を頂いています。

まず、ベルト左側で発生する総浮力と重りMとの関係について下記の関係があるとの指摘があった。(オリジナルに大気圧パートを追加しています)

重りMはベルト最深部で大気圧+水圧に打ち勝つ力 Mg=(Lρg+atm)S を発生する必要が有る。いっぽう浮力は全てのピストンを隙間無く並べ場合に最大となり F=ρLSg となる。

この二つの式から 浮力と重りの関係は F <= Mg-atmS となる。

この式の意味するところは左側で発生する浮力は決して重りの発生する力Mgより大きくはならない。言い換えるとこのピストンと重りの単独システムは必ず水に沈むと言うことになる。(まあ、あたりまえかな)そして、いくらベルトを伸ばしても総浮力はMgを越える事は無い。ただし、ベルトを伸ばせば相対的に大気圧の項が小さくなる。水深10mだと大気圧と水圧は等しいし水深100mだと大気圧の項は10%、水深1000mだと1%となり浮力と重りがほぼ等しくなる。

さて、浮力の最大値がわかったところで、このシステムが動くかどうかで議論が続いている。

問題はシステムが右回りに運動を続けるか?だが現時点で左側には浮力Fが発生し右側ではそれがゼロだという事で意見は一致している。問題は上点、下点で浮力とは反対側のトルクが発生するか否かで議論している。上点での動きを下図に書いてみた。

問題は回転力;トルクの総和だ。トルクの単位はN・m まず浮力F1は回転中心からRの位置で鉛直方向に上向きに働く。 浮力と逆に働くのはF2,F3だが中心より右側のF4はF2と等しく逆方向に働くので打ち消しあう。よって、残る逆トルクはF3と言うことになる。ちなみにR1=R2=R3=R であるから F3の発生する左向きトルクは F3=R・COS(T2)・Mg 

いっぽう浮力の発生する右向きトルクは F1=R.COS(0)・(Mg-atmS)=R・(Mg-atmS)

この二つが拮抗する場合 F1=F3 となり COS(T2)= (Mg-atmS)/Mg が得られる。ここで最下点が充分深く大気圧分が無視できるとすると COS(T2)=Mg/Mg =1 と近似され T2がゼロのときに浮力と逆回転モーメントが一致する。

これの意味するところは結局のところ冒頭で書いたとおり浮力がMgにほぼ拮抗するので単体のピストンでは回転しない、ということになる。しかし上図でF2とF4は打ち消しあうのでF3が角度T2=0の位置に無い限り右向きの回転トルクは発生する事になる。

永久機関が成立すると言う事は受け入れがたいが、私はいまだにハイゼンベルグ機関が動かない納得いく理由が解りません。 続く...

 


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32 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (文科系)
2014-05-28 03:32:30
こんばんは。いや、おはようと云うべきか。変な時間に起きてしまったので、思いついたことを書き込んでおきます。
私たちは既に到達すべき答えを知っているので、その答えに合った道を進めばよいわけです。
ではその道は何か?
重りが固定されていなくて、動くということです。
私は数式が苦手なので、紙に図を描いて考えています。思考を単純化するために2個のシリンダーが円に内接してHの形に配置されています。シリンダーは0gに近く、ピストン(重り)が∞gに近い値であり、ピストンの体積は限りなく0に近いと仮定しておきます。
Rの円周上を重りの重心が移動して行きます。
浮力はシリンダーのヘッドとピストンの中点でで作用するのでRより小さな円周を描くことになります。
ピストンは常にシリンダーの下側にありますからこの2個のピストンのモーメントは打消し合うことはありません。
ここまでです。寝ます!









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Unknown (Unknown)
2014-05-28 05:33:40
考えると夜も眠れない、ってやつですね ちょっと申し訳ない

>2個のシリンダーが円に内接してHの形に配置されています。

ここで私の思考は止まってしまいました 外接ではなく内接ですか? なぜ? 実際の機構は外接ですよね?
あとなぜ2個、実際は3個以上ですよね なぜ2個?

どうも申しわけありません、付いていってないようです。




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Unknown (文科系)
2014-05-28 08:21:49
おはようございます。
図で考える私の習慣です。まずシリンダーが2個ならどうなる。で納得出来たら3個以上の場合ならと思考を進めていくわけです。
言わば途中経過です。こんなものは投稿すべきではなかったですね。寝ぼけていました。

シリンダーの太さを0に近いとして考えているのでー90度、90度を省く範囲での重りの軌跡を外接円として考えています。しかもコンベアの直線部分をないものとして、円として考えています。

思考の過程で真空中に、この永久機関があるとして、1回だけ力を加えて回転させたら永久に回り続けるのだろうか?
と云うのが始まりです。重りが動かなければ永久に回転しそうです。
では重りが動く場合は?
直観では止まってしまいそうです。
これを考えるためのモデルです。
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Unknown (Unknown)
2014-05-28 12:48:03
このシステムの特徴は左側に浮力が働くというもので、無動力の永久機関とは違います。

論理的に考えるなら、この浮力より大きな逆の力が働く事、あるいは浮力そのものを否定するしか有りません。

文科系さんの今のロジックを継続する場合、浮力=Mg-aS より大きな反力の存在を証明する必要があると言う事になりますね。

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Unknown (文科系)
2014-05-30 06:02:36
おはようございます。
左側の浮力ですが、左側のシリンダーはもしフリーならwの方が勝っているので沈みます。右側のwと左側のwが相殺して右回転の浮力が働くということですね。
直線部分ではシリンダーの重心は影響ありませんが、上下部の回転部分では重心の移動がwを相殺させないということは?
数式で解くとどうなりますか。
それと回転部分では浮力の作用点とシリンダーの重心は一致していないように思えるのですが?
いずれにしても数式に出来ないので私に言えるのはここまでです。
近所の低山をハイキングするのが趣味でしたが、膝を悪くして、今年は行けません。新緑が鮮やかな季節も終わりでしょうか。
ではお大事に
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やじうまの半理系 (Unknown)
2014-05-31 00:15:01
こんばんは。初めまして。見ていてあまりに面白そうなのでコメントいたします。
私は、重りMが動く時の加速度に左右で差分があるので、それで均衡するのではないかと思いました。
左側は空気圧+重力、右側は空気圧-重力なので、差分があります。で、動きながらピストンの壁との摩擦という形で重りの動く方向に力を与えますが、左右で差分あり、反時計回りのトルクとなります。
また、左の重りはピストンとの壁との激突がありますから、これも差分となりますね。

思いつきですみません。
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Unknown (Unknown)
2014-05-31 05:15:01
やじうまの半理系さん、こんにちは

重りの加速度ですが全体が定速で右回りをしていると、上端でピストンが容量0に動くとき正の加速度が働き下端で容量maxに動くとき負の加速度になりますね。これらは相殺するのではないでしょうか?

それとピストンが膨張するときの摩擦力は最加重の場合の力=Mgと自由落下のときの力=ゼロとの中間値であり、これを落下時間で積分するとMgに等しくなると思いますが...
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Unknown (文科系)
2014-06-02 21:51:26
こんばんわ
前回のコメントは説明不足だったので
シリンダー内のピストン(重り)は常に重力に引かれシリンダーの下にあるので、この回転するコンベアの重心は下側にあるはずです。ヤジロベエを浮力で回そうとしている感じでしょうか。
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Unknown (Unknown)
2014-06-03 06:39:08
それはピストンのピッチによりますね。ピッチが広すぎると
上端で単独のピストンを浮力で持ち上げることになりF<Mgにより
回転しません。

しかし、ピッチが円周の1/2以下であれば持ち上げと下げの相殺が
発生し逆トルクはF>cos(t)・Mgとなり回転すると考えます。
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Unknown (Unknown)
2014-06-03 06:42:11
すみません、コメントが正常に入力できません???
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