パラグライダーの事故で北朝鮮に不時着した韓国の財閥令嬢を、北朝鮮のエリート軍人が匿っているうちに恋に落ちる、というのがこのドラマの大まかなストーリー。韓国ではこの“非現実的な設定”が話題を呼び、放送前から賛否両論が展開されたものだ。38度線で分断された朝鮮半島において、韓国と北朝鮮の在住者は原則として会うことができない。だからこそ「ロミオとジュリエット」のような“禁断の恋物語”としてドラマチックに展開しやすいのも事実だ。実際に、韓国の数多い映像作品が38度線を超えた恋を描いている。2000年に日本公開された映画『シュリ』、ドラマ『キング ~Two Hearts』『IRIS -アイリス-』などが代表的だろう。ところが、『愛の不時着』はそれらの作品と一線を画す特徴がある。それは、実際に起きた事件をモチーフにしていることだ。2008年9月、韓国のある女優が仁川(インチョン)の海でプレジャーボートを楽しんでいたところ、気象悪化によってNLL(北方限界線)を越えてしまう事件があった。彼女は2時間ほど海を漂流しながら北朝鮮の住民らと会話を交わしたり、武装した北朝鮮の警備艦に追撃されたりしたという。韓国海軍によって無事に救助されたが、越北(韓国人が自ら北朝鮮に渡ること)が疑われて警察および関係各所による合同調査組の調査を受けた事件だった。その女優はチョン・ヤンさん。2000年のコメディドラマ『俺たち三人組』でデビューし、映画『春香秘伝 The Servant』に出演した。2002年から健康上の理由で芸能活動を休止したが、2009にドラマ『チョン・ヤギョン 李氏朝鮮王朝の事件簿』で活動を再開。2012年に結婚し、現在は3児の母となった。『愛の不時着』の脚本を手掛けたパク・ジウン脚本家は当時、このニュースに触れて「ドラマ化すれば面白そう」と思ったという。それから海難事故で越北・越南した実在の事件を調べながら「北朝鮮に行った財閥」という仮題でシノプシスを作成し、何度も打ち合わせを重ねたという。(スポーツソウル)
韓国ドラマ「愛の不時着」あらすじと感想、最終回。大ヒットラブコメディー