韓国で慰安婦問題をめぐり内紛が勃発している。
5月7日、元慰安婦の李容洙さん(91)が会見を開き、30年あまり活動をともにしてきた慰安婦支援団体、旧「挺対協」(現在は「正義記憶連帯」=正義連)との完全決別を宣言。李さんといえば、2017年の晩餐会でトランプ米大統領と面会するなど、慰安婦のシンボルといっていい存在だ。さらに会見で李さんは、元代表の尹美香氏(55)に資金流用や会計不正の疑いがあるとして、「慰安婦を利用するだけ利用した」などと激しく非難した。
「きっかけは今年4月、尹氏が国政選挙で当選し、革新系与党の議員となったことです。今回の会見でも、李さんは『(活動家は)議員になってはならない』『抗議運動の方法が間違っている』などと発言しています。李さんの怒りは相当なもので『団体は解散するべき』とまで口にしていました」(韓国一般紙記者)
尹氏は慰安婦問題の第一人者だ。旧「挺対協」のトップに就任後、毎週水曜日に日本大使館前で行われる抗議活動を展開するなど、慰安婦問題をリード。また国連に慰安婦問題を訴えたり、2015年の日本政府が拠出した和解金を慰安婦に受け取らないよう説得するなど、海外でも活発に活動してきた。次々と報じられる尹氏の私物化疑惑。「李さんの会見後、保守系メディアは尹氏の疑惑を次々と報じています。その大半が団体の金銭の不正支出および流用疑惑です。たとえば7年前に寄附金で購入したゲストハウスは慰安婦のケアに使わず、パーティなどに使われたといいます。またこのゲストハウスの管理費名目で尹氏の父親に7580万ウォン(約660万円)が支払われている。また娘の年間1億ウォン(約870万円)という莫大な留学費用が団体から支出されたのではないかと報じられた。さらには同団体が受け取った支援金・募金49億ウォンのうち18%しか元慰安婦に支払われていないことも問題視されています」(同前)
尹氏は留学疑惑については「奨学金で行った」と反論。さらに所属政党と結託し、「親日勢力の謀略」というフレーズで疑惑に反撃している。
現地ジャーナリストが解説する。「保守派を日本統治の協力者の子孫と決めつけ、国内の対立構図を作る手法です。保守サイドは『また親日フレームか』と反発していますが、韓国世論は意外に冷静で、尹氏の疑惑は過去の問題と切り離してしっかり解明すべきという意見が大半を占めています」「日本なき反日」はもはや冷やかな目で見られている。
吉崎 エイジーニョ/週刊文春 2020年5月28日号
5月7日、元慰安婦の李容洙さん(91)が会見を開き、30年あまり活動をともにしてきた慰安婦支援団体、旧「挺対協」(現在は「正義記憶連帯」=正義連)との完全決別を宣言。李さんといえば、2017年の晩餐会でトランプ米大統領と面会するなど、慰安婦のシンボルといっていい存在だ。さらに会見で李さんは、元代表の尹美香氏(55)に資金流用や会計不正の疑いがあるとして、「慰安婦を利用するだけ利用した」などと激しく非難した。
「きっかけは今年4月、尹氏が国政選挙で当選し、革新系与党の議員となったことです。今回の会見でも、李さんは『(活動家は)議員になってはならない』『抗議運動の方法が間違っている』などと発言しています。李さんの怒りは相当なもので『団体は解散するべき』とまで口にしていました」(韓国一般紙記者)
尹氏は慰安婦問題の第一人者だ。旧「挺対協」のトップに就任後、毎週水曜日に日本大使館前で行われる抗議活動を展開するなど、慰安婦問題をリード。また国連に慰安婦問題を訴えたり、2015年の日本政府が拠出した和解金を慰安婦に受け取らないよう説得するなど、海外でも活発に活動してきた。次々と報じられる尹氏の私物化疑惑。「李さんの会見後、保守系メディアは尹氏の疑惑を次々と報じています。その大半が団体の金銭の不正支出および流用疑惑です。たとえば7年前に寄附金で購入したゲストハウスは慰安婦のケアに使わず、パーティなどに使われたといいます。またこのゲストハウスの管理費名目で尹氏の父親に7580万ウォン(約660万円)が支払われている。また娘の年間1億ウォン(約870万円)という莫大な留学費用が団体から支出されたのではないかと報じられた。さらには同団体が受け取った支援金・募金49億ウォンのうち18%しか元慰安婦に支払われていないことも問題視されています」(同前)
尹氏は留学疑惑については「奨学金で行った」と反論。さらに所属政党と結託し、「親日勢力の謀略」というフレーズで疑惑に反撃している。
現地ジャーナリストが解説する。「保守派を日本統治の協力者の子孫と決めつけ、国内の対立構図を作る手法です。保守サイドは『また親日フレームか』と反発していますが、韓国世論は意外に冷静で、尹氏の疑惑は過去の問題と切り離してしっかり解明すべきという意見が大半を占めています」「日本なき反日」はもはや冷やかな目で見られている。
吉崎 エイジーニョ/週刊文春 2020年5月28日号