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国際観艦式 フリートウィークに伴う外国艦艇公開〜HMNZS「アウテアロア」

2022-11-05 | 軍艦

フリートウィークが始まり、参加されたKさんから送っていただいた
艦艇と横須賀などの写真を見るうち、
久しぶりに実際に艦艇を見たい気持ちが無性に湧いてきました。

それをKさんにメールした後のことです。
長年イベントに一緒に行っていた知人が、
疫病発生以来初めて連絡をしてきました。

「昨日私は横須賀に行きましたが、艦艇公開行かれました?」

あまりにも久しぶりすぎて(携帯番号がこの間変わっていたらしい)
誰から来たかもわからず、そのままにしていたら、電話がかかってきました。

明日の外国艦艇公開に行かないかというお誘いです。

病気のせいですっかり億劫になっていたイベント参加ですが、
気候も良さそうだったし、それじゃ行こうかなという気になりました。

早速、カメラの電池を充電しとかなくては、それからおっと、
(何度かやらかしている)メモリーカードの入れ忘れ厳禁、
と久しぶりのイベントモードに脳内が切り替わろうとしたところ、
カメラがいつものところにないのに気がつきました。

あれっと思ってクローゼットをひっくり返し、
それでも見つからないので必死で記憶をたどったら、アメリカから帰ってから
メモリーカードを抜いたままでデスクの横の棚に放置し、
元に戻していなかったことが判明しました。

この調子だとまたカメラの操作も失敗しそうだなと案じたのですが、
結局この予感は当たることになります(伏線)


翌朝、ガチイベント勢の知人の、

「9時の開門に合わせて1時間前から並んでいるから開門までに来てください」

というありがたいお言葉に甘えて、8時半に横須賀基地に向かったところ、
すでにヴェルニー公園の横の歩道には長い列ができていました。


並んでいる人がほとんど若い男性、時々おじさんあり、高齢者なし



横須賀駅ロータリーの横くらいから並んで、
列が動き出したとき、潜水艦が出航準備を始め、
周りが歩きながら盛んにシャッターを切っていました。

わたしはアメリカ帰国以来始めてカメラを使ったので、
前回のモードがそのままになっていています。

知人に直してもらいましたが、ISO感度が高すぎて、ご覧の通り
どれもこれも散々な出来ですのであらかじめご了承ください。



入場のためのチェックは、2段階で行われます。
まず、いつもの手荷物検査のところでは手のアルコール消毒と、
自動検温器による体温のチェック。

そのテントを出て、今度は荷物検査場に向かいます。


これは他の人の顔が写っていたので、加工なしで

ゲートの前で前の人たちが手を挙げさせられては、集団が進んでいきます。

これは中で外国の船に絶対悪いことをしないと誓う宣誓の儀式とかではなく、
列の前から5列目までにいる人たちに手を上げさせ、
上げた人だけが、荷物検査カウンターに進んでいくという仕組みです。

検査は手前で金属探知棒を持った人にチェックされ、
テーブルで鞄の中を見せるというものでした。


この日艦艇公開を行った外国海軍艦艇一覧です。

アメリカ軍はいつものことなので特に公開なし、
それから韓国海軍は(韓国の)国民感情の関係で?
見えるところに係留すらしておりません。


これはKさんの送ってくれた写真ですが、
その辺をうろうろしてはいるようです。
(まあ、目立たないところにこっそり係留してるんですけどね)

こいつらの面倒臭いところは、参加するだけして、艦艇公開はもちろん、
開催国に来ても満艦飾もせず日本国旗も挙げず。
参加が決まってからも旭日旗に敬礼するしない云々で大騒ぎしてましたが、
何というか、本当に困ったちゃん国家ですね。

「あそことは国同士ではともかく、海軍同士は仲がいい」

と何年か前、海自の中の人に聞いたことがありますが、
その肝心の海軍がこの調子では、それも実際どうなんだろうと・・・。

まだ前の観艦式の時は、横須賀に入港する際にも
皆に手を振るくらいの愛嬌を見せていた気がするんですけど・・。

Kさんもおっしゃっていましたが、今回のこういうのを見ていると、
あまりにも色々拗らせすぎたこの国家、プロトコルという点でいうと
中国の方がまだずいぶんマシではないかとさえ思えます。




手荷物検査を終えると、後はどこから見ても自由です。

連れが「奥から見るのがいいのではないか」という意見だったので、
特に何の意見を持たないわたしとしては、これに従うことにしました。

この日は前に貼った配置図とは係留場所が変わっていて、
検査場の近くにはタイ海軍のフリゲート艦
「プミポン・アドゥンヤデート」
(どこかで聞いたなこの名前)がおり、その向こうには、
カナダ海軍の
「ウィニペグ」と「バンクーバー」
が並んでいます。



「ウィニペグ」上部構造物。

今回の撮影、失敗して何でもブルーがかかって見えてしまうのですが(爆)
カナダ海軍の艦の塗装は本当にブルーがかったグレーです。

生息する海の色によって塗装が違うのかもしれません。



「ウィニペグ」というのは空港もあるカナダの都市名です。
甲板にはヘリを搭載してきていました。
   

向こうに並ぶのはインド海軍とオージー海軍(等)の艦です。

着物を着た人の姿が桟橋に写り込んでいるようにみえますが、
これは写り込んでいるのではありません。


知人のご意向により、このコーナーから攻めることにしました。
それにしても斬新なくらい同じ海軍なのに艦影や塗装が違うのね。



どれもオーストラリア海軍の艦なのに?
と思ったら・・・。



よくよく見ると、

「HMNZS」=His Majesty’s New Zealand Ship

オーストラリアとニュージーランドの国旗があまりに似ている上、
同じ岸壁に目刺しになっているので、てっきり全部
オージー艦だと思っていたのですが、違いました。

一番右の、斬新な形の艦は、ニュージーランド海軍のだったのです。

しかし、あなたはどちらか見せられた時、
すぐにオーストラリアかニュージーランドかわかりますか?
わたしならどちらを見せられてもオーストラリアと言ってしまうでしょう。

イギリス国旗の下に大きな星のあるのが豪州、ないのがニュージーです。

ついでに、「His Majesty」で表されるところの、
ニュージーランドの現在の国王は誰かというと、
イギリス国王であられるチャールズ3世陛下ですので念のため。

ところで、艦名の

「アオテアロア」AOTEAROA

という言葉は、我々日本人にはあほとんど馴染みがない言葉ですが、
ニュージーランドにとって、日本の「大和」「倭」「大八洲」のような
国を表す別称・美称なんだそうです。

いまだにそのものの意味はわかっていないらしいのですが、
ニュージーランドの原住民(って言っちゃいけないのか)
マオリ族の言葉で、ニュージーランドそのものを指し、
国歌の別題のようにもなっています。

ニュージーランド国歌
神よニュージーランドを守り給え(アオテアロア)

そして、ニュージーランド海軍の正式名称も、
Royal New Zealand Navyで略称はRNZNとなります。

ニュージーランドについて思わぬところで詳しくなってしまった。
今まで人間より羊が多いのと、検疫が厳しいことしか知らなかったZE。



ゲートにいた乗員さんに、写真撮っていい?と断ると、
快くポーズを取ってくれました。

水兵さんのTシャツのスクエアカラーがなかなかマドロスっぽくて粋ですな。
女性の方は士官かしら。



さて、「ニュージーランド」こと、この「アウテアロア」です。

まず全体像を見てみます。

建造者が現代重工業だってんでちょっと驚いてしまうわけですが、
動力はロールスロイスのハイブリッドシステムを搭載しています。

就役は2020年7月とのことで、ほぼ新鋭艦と言っていいかもしれません。

HMNZS Aotearoa

HMNZS Aotearoaは、現代重工業によって建造された
極地級維持管理船です。

アオテアロアは、戦闘活動、人道支援機能、作戦、
および訓練支援に真価を発揮するために、目的に応じて建造され、
技術的に強化された資産です。

主な任務は、船舶および航空燃料、乾物、水、スペアパーツ、
弾薬の補給を通じて、ニュージーランドと連合の海上・陸上・航空部隊、
および国連の安全活動にグローバルな支援を提供することです。

最大22個の20フィートコンテナ、
大容量の淡水生成プラント(1日10万リットルを生成可能)、
自己防衛システム、航空・船舶燃料貨物タンク、
デュアル全電気式洋上補給装置、
SH-2G(I)シースプライト・ヘリコプターまたはNH90ヘリコプター、
統合通信・ブリッジシステム、統合プラットフォーム管理システム、
一部の上甲板微熱、氷に対し強化された船体と海底金具など、
冬装備など多くの能力を備えています。

世界初となる海軍の「エンビロンシップ」鉛直船首設計を採用しています。



また、ディーゼル電気とディーゼルを組み合わせた推進プラントは、
旧型船に比べて燃料の排出量が少なくなっています。

また、南極観測やマクマード基地、スコット基地への物資補給など
南極での活動に対応するため、ポーラーコードの安全規則を遵守し、
ポーラークラス6相当の耐氷構造になっています。

ホームポート ニュープリマス、タラナキ
シップスポンサー Dame Patsy Reddy GNZM、QSO、DStJ

指揮官 Dave Barr司令官

となっております。

艦種はAuxiliary ship、補助艦、つまり給油艦となります。

容積 26,000 t (26,000 長トン)
全長 173.2 m (568 ft 3 in)
ビーム 24.5 m (80 ft 5 in)

と、ニュージーランド海軍の保有する最大の艦船です。


早速ラッタルを上っていきましたが、驚きました。
今まで外国艦艇がこんな気前よく内部を公開したことがあったでしょうか。

今年は観艦式に一般からの参加を載せないことになったので、
その分サービスをしてほしいと要請されたのかもしれません。

公開といっても外国艦艇はせいぜい甲板くらいだろう、と思っていたわたしは
来て見るまでこれほどオープンとは夢にも思っていませんでした。

あまりにも甲板が広くて、ハンガーの入り口が狭く見えます


こちらiPhoneで撮った写真。



格納庫の片隅にあるこの黒い器具は何をするもの?


バスケットゴールと二階の各種トレーニング用マシン。
どうもこの二階は全てのスペースをジムとして使っているようです。



甲板に出てきました。
搭載機は SH-2G(カマンのシースプライト)、
NH90(仏独蘭伊の共同開発軍用ヘリ)、
A109LUH(アグスタ)
のどれかだそうです。


RNZNのシースプライト




お隣に係留しているオーストラリア海軍の「ストールワート」から
「アオテアロア」搭載の救難艇がよく見えます。

オレンジの完全密閉型ボートは、パルフィンガーマリーン社の、
タンカー用の最新式ライフボート「ネプチューン」です。
21〜150人を搭載でき(最小人数が決まっているのはなぜ)る大型仕様。

タンカー搭載に特化しているのは、万が一、火災など
緊急避難や事故の場合、乗員全員が脱出するためのものです。

「アウテアロア」は大型艦ですが、乗員は98名なので、
このボートに全員が余裕で一度に乗れるというわけです。

完全密閉式によりオイル火災などが起こっても、
乗員全員が乗り込んで、救命艇が海面に降ろされてから
油圧式オンロードフック解放機構により、
救命艇をダビッドからリリースすることもできるそうです。

パルフィンガーという会社は元々クレーンやアーム系の製造会社で
港湾関係の製品を多く開発していることから、ダビッドも作っており、
その流れでこういう製品展開になっていったのかと思われます。


作業艇はまだ新しくてピカーっとしています。
連れの知人によると何とかいう映画で主人公が乗っていたそうです。
(これじゃ何のことかわかりませんね)

そして当たり前のようにFURUNOのレーダー搭載。


作業艇の収納場所を内側から見たところです。


作業艇に乗り込むための階段。
この二つの写真はiPhoneで撮りました。
iPhoneの広角優秀。




隣の「ストールワート」の艦橋から見た「アウテアロア」。
輸送艦であるため、コンテナを爆積みしています。



積載量は積載量 8,000トン ディーゼル、1,500トン 航空燃料、
最大6.7メートル×6.1メートルのコンテナを格納可能、とあります。


ところで、この日朝から横須賀に出撃したわたしですが、
まだ体調が本調子ではなかったらしく、開始して2時間で
この日の埠頭の猛烈な陽射しの下、マスクをしているのが苦しくなって
脱落を余儀なくされたため、見学はごく限られた艦だけで終わりました。

この後のご報告は、外国艦艇全てではないことを
あらかじめお断りさせていただきます。


続く。