アジア最大規模を誇る映画の祭典とされる第24回釜山(プサン)国際映画祭が、
10月3日から幕を開けた。
世界85の国と地域の303作品が上映される今年は、韓国映画誕生100周年の
記念すべき節目でもあり、例年以上の盛り上がりが予想されている。
今年も昨年同様、豪華な銀幕スターたちが釜山に集結している。
開幕式では第72回カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞した
『パラサイト 半地下の家族』の女優チョ・ヨジョン、
俳優パク・ミョンフン、映画『EXIT』(原題)でW主演を務めた
俳優チョ・ジョンソクと少女時代ユナなどがレッドカーペットを彩ったし、
『オールド・ボーイ』のパク・チャヌク監督、『君の名前で僕を呼んで』で
人気のハリウッド俳優ティモシー・シャラメも、映画ファンたちと
交流する予定だ。
日本からは、最新作『真実』がアジア初上映となる是枝裕和監督と、
アジア映画の窓部門にて初の監督作『ある船頭の話』を披露する
オダギリジョーが釜山を訪れるという。
実は今年7月から韓国国内で始まった日本製品不買運動もあって、
釜山国際映画祭における「日本映画の上映可否」にも韓国では
関心が集まっていた。
というのも、7月に公開された『名探偵コナン:紺青の拳』が
興行面で不調に終わり、『ドラえもん のび太の月面探査記』は
上映延期になるなど、日本映画にも不買運動の影響が出ていたのだ。
ただ、釜山国際映画祭のチョン・ヤンジュン執行委員長は8月に
行われた記者会見で「日本の輸出規制が始まる前(6月)にすでに
日本映画70作品を検討し、招待作の99%を決めた」と語り、
釜山国際映画祭に悪化する日韓関係の影響はないことを明らかに
していた。
その言葉通り、今年は合作を含め15本の日本作品が映画祭の
上映ラインナップに並んでいる。
まず、森山未來が出演する日本・カザフスタンの合作
『オルジャスの白い馬』が、オープニング作品として
ワールドプレミア上映された。
そして前出の『真実』(是枝裕和監督)、『ある船頭の話』
(オダギリジョー監督)のほか、『旅のおわり世界のはじまり』
(黒沢清監督)、窪田正孝が主演を務めた『初恋』(三池崇史監督)、
吉田修一原作・綾野剛主演の『楽園』(瀬々敬久監督)なども
上映される予定だ。
ちなみに閉幕作に選ばれた韓国映画『ユンヒへ』は小樽が舞台と
なっていて、日本女優・中村優子、木野花が出演するという。
韓国第2の都市・釜山で12日間にわたって開催される釜山国際映画祭。
アジアの映画界がさらなる発展を遂げるためにも、大いに
盛り上がってくれることを願うばかりだ。
(慎武宏 ライター/スポーツソウル日本支社長)