英国的読書生活

イギリスつながりの本を紹介していきます

パリのイギリス人

2006-06-07 | イギリス
イギリスからパリに入ると必ず感じるのが「治安の悪さ」。
これは本当に良くないですね。凶悪事件に巻き込まれるのは希かと思いますが、窃盗、詐欺のたぐいは毎日観光客をターゲットに行なわれています。特に鉄道駅周辺、モンマルトル周辺は、いかにもという輩がいますのでご注意を。あと意外とセーヌ河の畔もインラインスケート履いた輩も怖いですよ(ほとんどはいい人なんですけど・・・。)。実際、私もショッピングモールの中で引ったくり犯が警備員にタックルされる現場を目撃しました。びくびくしてても楽しくないですが、それなりの自衛は必要でしょう。「いやーな」思いをしてパリ鬱シンドロームにならないように。
私は幸運にもあまり経験がないのですが、カフェのギャルソンにシカトされたり、不快な態度を取られても怒らないこと。それがパリなんですから。「シルブプレ」って胸張って卑屈に行きましょう。

スティーヴン・クラーク
「くそったれ。美しきパリの12か月」

原題は「A Year in the MERDE」。糞まみれの1年ってとこでしょうか。
パリの食品会社にヘッドハンティングされた若きイギリス人。パリで新規に立ち上げるティールーム事業のプロジェクトを任されます。チームメイトは小癪なフランス人ばかり。はたして仲良く仕事が出来るのか?
しょっぱなからチームメイトは紅茶文化(英語文化)を理解できない。街を歩けば犬の糞を踏んでしまう。いつもどこかでストライキがやっている。カフェでは希望通りの注文ができない。ボラれる。お役所は何度足を運んでも書類を受取ってくれない。部屋を探せば窓無の穴倉部屋を斡旋される。そして女の子にアプローチしようと思えば・・・・

「おまえのせいだぞ、ミスター・ダーシー」僕は天を仰いで言った。「おまえもだ、ヒュー・グラント。おまえらが上品なイメージを植えつけて回っているせいで、イギリスの男はセックスひとつろくにありつけないじゃないか!」

これは、パリの呪縛にはまった不幸なイギリス人男性の話でしょうか。
いいえ、コツさえ掴めば犬の糞も踏みません。カフェでちゃんとコーヒーも注文できます。なんたってこの主人公、1年間の間に4人もパリジェンヌをゲットしているんですから・・・・。糞はイギリス人かも・・・・


帰省

2006-06-06 | 日常
先週末は小倉の実家へ娘を連れて帰省でした。
久しぶりに「ぷり爺」に乗り込んでのドライブです。途中、門司港で高速を降り、休憩を兼ねて「海峡ドラマシップ」に入ります。ここはレトロ地区からやや西に行ったところで8月13日の海峡花火大会ではメイン会場になるエリアにあります。館の印象は娘にとっては、「つまんない」だったらしくすぐに出てしまいました。巨大な展望所といった感じでしょうか。外に出るとすぐそばの岸壁に停泊中の巡視船(そうここは第七管区海上保安庁のまん前でもあります)で何かセレモニーをやってます。マスコミも数社来てました。どうやら釜山沖で行なわれる多国間多目的訓練に参加するための出港式のようです。巡視船の名前は「ちくぜん」。この船は99年に能登半島沖で北朝鮮とみられる不審船に対し46年ぶりに威嚇射撃をした巡視船だそうです。写真は船が離岸した後の「帽振れ」です。以前豪華客船「シルバーシャドウ」の出港式を下関で体験したことがありますが、船の出港には独特の哀愁がありますよね。集まっていた一般の人も思わず手を振ってしまいます。いずれにしてもご無事で!

次の日曜日はジジ・ババも誘って今年出来た「新北九州空港」へドライブです。24時間空港をコンセプトに作られた海上空港ですが、それを結ぶ橋の豪華なこと・・・。どうやってペイするのでしょうか。ちょっと心配になります。
さて空港ビルですが、入るとちょっとびっくりします。そう銀河鉄道999のメーテルがインフォメーションに立っています。マイクや画面で質問すると施設やアクセス情報、そして個人的な質問にも答えてくれるというもの。


これが写真です。何故かハレーションぎみです。もしかしたら写真には写らない存在なのかもしれません。
小倉は作者松本零士の出身地。だからメーテルも小倉生まれ。「男おいどん」も・・・・知ってます?

さてこの空港と羽田間で就航している「スターフライヤー」。朝5時半の出発便から深夜1時半の到着便までビジネス客狙いで活路を見出そうとしています。全席革張りシート、液晶モニター付き・・。地元の新日鉄、安川電機他企業体の思惑が絡んでの事業です。WBCで優勝した王監督を無理やり深夜この空港に着けさせたのにも訳があるのです。

途中、お昼を食べて実家にもどり、お座敷で旬の煮梅で一休みした後、「ぷり爺」に鞭を入れて帰りました。

目に優しい実家の庭です。


ロンドンからパリへ(2)

2006-06-05 | イギリス
今度は01年当時のお話

季節は夏。トンネルも出来たことですし、ユーロスターでパリを目指します。発駅はウォータールー・インターナショナル駅。名前の由来はナポレオン戦争でウェリントン公爵率いるイギリス・オランダ連合軍(プロイセン軍も同調)が勝利した戦場ワーテルローの英語読み。アバの名曲「恋のウォータールー」を思い出します。(あのボートの三人男もここから出発しています)
駅の入り口は在来線と明確に区別されており、国際線の飛行機に乗るイメージです。チケットを自動検札機に通しセキュリティーチェックを受けたらコンコースに出ます。この上が出発ホームになりますが、出発間際までホームに上がるエスカレーターは閉鎖されており入ることはできません。コンコース内には両替所、キヨスク、軽食コーナーがあるくらいで免税品などは売ってません。
出発時間が迫りゲートが開くとエスカレーターでホームに出、入線しているユーロスターに乗り込みます。スーツケースはデッキの荷物置き場に(はるか等といっしょです)。2等車の座席はいたってシンプルで少し固めな感じ、逆に疲れ難いシートに思えました。発車後、列車は滑る様(本当にレールの上を滑る感じでした。台車の違いでしょうか静かです)に駅を離れロンドン市街を南に南下します。すぐに田園地帯に。のどかな緑の牧草地が広がります。1等車は食事と飲み物のサービスがありますが、2等にはありません。車内売店でハンバーガーとビールを購入し、席で食べます。で、ちょっとウトウトしていたら、あらら、既にフランスに入ってました。トンネルは全く記憶にありません。フランスの風景はイギリスと打って変わって一面穀倉地帯が続きます。明るい土の色が採れるものの美味しさを物語っているようです。列車は3時間でパリ北駅に到着。ホームに降り、即外に出れます。何のチェックもありません。この時驚いたのが、ロンドンとの気候の違い。3時間前はあれだけ寒いくらいの気温だったのに、駅を出たとたん日差しの強さと暑さに「うわ!」って感じでした。パリの位置ってついロンドンの西に考えちゃいますけど、南と考えたほうが正解ですね。さっそく冷たいエビアンを求めてしまいました。
さて、このユーロスター、実は300k運転してるのはフランス側だけ。イギリス側は開業以来最高160kがやっとの状態でした。で、いっしょうけんめいCTRSという高速新線を作って現在は部分開通しています。来年(07年)には全線が開通し、イギリス側の発着駅がウォータールーからセント・パンクラス駅に変わる予定。こうなるとセント・パンクラス駅から一旦北に出てロンドン市を東にぐるっとまわって(たぶんトンネルで)南下するということになるのでしょうかね。セント・パンクラス駅と言えば、ネオゴシックの壮麗な建物。ハリーポッターの映画では隣のキングスクロス駅の外観(キングスクロス駅があまりにもそっけないデザインだから)として使われてました。歴史的な駅舎から乗るユーロスターもまた魅力的です。

ガーディアン紙によるCTRSの説明

ロンドンからパリへ(1)

2006-06-02 | イギリス
91年当時のお話
イギリスからフランスに渡るには空路か海路しかない時代。
利用したのは今はなきダンエアーという航空会社。ロンドン・ガトウィック空港からパリ・シャルルドゴール空港まで50分程度のフライト。国際線なので一応機内食がサービスされるのですが、短いフライト時間でサービスするので大変です。離陸後ベルト着用サインが消えると、すぐにスチュワーデスさん活動開始です。まだ機が上昇していて通路が急な坂になっているにもかかわらずワゴンを押して最前列へ。はたから見てても「押し上げている」感じで力が入ります。もし、彼女が転けたらワゴンは最後尾まで一直線・・・隔壁を突き抜けて・・・ちょっと脂汗が滲みます。機内食はというと、パンとハムとチーズにサラダという冷たい朝食というイメージ。味わう間もなく機は高度を下げ始めます。これからがもっと大変。片っ端から配したトレーの回収です。今度は急な下り坂になった通路で・・・うわ!今手を離したらワゴンは操縦席に一直線・・・・。ベルト着用サインが点きますが、まだトレーの回収は終わってません。どんどんギャレーにトレーを放り込みます(投げてます!)。最終アプローチのアナウンス。最後はトイレに食器ごとトレーを投げ入れて彼女たちは自席でベルトを着用します。間一髪ランディング!こっちもハラハラして窓からの風景を楽しむ余裕はありませんでした。帰りのフライトも同じような状況でしたので、毎日ダンエアーではこのような楽しいパフォーマンスが繰り広げられていたのでしょう。どうりでスチュワーデスのみなさん筋骨たくましい大女ばかりでした。

初めてのパリの印象(ロンドンと比べて)
■食べ物が美味しい!まずはパン。さすがフランスパン。ハムを挟んだジャンボン、どこでも買えて最高です。どうしてこんなシンプルなものがイギリスでは食せないのでしょうか。そしてどんな小さな食堂でも定食(メニュ)は前菜、メイン、デザートが複数のなかから選べます。プリ・フィックス式としてイギリスでも広まってますが、選択の幅が違います。フランス人にとって「選べない」ことは人生において考えられないことなんですって。
■ワインが安い!大型スーパーのワイン売り場は圧巻です。手頃なテーブルワインがわんさかです。レストランでもワインは安い。定食の料金に含まれている場合もあります。(のみほの場合も)
■地下鉄がくさい!臭いです。不潔です。91年当時ホームにはホームレス(しゃれ)がいっぱいたむろして、大小便を所構わずする(地下鉄構内にはWCはありません)もんだからすごいニオイ。消毒のクレゾールのニオイいもキツイです。ちょうど台所で洗剤の入った鍋に熱湯を注いだ時のニオイに近いです。そんなニオイの中、美しいパリジェンヌが颯爽と歩くところがパリです。
ところが、翌92年に訪れた時はびっくりするくらいきれいになってました。何でもアルベールヴィル冬季オリンピックに合わせてパリ中を大清掃した結果とのこと。でもやっぱりかすかに、染み付いたニオイは消えてませんでした。
■みんな働いていない!そりゃ観光地ばかり見ていると当たり前です。いるのは観光客ばかりですから。ただ実際、ビジネスマンや売り子さんたちもどこか一生懸命じゃありません。街全体がアルコールやタバコにも寛容だし、場末のストリップからオペラ座まで懐と品格に合わせて楽しめます。ロンドンは犬の街、パリは猫の街といいますが、24時間営業のカフェやビストロのテーブルで何時間もゴロニャンしたくなる街です。
■エッフェル塔がすてき!その存在感と美しさにはびっくりです。見る価値あります。上る価値あります。