国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

社会不安、保護貿易、ブロック経済化、そして戦争

2009年03月07日 | 中国
●ヤスの備忘録 歴史と予言のあいだ 2009年地獄の夏に向かって9 2月24日


○LEAP/E2020の最新レポート

2月16日、このブログでも何度も取り上げたフランスのシンクタンク、LEAP/E2020が最新レポートを公開した。ここは、2006年2月という、金融破綻やなど考えられもしなかった世界経済の絶頂期に、アメリカを中心としたグローバル経済が破綻することをどこよりも早く予想したシンクタンクである。ときおりLEAP/E2020は、経済のみならず世界情勢の予測も行っているが、それを合わせた的中率は87%といわれている。経済予測だけであれば、的中率は限りなく100%に近いのではないかと思う。毎回のレポートは無視できない。

今回は、LEAP/E2020のGEAB32という最新レポート(有料)の内容を簡単に要約する。以下である。

・LEAP/E2020は現在のグローバルシステムが、①始動、②加速、③衝撃、④転換の4つの段階を通して崩壊し、別なシステムへと移行すると予測してきた。

・予測は的中し、いまグローバル経済は破綻しつつあるが、われわれは第4段階の後に新たな段階を追加する必要があるという結論に達した。それは、地政学的配置転換という第5の段階である。

・金融破綻が発生し、グローバル経済が破綻しつつあるいまになっても、各国政府はこれをグローバル経済の構造的な危機としては認識していない。これを一般の不況と同様のものとしてとらえ、一年かそこらで回復するものと信じている。

・各国の経済政策も、規模こそ大きいものの、基本的には政府による不良債権買い取りなど、一般の不況対策の域を出ないものばかりだ。

・いま必要なのは、各国の協調で新しいグローバル経済の秩序を再建することだ。金融破綻のスピードは速いので、4月に開催されるG20が新しい秩序の構築に向けた本格的な動きを開始する最後のチャンスとなる。

・もしこれに失敗した場合、これから世界はわれわれが「地政学的配置転換」と呼ぶ第5段階に入ることになる。この段階は、対策の遅れからグローバル経済がいわばクラッシュし、現在の世界の地政学的秩序が流動化してしまう状態を指す。

・この段階では以下の事態の発生が予測できる。

1)各国が保護貿易に移行し、内需への依存度を深める。この動きから地域経済ブロックの形成が加速する。特に、中国、ドイツ、日本などの輸出依存型の経済はその傾向を強めざるを得ないだろう。

2)IMF、OECD、WTO、国連など戦後の世界秩序の枠組みとなっていた国際組織の多くは解体する。

3)アメリカの覇権は決定的に凋落する。合衆国の統合を保証しているものは、結局アメリカがもたらす経済的繁栄である。経済の決定的な凋落でそれが保証されなくなると、州の反乱から合衆国は分裂する可能性さえある。

4)EU圏は地域経済圏を形成し、政府が提供するセイフティネットも充実しているので、内需に依存することができる。そのため、英米に比べれば今回の金融危機の影響は比較的に軽度に済むだろう。

・これはまさに、戦後の世界秩序の枠組みの流動化である。この結果、社会の不安定化が加速する可能性が大きい。その不安定化の速度は地域によって異なるが、個人としては以下のことを行うようにアドバイスする。

1)アメリカのように、自分の住んでいる地域が銃の所持に寛容な地域であるなら、即刻居住地域を変えることを勧める。合衆国の分裂に伴う混乱であらゆる暴力の爆発が予想されるからだ。すでに、銃の所持が許可されている地域から許可されていない地域への人口の移動がみられる。また、2年前から、アメリカの富裕層のヨーロッパへの移住が後をたたない。

2)もしあなたの住んでいる地域が、食料、飲料水、エネルギーなどを国外からの輸入に依存しているのであれば、それは途絶えてしまう可能性が大きい。それに備えて、そうした必需品はストックしておくべきだろう。

3)社会が不安定すると、公共サービスが停止してしまう可能性が大きい。これはたいてい長くても一週間前後で復旧する。だが、社会の不安定化の程度が大きく、中央政府が崩壊してしまう地域もある。そうした地域からは、早いうちに引っ越すべきだ。

4)世界経済の本格的な流動化に備えて、あなたが保有している資産の少なくとも3分の1程度は金や貴金属にしておくべきである。







○イマニュエル・ウォーラスティンの論評

これはすでにメルマガでも紹介したが、2月16日、このブログでも何度か紹介したことのあるイマニュエル・ウォーラスティンは、「経済的災難の政治」という最新の論評を発表し、いまの金融破綻の後に何が起こるのか端的にまとめた。

社会科学者の中で、情勢の正確な分析からかなりの精度で予測を的中させている機関や研究者が存在する。その一つが上のLEAP/E2020であり、そしてもう一人がイマニュエル・ウォーラスティンだ。もう一人、ホッブスボウムというイギリスの歴史学者がいるが、彼の論説もいずれ紹介したい。

こうした組織や個人の分析は、歴史を貫く長期波動の研究に基づいていることに特徴がある。それが彼らの予測の的中率が高い理由であろう。長期波動とはどういうものなのか、これもいずれ詳しく解説したい。

以下がウォーラスティンの論説である。

・金融破綻による世界恐慌の影響で失業率は急上昇し、そのためデモや暴動などの社会不安が増大する。2月だけでもすでに、アイスランド、ギリシャ、フランス、イギリス、ロシア、中国、韓国、メキシコ、ラトヴィア、マダガスカルなどの国々でデモや暴動が起こっている。これからより多くの国々で社会不安の激増がみられるだろう。

・こうした状況では政府は危機に立たされる。国民の抗議で政権が崩壊するか、または政権を維持したいのであれば早急に国民に仕事を与えなければならない。

・国民に仕事を与える一番効果のある方法は保護主義的な政策の導入である。関税障壁で国内産業を保護したり、また資本が国内にだけ投資されるような規制を導入するなら、一時的にしろ、国内産業は活性化して失業率が低下するので、社会不安は防ぐことができる。

・保護主義の導入は、長期的には経済成長にとってマイナスとなる。しかし社会不安の増大に直面した政府は保護主義を導入せざるを得なくなることは間違いない。口では自由貿易とグローバリゼーションを守れといいながら、各国とも実際には保護主義を導入するだろう。

どうであろうか?先に紹介したLEAP/E2020との類似は明かだ。どちらも社会不安の増大から保護主義、そしてブロック経済化への道を明確に予想している。
http://ytaka2011.blog105.fc2.com/blog-entry-115.html









●インドと中国は(直接・間接に)戦争を仕掛けられるのは当然。 - 株式日記と経済展望

アメリカの金融立国戦略が破綻したのも、サブプライムが破綻したように、資本主義はネズミ講であり、およそ70年周期で大破綻を繰り返すように出来ているようだ。つまり世界は昭和初期の頃のような大恐慌の入り口に来ている訳ですが、アメリカのオバマ大統領はグリーンニューディール政策を打ち出しました。しかし70兆円の公共投資ではとても大恐慌は乗り切れない。

金融立国とは貧しい国に投資して労働力を搾取する事なのですが、国際金融資本は中国やインドなどに投資をして金融収益を上げてきた。中国の国民は日本の20分の1といった低賃金で劣悪な環境で働かされてきた。独裁国家だからそんなことが出来るのですが、中国は輸出で稼いだ利益を軍事力強化に使っている。それこそ国際金融資本のねらいであり、軍事大国化した中国は周辺諸国と戦争を始めるだろう。いや、始めさせられるだろう。

第二次時世界大戦もアメリカの国際金融資本はドイツのヒトラーを誕生させて軍事大国化させて周辺諸国に戦争を仕掛けさせた。それでヨーロッパや日本はボコボコニなり生産設備は破壊されてアメリカの1人勝ちになった。それで世界の大恐慌は収まったのですが、戦争が終わって70年近く経つとまた資本主義は生産過剰な状態になり、生産調整が求められてくる。

生産調整とは戦争の事ですが、世界の工場と言われた中国が戦場となることだろう。中国が戦争によって焼け野原になれば供給不足になって過剰な生産は解消される事になる。去年まではアメリカが消費大国となり世界から製品を買いまくって世界経済を支えてきましたが、金融破綻で消費が出来なくなり輸入が激減してしまった。

日本も戦前のように内閣総理大臣はクルクルと次々代わりますが、一向に不況は収まらず、頼みのアメリカも不況になって輸出頼みの経済は立ち行かなくなった。日本の資本家たちは日本の若者を非正規労働者として働かせて賃金を下げさせて行って利益を増大させてきた。小泉改革とはこの事を言うのですが、企業は豊かになっても労働者はますます賃金が低下していく。

この事は世界中で起きてきており、低賃金労働者は反乱を起こして独裁者を生む国が出て来ることだろう。オバマ大統領もバイアメリカン政策を打ち出してきて市場の囲い込み政策が行なわれようとしている。金融資本主義はグローバリズムで利益を上げてきましたが、金融資本主義が上手く行かなくなれば、反グローバリズムが台頭してくるのは当然だ。

アメリカのニューディール政策は失敗して、それを誤魔化す為に日本に戦争を吹っかけてきてパールハーバーで大不況から脱出する事ができた。これはポール・クルーグマンが言っていることでもあり、靖国神社の歴史観は正しいのだ。正しい事を言っているからこそアメリカの元政府高官は靖国神社の歴史観にクレームをつけたのであり、デタラメならば誰も信じなくなるので放置していればいい。

アメリカはイラク戦争を見れば分かるように、適当ないちゃもんをつけて勝手に戦争を始める。日本もそれに巻き込まれたのですが、軍部はルーズベルトの意図を見抜ける人材がいなかった。パールハーバーは飛んで火にいる夏の虫であり、山本五十六や米内光政はヒトラーのように国際金融資本によって育てられたスパイなのだ。

アメリカの支配層は今度はどのような戦争プログラムを描いているのかは分かりませんが、ドイツや日本はもう再びアメリカの罠にかかる事はないだろう。その意味で考えれば憲法九条はありがたい法律であり、アメリカが何を言ってきても憲法九条がどうのこうのとか言っていれば日本から戦争は起こせない。

アメリカが中国を一生懸命そそのかしているのは、中国を暴発させる為だろう。アメリカのシンクタンクなどは中国が次の覇権国家になるとおだて上げれば、中国人の自尊心は天まで達して軍事大国を目指している。日本の戦略としては日米同盟を保ちながら、アメリカと中国を利用して金を稼ぐことだ。そして米中冷戦体制に持っていって、台湾あたりで米中がドンパチ始めて米中が共倒れになってくれれば最高だ。

経済面では米中の抱き合い心中は進行しており、アメリカの銀行も自動車会社もバタバタと潰れていくだろう。中国もアメリカへの輸出が減少して、資本も技術も入ってこなくなれば中国の工場も倒産する。失業者が溢れれば中国は台湾侵攻に打って出るしかなくなるだろう。日本はそうなるまで米中を見ていればいいのであり、政治家は米中に利用されないように国民は監視すべきだ。

やがてアメリカと中国は混乱状態となって幾つかの国に分裂するだろう。アメリカやソ連のような超大国が成り立ったのも石油が安かったからであり、ガソリンが高価なものとなって交通が制約されれば国家の規模は小さい方が効率的だ。アメリカも中国も五つか六つの国に分裂して行くだろう。田中宇氏もそのように予想している。
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/02522b500fc4b0d40b3a3c3514489b2b







●世界的な「反乱の夏」になる? 2009年2月26日  田中 宇
http://tanakanews.com/090226rage.php(有料版)





●尖閣諸島めぐり申し入れ 中国が日本に - MSN産経ニュース 2009.2.11

中国外務省は11日、日本の海上保安庁が監視強化のため尖閣諸島(中国名・釣魚島)近海にヘリコプター搭載の大型巡視船を常時配置する態勢に切り替えたとする日本の一部メディアの報道を受け、日本側に尖閣諸島の領有権問題で対立をあおる行動を取らないよう申し入れたと発表した。
 申し入れは北京の日本大使館を通じて行った。「報道が事実なら、中国の領土主権に対する重大な侵犯だ」と指摘、日本が対立をあおる行動を取れば「強い反応」を示さざるを得ないとけん制した。(北京 共同)
http://sankei.jp.msn.com/world/china/090211/chn0902112134006-n1.htm






●【今日のブログ】尖閣諸島は日中戦争の火種になるか 2009/02/13

  日本海上保安庁が2月1日より尖閣諸島に対する警備体制を強化するため、ヘリコプターを搭載できるPLH型パトロール船を尖閣諸島付近の海域に常駐させている。これは中国政府のみならず、一般の中国人も強い不満を表している。このブログは尖閣諸島をめぐる日中間の争いが、日中戦争につながり得るかを考察するものである。以下はそのブログより。
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  日本メディアの報道によると、日本海上保安庁は2月1日より、中国海洋調査船が尖閣諸島(中国名:釣魚島)に侵入することを防ぐためにヘリコプターを搭載できるPLH型巡視船を常駐させているという。

麻生氏が首相に就任して以来、中国国内では日中友好を求める声が高まっていた。それは日本の対中政策が比較的穏便に見えていたからであるが、本質はやはり何も変わっておらず、ここへ来て日本は野心を見せ始めたと言ってよいだろう。私個人としては、日中関係が平和的に発展する可能性は皆無であり、日中友好などというのは馬鹿げたことだと考えているが、その原因を以下に述べる。

  一つ目の原因として、日本社会の特性にある。日本はかねてより他国を侵略する傾向の強い国家であり、日本民族の精神の核をなしているのは軍国主義を兼ね備えた武士道精神だからである。

  次に、日中間が共に主張する「自国の利益」に対する紛争に解決の糸口が見えないことである。例えば、尖閣諸島を含む東シナ海における境界線の争いでは、中国側には譲歩の余地は一切なく、日本側にも譲歩の余地はそれほど存在しないからである。

  また、日米同盟も原因の一つだ。米国は戦略核を搭載した潜水艦を太平洋に集めており、中国沿岸に対する圧力を強め続けているが、これは今後の日中関係にも大きく影響を及ぼす要素であろう。

  この先、日中戦争は発生し得るだろうか?これは中国内部における要因と国際的な要因によって決定されるだろう。中国がこのまま発展し続けることが出来、強大な軍事力を保持することが出来れば、日中戦争発生のリスクを軽減することは出来るだろうが、領土問題において過度な譲歩を要求されるようであれば戦争は不可避であろう。

  現在の日中双方の実力を比較し、尖閣諸島(中国名:釣魚島)をめぐる戦闘が勃発した場合、中国が勝利を収める可能性はどれほどあるのだろう?局部戦となった場合、中国が敗戦するのは必至である。

  なぜなら、日中間に戦闘が発生した場合、米国が介入してくるのは必然だからだ。中国は核武装した国家ではあるが、中国は先手をうって核兵器を使用しないこと及び、非核武装の国家に対して核兵器を使用しないことを承諾している。これでは日米に対して対抗するのは非常に難しいと言わざるを得ないだろう。
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=0213&f=column_0213_004.shtml









●「米、尖閣に安保適用」 官房長官が確認 - MSN産経ニュース 2009.3.5

 河村建夫官房長官は5日夕、東シナ海の尖閣諸島(中国名・釣魚島)が他国から攻撃を受けた場合、日米安全保障条約が適用されるかどうかについて、「米国の見解は従来のものであり変更していないと確認を得た」と述べ、米政府の公式見解として適用対象になると確認したことを明らかにした。首相官邸で記者団の質問に答えた。
 河村氏は「米国は『尖閣諸島は沖縄返還の一環として返還されて以来、日本国政府の施政下にある。日米安保条約5条は日本の施政下にある領域に適用される』と述べた」と米国の従来の見解を強調した。
 尖閣諸島への安保条約の適用をめぐっては、2月26日の衆院予算委員会で、民主党の前原誠司副代表が再確認を要請。麻生太郎首相は対象になるとの認識を示していた。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090305/plc0903051919007-n1.htm







●中国の軍拡、尖閣への脅威を警告 米軍事専門家ら - MSN産経ニュース 2009.3.5

 【ワシントン=山本秀也】米国防大学のバーナード・コール教授は4日、軍拡路線を進める中国の戦略について、「中国軍の展開が米国と同盟国の国益と衝突しかねない」と警告し、尖閣諸島(沖縄県石垣市)の領有権など東シナ海の権益をめぐる中国の強硬路線に懸念を表明した。米議会内の米中経済安保調査委員会で発言した。
 中国が「釣魚島」として領有権を主張する尖閣諸島に関しては、他の専門家も、中国海軍が「中国指導部に係争水域への領有権を主張する(力の)裏付けを提供している」(マイケル・オースリンAEI研究員)として、台湾問題やスプラトリー(中国名・南沙)諸島など南シナ海問題と同様、紛争の火種となる可能性を指摘した。
 この日の検討テーマは、「中国の国外における軍事・安保活動」。
 出席した官民の米専門家がとくに注目したのは、ソマリア沖の海賊排除を掲げた中国海軍の駆逐艦など3隻のアラビア海派遣だ。
 米海軍分析センター(CNA)の中国専門家ダニエル・ハートネット氏は、中国軍自身が「歴史的使命」と位置づけるこの遠洋作戦について、「中国海軍の創設以来、中国の領海外で実施された初の戦闘作戦」と指摘する。
 南海艦隊所属の「武漢」などミサイル駆逐艦2隻と補給艦1隻で構成する中国の派遣艦隊には、特殊部隊員約70人も参加している。
 現場海域に到着した1月初めから2月中旬までの途中集計で、商船の護衛や海賊の排除など16回の任務をこなした。
 米海軍や専門家が注目するのは、こうした任務の達成から洋上補給までを含めた洋上での総合的な作戦能力を中国海軍が高めたことだ。コール教授は台湾問題を例に挙げながら、「自国を遠く離れた作戦は、未解決の問題に対する北京当局の自信を深めるものとなった」と指摘した。
 遠洋での作戦能力が向上すれば、中国近隣の領土・領海をめぐる領有権や海洋権益の争いで、中国が国益保護に軍事力を有効に利用し得るというのが専門家の見解だ。
 コール教授は、中国の軍事力が、国土防衛の範囲を超えて国益伸長や脅威の排除に踏み込んでいると指摘。尖閣諸島のほか、東シナ海の海底ガス田をめぐる中国の動向に注意を促した。
http://sankei.jp.msn.com/world/america/090305/amr0903052206014-n1.htm








【私のコメント】
ブログ「ヤスの備忘録」がLEAP/E2020の最新レポート(有料版)であるGEAB32の要約を掲載している。4月に開催されるG20が失敗に終わると世界が地政学的秩序が流動化すると言う内容だ。具体的には、経済面では保護貿易やブロック経済化、社会面では暴動・内戦などによる社会秩序崩壊、国際面ではIMF、OECD、WTO、国連などの国際組織の解体が列挙されている。中でも、米国の経済的繁栄の終焉と混乱、暴力の爆発の指摘は重要である。田中宇氏もブログで同様の事を述べているし、地政学者の奥山真司氏も昨年の講演会で同様の指摘を行っていた。これだけ多くの分析者の分析が一致するということは、それが実現する可能性が非常に高いことを意味する。

恐らく、今年夏以降の米国国内の混乱は治安維持のための米軍の国内引き上げに繋がり、米国はイラクだけでなくアフガン、欧州、韓国などから撤退することを迫られるだろう。在日米軍も海兵隊や空軍は引き上げ、小沢一郎氏の言うように第七艦隊だけが日本の経済的支援によって残留することになると思われる。これにより米軍の後ろ盾を失ったイスラエルはユダヤ人が一斉に逃げ出し滅亡、韓国も近い内に北朝鮮に併合される形で滅亡すると私は想像している。

この米軍引き上げで最も危険になるのが台湾と尖閣諸島であろう。台湾・尖閣諸島の安全保障は米国の海軍力と空軍力に大きく依存しているが、米国国内の混乱によって米軍の機能が低下し、中国が侵略しようとした場合の抑止力が低下する危険性がある。無論、米国の混乱が対米輸出激減を通じて中国の国内を不安定化させ、中国も内乱・分裂に向かうシナリオも考えられるが、国民の目を外に向けるために台湾侵略を中国政府が選択する危険性もある。米国の混乱と中国の分裂の間の期間が台湾や尖閣にとって最も危険であろう。

米国の混乱期に台湾や尖閣を中国から守るには日本はどうすればよいのだろうか。独自核武装とロシアとの同盟がその答えになるだろう。ロシアはかつて清国から奪った極東を奪還される危険性を感じている。中国にとって第一に奪還すべき領土は台湾であり、極東はその次の候補である。日露の軍事同盟締結に引き続いて、ロシアを日本が説得して台湾との軍事協力を実行させることで中国の野心をくじくことが可能だろう。そして、中国が分裂すれば、日本は台湾や上海を衛星国として東アジアで繁栄を続けることが出来るだろう。
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9 コメント

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歴史 (kenji)
2009-03-07 22:38:19
今は昭和20年と比定したら、如何だろうか。
当時も国民は戦争にははっきり負けるとは思っておらず。奇妙な対応をしていた。
 もうすぐ 東京大空襲の三月十日か。
そういえば、時代は異なるが、ソ連に和平の仲介を求めていたな。
 決断が遅くなって、原爆をくらい、ポツダム宣言にソ連が加わっただったかな。
 世界情勢は大きく変化している。本年度GDPは20パーセント減少か
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歴史は繰り返す? (CatSit1)
2009-03-08 00:15:47
江戸幕府は戦国時代の諸問題を解決(止揚)したのではなく、ただ諸問題を凍結しただけだったという意見を読んだことがあります。それが不可能となったとき、幕府は薩摩(外様大名)によって滅ぼされた。
現在の世界情勢があまりに20世紀初頭に似ているので、アメリカ主導の戦後秩序とは、結局世界の諸問題を凍結しただけだったのかと思う今日このごろです。
世界が流動化し始めたとき、今回日本はどのような 役 割 を 背 負 わ さ れ る のでしょうか。
そして、この混乱が収束するのはやはり2040~2045年くらいになるのでしょうか。
バブル期の繁栄(?)を知っている我々はさしずめ第二の大正デモクラシー世代かな?
現在の学生世代は今後大変ですね。
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Unknown (Unknown)
2009-03-08 03:07:53
シリアナプロジェクトという言葉をご存じでしょうか?私は知りませんでした。シリアナとは米国のシンクタンクで使用されているという専門用語で、イラン、イラク、シリアの3国を統一して国家をつくる中東再建のコンセプトのことらしいです。「シリアナ」というアメリカ映画が日本でも3年前に公開されているそうなので洋画ファンにはピンとくるかもしれません。

さて、ネット出版「連山」のコラムではスペイン、オランダ、英国、アメリカと覇権転がしをしてきた国際的な金融集団が次の覇権国家を中国に決めており、すでにアメリカの超富裕層が資金や技術の移転を着々と進めているとの情報が掲載されています。次の覇権国が中国になることはほぼ確定なのでしょう。しかし次のような疑問がわいてくる読者の方がいるかもしれません。

「中国が覇権国なんて眉唾物では?アメリカが超大国になれたのも国内に巨大な油田を有していた資源国だったからだが中国にはない。石油を大量に輸入して大量に消費している中国は石油備蓄量も21.6日分しかないし、米国の80日分、日本の160日分と比較してもかなり少ない。それに中国沿岸はどこも水深が浅く大型タンカーが入れない。まず30万トンクラスのタンカーで岡山県の港に入り、それから1万トンクラスの小型船に資源を移して中国に入っているので、石油も鉄鉱石も日本を経由してからでないと輸入できないという話もある。日本が中国向けの資源を積んだタンカーの出入港を拒否すれば中国はあっという間に崩壊する。」

そこで出てくるのが上記のシリアナプロジェクトではないかと想像します。イラン、イラク、シリアを統一し反イスラエル反米国家シリアナを作ります。反米であればあるほど新中になります。そして新覇権国となった中国と同盟を結ばせ覇権を維持していくための莫大な資源をシリアナから輸入する。中東の石油をミャンマーで陸揚げして、パイプラインで中国に送るという壮大なオイルライン計画が話題になったこともありますが、これなら日本を経由しなくてすみます。中国の資源確保への執念はすごいものがありますから、なんでもするでしょう。

なんにせよ、アメリカ覇権が終了した後で中国を覇権国とするためのプランがいろいろと練られているようで、対米追従しか生きる道がないと思いこんでいる日本の将来は真っ暗な気がします。
http://blog.goo.ne.jp/sabbath7676/e/4cb8e3ea79d1acbf694a89e651c31733
返信する
Unknown (Unknown)
2009-03-08 13:52:51
このブログ大変おもしろいですね。R-1あたりに出場し読み上げればグランプリとれるかもしれません
返信する
Unknown (Unknown)
2009-03-09 00:20:50
国際金融の覇権に対抗する。
http://shigabiwako.blog41.fc2.com/blog-entry-78.html
貴方は勝つことができる?
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Unknown (七面鳥)
2009-03-10 10:24:35
>山本五十六や米内光政はヒトラーのように国際金融資本によって育てられたスパイなのだ。

山本元帥も米内閣下も反戦派であったと記憶してますが?
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Unknown (九官鳥)
2009-03-11 22:25:56
<山本元帥も米内閣下も反戦派であったと記憶してますが?

もう少し、歴史のお勉強をお勧めします。
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Unknown (Unknown)
2009-03-18 13:48:18
>もう少し、歴史のお勉強をお勧めします。

横から失礼いたします。
そこらへんのお話を詳しいサイトなどありましたら、
教えて下さい。
返信する
日本2020プラン (愛国者)
2009-07-04 22:00:19
とりあえず日本も空軍力を高める為に、F22を300機程購入したらいいかな?

ロシアとは軍事同盟は無理でしょ?
アメリカ経済はボロボロだが軍事産業は特別!
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