英国的読書生活

イギリスつながりの本を紹介していきます

ウォレス・コレクション

2007-03-07 | イギリス

「ゴッホは欺く」は貴族の美術コレクションをめぐるサスペンスでしたが、その貴族のコレクションがどのくらい凄いかを体験できる美術館がロンドンにあります。ショッピングゾーンとして有名なオックスフォードストリートの北側、巨大百貨店セルフリッジの裏手にあたる閑静な地区にある「ウォレス・コレクション」がそれ。サー・リチャード・ウォレスの個人コレクションを、氏の死後未亡人が遺言によって国に寄贈したというもの。館がそのまま国立の美術館として運営されています。だから入場料は無料。ナショナルギャラリーやテートと違ってこぢんまりしていますので、隅々まで堪能することができます。こぢんまりしていると言ってもコレクションは膨大なもの。18世紀フランス絵画が中心ですが、陶磁器、甲冑、武器、装飾品など多岐に渡っています。絵画ではルーベンスやベラスケス、レンブラント、そしてフラゴナールの「ぶらんこ」などを観ることができます。この「ぶらんこ」っていう主題、実はけっこうエッチなんですね。でもフラゴナールの絵はそのことを感じさせない素晴らしさがあります。
建物自体もなかなか立派。エントランスホールの正面にある階段などは、今でも着飾った貴婦人が降りてきそうな感じです。一番奥の部屋はこれまた広い。夜な夜な大きなパーティーが開かれたのでしょうか。家具や調度品がそのまま残されてる部屋もあり、かつての上流階級の場所に浸ることができます。
一方こんな場面も。私たちが行った時はちょうど地元小学生のグループが見学に来ていたのですが、彼らに説明するガイドがなかなか愉快なのです。ある絵画を1人のガイドが説明している時に、その絵に描かれた人物と同じ格好をした別のガイドが隣の部屋から飛び込んで皆を驚かしたりと(もちろん一般の我々もびっくりしちゃうのですが)けっこう芸が細かく退屈などさせません。
限られた日程でロンドンを訪問すると、どうしても大きな博物館、美術館から足を運んでしまいこういった小さな美術館は時間切れ・・・ってなりがちですが、是非ここは計画に入れられて損はない場所かと思います。なんたって空いています。

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