ジェフリー・アーチャー「ゴッホは欺く」
アーチャー久々のサスペンス物です。今回のお題はゴッホの自画像。
登場人物は・・・・、サザビーズを解雇され今は銀行で美術コンサルタントを務めるアンナ、その彼女を監視下に置くFBI特別捜査官、印象派コレクションを持つ金持ちに不当な債務を押し付け、担保として絵画を巻き上げる悪徳銀行家フェンストン、そして独裁国家の暗い影を引きずる殺し屋・・・。
事件はイギリス、ナポレオン戦争以後爵位を継承している貴族の館で女性当主が首を掻き切られて殺される場面から始まります。日を同じくしてNY、ワールドトレードセンタービルでは、アンナがフェンストンから突然首を言い渡され、その直後・・・ボストン発アメリカン航空11便がノースタワーに激突する・・・。そこからノンストップでスリリングな追いかけっこが始まります。
いやー、移動距離が半端じゃありません。
NY→カナダ→ロンドン→※■△●〒→香港→東京→※■△●〒→ロンドン→NY→ロンドン
マイレージサービスのマイルがどんどん貯まります。時差ぼけにもなりそうです。
本当に面白くその日の内に読了したのですが・・・・・
ノースタワーからの脱出場面、リアルに描かれており前半部分を引き締めているのですが、その後が、何か重みが少し足りないような・・・。お酒で言えば、ちょっと端麗すぎなんですね。もう少し絵画コレクターに関するドロドロした話とか、某独裁者政権時代の蜂起の話とかの密度が増すと作品の「コク」がもっと出たのかもしれません。それと有力絵画コレクターとして出てくる日本の鉄鋼会社の社長さん、ちょっと格好良すぎじゃないでしょうか。こんな経営者っていないでしょう。
いずれにせよ「お帰りなさい!アーチャー!」です。