「美」を愛する人へのメッセージ

岩国市を中心に「いろ・色・パステル画」展を開催しています。また、「美」という大きなテーマに向かって発信していきます。

「美を育てる」・・メトロポリタン美術館

2011-06-06 17:15:45 | ニューヨーク旅行記」

「メトロポリタン美術館」の中にある「ヨーロッパ絵画」の部屋に入ると、「ギアール」という女流画家が描いた絵が展示しています。

 

その前では、このように子供たちが集まり、絵を見ながら「鑑賞会」を行っていました。

 

日本でもこうした光景は見られますが、私が感じたことはその内容の大きな違いです。

 

日本では「学芸員」の人からの一方的な説明に終わりますが、ここでは生徒の自主性を重んじ、彼らのイメージをまず大事にしていることがよくわかりました。

 

次に彼らの頭には「予備知識」がなく、自分の思うイメージを次から次へと「討論形式」で言い合っていたところがとても新鮮にうつりました。

 

例えば、「この絵を描いている人の後ろにいる人は、どんな人でしょうか」「それはどこでわかりますか」という質問に、「絵を習っている人だと思います」「絵の描き方を説明しているところです」とかいろいろな答えが出てきて、それに対して、「学芸員」の人が否定しないでいくと、「私はこう思う」と言う感じになり、その反応から次の質問へうつるような感じで、とても楽しい鑑賞会になっていたのを覚えています。

しかも、その絵が世界的に有名な画家が描いたものの前で行われているのですから、生徒の目には大きな「感動」があるはずです。

 

「レンブラント」の作品の前で、同じような鑑賞会が行われていましたが、その目はとても真剣なものを持っていました。

いたるところで、こうした「鑑賞会」が行われていますが、「子供の目にはどのようにうつるか」とても興味がわいてくるものがあります。

 

というのも、子供の目はとても純真で、この時受けた印象が一生消えないで残る可能性が大きいことを私は経験からよく知っているからです。

 

その場では何の変化も見られないように思えますが、子供の心の中には「大きな衝撃」と「一生のこる出会い」のようなものがあるのではないでしょうか。

 

「素直な見方を引き出す」「子供の目から何を感じ取らせるか」そうしたことが大きなウエイトを占めている光景に思えてなりませんでした。

それは「子供」だけに限らす、大人の人にも言えることです。

 

単なる説明を聞くのではなく、その人が何を感じるかをさかんに言い合っているのがとても新鮮にうつりました。

この画像からもわかるように、見ている人の間で「ディベイト」が行われ、その熱気はこちらが圧倒されるような雰囲気さえあります。

いたるところで見られるこうした「鑑賞会」は、一見日本と同じように見えますが、側で聞いていると全く違うものだということが改めてわかります。

 

「自分の考え」や「自分の感じ方」をとても大事にしていて、「既成概念」を取り払うその見方に、つくづく「鑑賞」というものの本質を見せられたようでとても感動した日になりました。

 

人は「その人の内面から沸き起こったもの」にはとても関心があり、また育てていこうとするものですが、「他の人」から教えてもらったものには、積極的に自分を育てていこうとする力は働きません。

 

「自分を育てる」には「内発するもの」をよく見極め、それをうまく育ててやることがとても大事になります。

 

「美術教育」だけでなく「教育」全体に言えるのは、この「内発する心の動き」をうまく引き出すことに尽きると思います。

 

こうした海外で自分が見た経験は、今とても役に立っています。実験を重ねながらそれらを行っていますが、そういい場面に出会った時の不思議な力には驚かされるものがあり、言葉にならない大きな感動を私に教えてくれます。

 

「美を育てる」から「人を育てる」まで、その幅広い人間教育の不思議さに驚いているこの頃です。

 

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