このブログの読者のうち、わたしが思いつくだけでも最低三人が
冒頭写真を見て即座にタイトルに合点がいったことと思われます。
その説明は巻末のお楽しみに取っておいていただいて、取りあえず
前回の続きから参りたいと思います。
よこすかわいわいのりものフェスタにおいて、「のりもの」の一環として
ここ海上自衛隊横須賀地方隊では護衛艦見学が行われました。
ところで、護衛艦は乗り物なのか・・・・・?
前回の続きから。
魚雷発射管とそれに付けられた説明。
ん?射程が伏せ字になっている。
でも、その横にヤードで書かれているので全く伏せ字の意味なし(笑)
これは「ふゆづき」の出港式のときにも説明しましたが、
スライディングパッドアイ。
補給時などに補給艦からのハイラインを連結するものです。
ハイラインとは、元来は索につけられた名称で、転じてその作業をも指します。
定義としては、洋上で艦同士が航行中に人員、物資の移送を行う作業を指し、
一般に補給艦と受給艦との間で行われるものを言いますが、
戦闘艦艇間で行われる作業もハイラインと称します。
昔は索は人員が引いていたのですが、現在では機力でこれを行っています。
どちらものフネが航行しながら行うハイラインには高度な操艦技術を要します。
ここには、洋上給油とハイラインのの安全守則が書かれています。
洋上給油安全守則
1 火気厳禁
2 救命胴衣及び安全帽を着用せよ
3 足のスリップに注意せよ
4 燃料タンクの液面に注意せよ
5 関係諸弁は確実に開閉せよ
6 無用の者は搭載口に近寄るな
7 緊急離脱に、備えよ
8 通信連絡は、確実に行え
9 艦の動揺及び波の打ち込みに備えよ
ハイライン安全守則
1 緊急離脱に備えよ
2 救命胴衣及び安全帽を着用せよ
3 属具の取り付け、索の結び等を再度確かめよ
個人的に突っ込みどころは「足のスリップ」ですかね。
確かに作業中に最も懸念されるのは「足のスリップ」に違いありません。
が、ここは「手のスリップ」の立場はどーなる?と突っ込んでみたい。
つまりこの段は「手足のスリップ」とするべきなのだけど、
「手足のスリップ」にするといきなり意味がわからなくなってしまいます。
それから、海自というか海軍的には波は「打ち込むもの」なのか・・。
「T」は艦首の「TOP」、「D」は「DECK」かな?
「+」は医務室だと思います。
後甲板のアスロック。
アスロックランチャ本体と架構、それぞれの型番プレート。
オーバーホールを行うたびにプレートを付け替えるようです。
ただしこのプレートは、後甲板ではなく甲板を出るところにありました。
これを撮っていると、「あんなマニアックなところを撮って」
という声がどこからともなく聞こえましたが、たぶん気のせいだと思います。
そういえばアスロックの安全守則も今回初めて見たかもしれない。
今まで見学したフネは、こういったものが見学通路にはなかったと思います。
ミサイルの安全守則はシースパローミサイルのそれとほとんど同じです。
ランチャー作動に関する安全守則もここに書いておきましょう。
何かの役に立つかもしれませんから。
アスロックランチャー安全守則
1 作業指揮は明確に行え
2 次の事項は艦長の許可を受けよ
(1)安全・発射ハンドルの解錠
(2)ミサイルコネクター(伏せ字)MK29(伏せ字)ケーブルの接続
(3)ミサイル機能試験
3 装填中は
(1)火気厳禁
(2)「装填中」の標識札を表示せよ
4 旋回及びふ仰は警報ベルを鳴らし、付近に人及び障害物が
ないことを確かめてから行え
5 装填、抜弾及び整備作業のための旋回及びふ仰は
エアドライブモーターで行え
6 ミサイル発射時は付近に人がいないことを確かめよ
7 警報装置が作動したならば、冷却及び加熱用ポンプ起動せよ
ふ仰ってなにかしら。
「 俯仰天地に愧じず」( 自分の心や行動に少しもやましい点がない)
って言うのと同じ俯仰?
俯仰だけだと意味は下を向くことと上を仰ぐこと、なんですが、
転じて「立ち居振る舞い」という意味になっています。
海自的には砲身やランチャが上下を向いたりすることを「俯仰」
と言っているってことなんでしょうか。
こんなレアな言葉を使用するのは孟子と海自だけかもしれない。
それからミサイルコネクターの伏せ字が気になります。
後甲板に出てすぐ上部構造物を撮ってみました。
なんだかとんでもないところ(左方)に足をかけるところ、
さらに荷物棚のような出っ張りがあるんですが、ここ、もしかして
歩いたりすることもあるんですか?
「ゆうぎり」のCIWSは2基、両舷側に一つずつあります。
こんなところにCIWSを備えているタイプも初めて見ました。
射界を確保するために常に高いところにある、というCIWSですが、
「ひゅうが」では甲板より少し高いだけに見えたので
「弾薬の装填、楽勝っぽい?」
と思っていたのですが、これは大きな間違いであることが
雷蔵さんのコメントで判明しました。
「作業用のステージ(足場)を付けるのですが、『はつゆき』型でも
艦橋の上で高さ10mくらいだし、一番怖いのは『ひゅうが』型の
後部で張出に付いているので、下には海しかありません」
だそうです。
「ひゅうが」のあの下は海だったのね。
さらに、
「金具で帯状につなげた弾薬を電動ねじ回しみたいな工具で
グーッと入れるのですが、作業員はみんな手元だけに集中してますね。
下を見たら、怖いからだと思います。
下世話な話ですが、男性だとそういう時、股間がこそばゆくなるのですが、
女性はどう感じるのでしょうか」
だそうです。
最後については、よく「お尻がぞわぞわする」という表現を使いますが、
そもそも女性がこの任務に就くことはないのではないでしょうか。
ひゅうがには女性の水雷士が確かいたけど、CIWS関係ないんですかね。
それにしてもこの写真、見ただけで「おしりがぞわぞわ」します。
この写真を身を乗り出すようにして撮っていたら、乗員が
「外に出たらもっとちゃんと撮れますよ」
・・確かにそうだけど、この角度から無理矢理撮るのがいいんじゃない?
速力標ごしにこんな風に見えているのが。
この舷側に立っていた海士くんはとても人当たりのいい、
見るからに楽しそうな明るい青年でしたが、彼はさらに
「この旗旒信号は何を表すと思いますか?」
『WELCOME』なんですよ」
と教えてくれました。
「あ、そうなのか。それで7旒揚がっているんですね」
こういうのを聞くと、凄く得したような気がします。
「他にもあるんですけどそれはナ・イ・シ・ョです」
だそうです。
気になるなあ。
何が他にもあって内緒なんだよ~。
実は「ゆうぎり」から降りてきたとき、じいちゃんが自衛官をつかまえて
「菊の御紋はついてないの」
と聞いていたのに遭遇しました。
ついてないよじいちゃん!
これは吹雪型駆逐艦「夕霧」じゃないんだから!
とツッコんであげればいいのに、聞かれた自衛官はただひとこと
「ついてません」
と答えたのみ。
あまりに突拍子もない質問でなんて答えていいかわからなかったのかな。
あるいは、このじいちゃんがツッコミを期待してボケたとは思わず、
単にボケ・・・・いやなんでもない。
彼らのやり取りを微笑ましく見ていたわたしの耳に、
「ウェルカムを撮っておこう」
という声が聞こえました。
旗旒信号とCIWSの説明を聞いていたとき横にいた男性で、
振り向くと、わたしに向かって言っていたので
それからしばらく岸壁を歩きながらこの方と会話しました。
「よく来られるんですか、こういうの」
「見学できるときにはできるだけ来ています。
先月は佐世保で『あさゆき』を見てきました」
「それは凄いですね」
「最近は関心を持つ人が増えたみたいですね」
「今日も女の人が結構多いですが、本当に増えましたね。
古くから来ているおじさんとしては嬉しい限りです」
実はもしかしたらこの男性はイベントを教えて下さったM24さんかな、
とちょっと思っていたのですが、違ったみたいです(ですよね?)
「てるづき」と「ゆうぎり」の合間からボートが見えました。
凄い角度で傾いていますが、全員が手を振っています。
わお!かっこいいい~!
どうも、サービスで高速滑走のパフォーマンスをして見せてくれていたらしく、
ヘッドセットを付けていない隊員は帽子が飛ばないように頭を抑えています。
カーブを切るときにはほとんど船体が斜めになるくらいのスピードで
見るからにノリノリなのが見て取れました。
操縦している隊員はイケイケです。
見知らぬおじさんと並んで彼らに手を振りました。
こんな小さなボートなのに立派な自衛艦旗を揚げている・・。
旭日旗でも陸軍用は中心に日の丸がありますが、海軍の旭日旗は
なびいたときに美しく見えるように、わずか旗竿寄りにデザインされています。
周りの人たちはシャッターチャンス!とばかり写真撮りまくり。
この人は動画を撮っているようでした。
さて、楽しくおしゃべりしていたおじさんとも別れ、
「てるづき」の見学へと向かいます。
・・・・と思ったら、途中に「ちびしま」発見!
皆前に立って写真を撮っています。
この人は自衛官と並んで記念写真。
前回撮らなかった角度から撮ってみました。
ちゃんと主砲のハンドルとキャプスタンもあったんですね。
よく見るとキャプスタンにはちゃんと鎖もかかっていたりして、
本当に細部まで凝っています。
そして、これも前回ご紹介しなかったのですが
結構な精度のチャフフレアランチャーが・・・。
この角度からも。
女の子がかぶっているのは「かいじょうじえいたい」と書かれた帽子。
子供には全員に配られていました。
「ちびしまの本気」で、「ちびしま」のお立ち台は廃止された、
と書いたのですが、一応そのまま残されていることが判明しました。
当初この、黄色と黒の部分に立って写真を撮るという仕様だったのです。
しかしこれも述べたように、すぐに修復を要す事態になったので(笑)
もうこのお立ち台は使わないことにしたということのようです。
登るときに皆が蹴飛ばして破損したらしい部分には、
なんと保全科の渾身の補強が(しかも鉄板で)施されており、
かつての時代をしのばせるよすがとなっています。
ここにもいますね。女性一人。
それどころか、わたしがヘリのコクピット搭乗に並んでいたとき、
前も後ろも若い女性の2人組だったんですが・・・。
特に後ろは「こんごう型」はどうのこうので、などと
まさに艦オタな会話をしていたのですが、もしかしたら
年齢から見て海上自衛官を志望している女子だったかも知れません。
後ろは見ていませんが、前に並んでいた2人はどちらもおしゃれで
センスよく、しかも可愛らしい。
昨今はこんな女子が艦艇見学にワラワラ出没するのですから、
そりゃーおじさまがたもさぞ嬉しいだろうと思いますよ。
続く。