マスミンのピアノの小部屋

ピアニスト兼ピアノ指導者松尾益民が、ピアノや教育、世の中の出来事など日々感じることを、徒然なるままに綴ります。

ドビュッシーの前奏曲集

2011-05-20 19:08:02 | ラ・プロムナード・ミュジカル
明日はプロムナード・コンサート。
まだまだと思っていたのに、もう…。
いつものことですが。

今回、私が弾く曲の中で、新たにレパートリーに加わることになったのは、ドビュッシーの前奏曲集です。
これが、一番弾きたかった曲なのですが、たぶん、聴いていただけるといい曲だとわかると思うものの、「亜麻色の髪の乙女」以外は、知らない人がほとんど…。
なので、ショパンやリストを加えたのです。

前置きはさておき、前奏曲集は1集、2集、合計で24曲ありますが、ショパンの前奏曲集のように、24調すべての調性で書かれているわけではありません。
ドビュッシーが、「印象主義」と呼ばれる作風をピアノで確立したのは「版画」でしたが、それをさらに発展させて、完成の域まで達したのが、この前奏曲集と言えるでしょう。
即興的性格を持ち、モティーフを展開しない、前奏曲と言う形式は、ドビュッシーには好都合だったようです。
印象派の絵画を思い起こさせるような作品だと思います。
第1集は、1909年12月から10年2月にかけて作曲されています。

今回演奏するのは、以下の4曲です。
第3曲 野を渡る風
ヴェルレーヌの詩「そは、やるせなき」の中の引用句「風は野で、息を止める」から題名を取ったと言われています。
風は、できる限り軽やかに素早く、短く刈られた草の上を通り抜けていく。
途中で、灌木の茂みや生け垣に出会い、流れを乱す。
そんな情景かと…。

第5曲 アナカプリの丘
アナカプリは、イタリア、ナポリから30キロくらいの地中海にある、カプリ島の丘。
まばゆいばかりの陽の光の中、タランテラ風の踊りと、カンツォーネの歌が交錯し、碧い空と海に輝かしく溶け入っていく…かのような音楽です。
カプリ島は、青の洞窟で有名ですが、アナカプリの丘から見る海はとてもきれい…ナポリは行きましたが、残念ながら、カプリ島には行っていません。
WEBサイトで、とてもいい写真を見つけました。

http://bokufukei.seesaa.net/article/128416032.html より
こんな景色が思い浮かべられるような演奏をしたいものです。

第8曲 亜麻色の髪の乙女
ルコント・ド・リールと言う、フランス高踏派の詩人の、スコットランドの詩によるものです。
クローバーの咲く野原で、亜麻色の髪の乙女が、遠い恋人をと夢見る…ということらしいです。

第7曲 西風の見た物
アンデルセン童話「パラダイスの庭」による題名です。
西風が見た物を語る、という設定ですが、フランス人にとって、西風は激しい風の代名詞とも言えるもので、嵐を描いた風景画を思いこさせます。
第1集の中で、最も音響的に充実した曲で、技術的にも難しいです。
荒々しさが、うまく表現できれば…と思っています。