ドヴォルザークのユモレスクは、タイトルはわからなくても、たぶん多くの方がどこかで聴いたことがある曲だと思います。
ドヴォルザークは、小さいころからヴァイオリンには親しみを感じていたものの、ピアノにはあまり親近感を抱かなかったらしく、そこそこピアノ曲はあるけれど、聴く機会や演奏される機会が多いのはたぶんこのユモレスクだけかもしれません。
ユモレスクというタイトルがつけられているのは、1曲だけではなく、そもそもこのユモレスクも、8曲から成る作品101の第7曲なのです。
作曲されたのは1894年8月で、アメリカに渡って3年目にバカンスで帰国した際に書かれました。
この曲も、ピアノ曲はもちろんのこと、スラブ舞曲同様、歌曲やヴァイオリン、器楽など様々な形で編曲され、親しまれています。
ユモレスクという言葉の意味は、気まぐれなとか陽気ないうことですが、ドヴォルザークのユモレスクに特にそういうニュアンスはなく、気軽な軽い小品というくらいの意味だと思われます。
良く耳にする最初のテーマのタッタラッタというリズムで始まる部分は、フラット6個の変ト長調で書かれていて、軽やかなリズムなのに穏やかで優しい曲想になっています。
中間部は、同じ主音の短調である嬰ヘ短調に転調します。
アメリカ滞在で黒人音楽にも親しみ、チェコ的な音楽語法と重なり合って独特の音楽を作り出していて、ドヴォルザークの素朴で温かい人柄がにじみ出ているとも言われています。