豪雨のあと、一瞬の奇跡のような爽やかな日が訪れましたが、
あっという間に最高気温33度の夏日に戻ってしまったピッツバーグです。
なので、公園の散歩はコースにまだ陽の差さない早朝に行くことにしました。
いつもなら無人のごはんタイムに乱入してきた人間に戸惑っている若い牡ジカ。
リスも朝の方が活動的です。
街を歩く人のマスク着用率は二十人にひとりといったところですが、
ホテルのある一角はピッツ大医学部病院の集中地帯なので、
医療関係者が多いということを考えると、ここではほとんどが
マスクを外し、飲食店も平常営業を始めたと言っていいかと思います。
最初に「ヌードルヘッド」という麺専門店で外食をしました。
去年は店を閉めて店頭でテイクアウトだけしていましたが、今回行ってみると
広い店内が埋め尽くされていて流石の人気ぶりでした。
いつもここにくるとこのチキンパッタイを頼み、半分食べて持って帰り、
次の日野菜を足すなどのアレンジをして頂きます。
MKは、車がないと行けない郊外のお気に入りのレストランで
このバッファローウィングスを食べるのを楽しみにしていたようです。
ここのウィングはとても肉が柔らかく、適度なピリ辛が食欲をそそります。
シェイディサイドには、アップルストアがあるというイケてる商店街があります。
ある朝そこの朝食専門フレンチ風カフェに連れて行ってもらいました。
わたしは朝食を食べないのでお茶だけです。
この日、MKが大学の「内部見学ツァー」をしてくれました。
ここにはかつて立派な研究室のビルがあったのですが、
2023年完成予定で新築工事に入っています
大学のシンボルであるタワーとその周辺の、最初にできた建物に手をつけず、
新しい建物をこの旧校舎と渡り廊下や壁などで接続していくのがアメリカ式。
古い建物を大事にするお国柄なので、この建築法はどこでも見られます。
ちなみにMKはタワーの頂上まで昇ろうとしたそうですが、さすがに鍵がかかっていたそうです。
しかも、後から、あのタワー近辺は物凄い電磁波だから近づかないほうがいいと言われたとか。
おいおい、後から知ってどうする。
学内には、最初の校舎の建築時の現場写真と設計図がパネルされて飾られています。
左手に線路が見えていますが、工事現場の写真の左側に今でもあって、貨物線として利用されています。
斜面の上に建っているので、表からみると2階建、
裏から見ると6階建というトリッキーな建築です。
まずは機械工学部から。
大学のシンボルである黒いスコッチテリアは充電でお休み中。
木工所みたいですが、何をするところかわかりません。
建築学科とかかなあ。
MKによると、その前日、教授たちが皆で片付けをした跡だそうです。
片付け=廊下にゴミを出すこと?
まだ片付いていないのかと思いきや、これが通常の状態だということです。
これがMKのワークスペースだそうで。
飲みかけの水とほったらかしておくのはいかがなものか。
壁全体がホワイトボードになっている仕組みです。
書かれた字がMKのと似ているのでこれあなたの?と聞くと、全く違う、との返事でした。
偏見かもしれませんが、アメリカ人も理系の人って字の下手な人が多い気がします。
創立当初の機械工学部(だと思う)。
当時の大学生は皆スーツに革靴といういでたちだったんですね。
この写真は現在の同じ校舎の廊下に飾ってありました。
説明がありませんが、おそらく1940年代ではないでしょうか。
機械のたたずまいから通信関係の研究ではないかと思われます。
アメリカの工学大に学はもちろんですが軍事研究のための予算が出ているので、
MKに言わせると、当大学にも「秘密のラボ」があって、そこでなにやら
武器兵器の研究が行われているとかいないとか。
出入りできるのはごく限られた研究員だけという噂があるそうです。
ここで一旦外に出てみます。
大学は5月から夏休みに入っているので、人影はほとんどありません。
チャレンジャーで事故死した宇宙飛行士の一人、
ジュディス・アーリーン・レズニック(Judith Alrene Resnik)
が本大学の卒業生であることから作られた碑。
このモニュメントの形は、彼女がエンジニアの名誉クラブ、
くしくもMKが先日その末席を汚すことになったところの
τβπ(タウ・ベータ・パイ)であったことを表します。
このマークは、時計のネジを巻くための鍵と橋脚の架台を組み合わせた形を
図案化しており、創設時はそれが工学への誠実と卓越の原則を象徴するものだったのです。
MKにも周りの誰にも、これが何を表していて何のためにあるのか
説明がないので全くわからないという謎の団子モニュメント。
「でもなんか可愛くない?」
「雪の日、マフラーと帽子付けてもらってたよ」
しかし大学キャンパスという地にありながら、よく今日まで無事落書きされずに来たものです。
ギネスブックにも乗っているという噂の、
「最もしょっちゅうペインティングされたフェンス」
ですが、最近の学生はどうもやる気がないらしく、今は
「一度これを塗ってみたかった」
という投げやりな文句が白地に書かれているだけのもの。
それと、π二乗=9ってこれ何なんだよ・・。
π^2=9.86960440109・・・・???
さて、この割と最近の建築っぽい建物は、コンピュータサイエンスセンター。
この日は独立記念日の休日だったため、観光客がうろうろしていましたが、
キャンパスは自由に歩けてもさすがに校舎には鍵がかかっていて入れません。
外からドアを開けようとしている家族をMKは中から開けて入れてやりました。
このビルは某ゲイツ夫妻が寄付したということで、「ゲイツセンター」というそうです。
ゲイツは本学出身ではないのですが、いろんなところに寄付することで
自分の名前を全米の工科大学にまるでマーキングするかのように残しまくっているようです。
ちなみにこのご夫婦、最近離婚されたということですが、学生の間では
ビルのどこをメリンダが取るんだろう、というジョークが一瞬流行ったとか。
それよりわたしはなぜ今更離婚などしなくてはならなかったか、その本当の理由が知りたい。
ほとんどのアメリカ人がマスクを外し始めたアメリカですが、
まだ一応最警戒時のポスターと使い捨てマスクはそのままです。
マスコットのスコッティくんが、マスクをして食べ物はテイクアウト!と宣言しています。
(アメリカのテイクアウトはこのような紙パックがよく使われる)
本学の歴史はイコールコンピュータの歴史でもあると言いたいわけですな。
ざっと要約してみると、コンピュータの専門センターが創設されたのは1956年、
最初に導入したのはIBM650、2番目がBendixG-20、AIを作ったのもうちです的な?
この前段階では、コンピュータでチェスをやったとか、人工知能とか、
まあざっとそんな感じのことが書かれています。
ゲイツビルの裏はまるでホテルのようなアクリル柵に囲まれた
ベンチのコーナーがあります。
一階の大きな窓の内側にはなにやら水槽のようなものが・・。
これは当ブログ的に大変興味深い、海軍艦船関係の研究を行うプールと見た。
しかし、たかだか大学なのにこんな設備まであるなんてすごすぎない?
もう一度機械工学科のビルに戻ってきました。
これはナノテクの研究室で、二重ドアになっており、
入室の際には必ず(コロナと関係なく)マスクとヘアキャップが必須です。
大規模な木材の加工を行うことができそうな部屋。
天井からぶら下がっている黄色いチューブはダストスイーパーかな。
さて、ジュライフォース、独立記念日の7月4日のテレビニュースです。
ブルーエンジェルス結成75周年記念、ということは、
第二次世界大戦が終わってすぐ結成されたってことですね。
独立記念日には、恒例イベントとしてアメリカは各地で花火が打ち上げられます。
しかし、アメリカでは花火は買える場所もやっていい場所も限られていて、
どうしても花火を買いたい人はわざわざ越境し、使用する期間も限定的です。
その理由は、銃声と似ている花火の炸裂音とか、大量の火薬を使うことにあるようです。
わたしが昔住んだマサチューセッツ州は全面的に花火の売買と使用が禁じられ、
唯一許されているのが独立記念日のスポンサー付きの花火大会だけでした。
花火を買いたいマサチューセッツの住人は、ニューヨーク州との州境、
インターステート近くに集中している花火屋まで行かなければいけません。
つまり独立記念日は、アメリカ人にとって年に2度だけ解禁された
(もう1日はニューイヤーズ・イブ)花火を楽しめる日でもあります。
この日、老若男女は花火の見学スポットに陽が高いうちから詰め掛け、
ご覧のように芝生にチェアを並べてビールなど飲みながら9時過ぎまで待ちます。
去年中止されたイベントなので、今年の復活は皆が喜んだでしょう。
ここはわたしが去年の夏と今年の冬泊まっており、毎日歩いた河原なのですが、
車で様子を見るのがやっとでした。
MKは友達と連れ立ってバスで河原に来て花火を最後まで見たそうです。
9時になりテレビの中継を見ながらホテルの窓外を見ると、
ざっと見て少なくとも二十箇所から花火が上がっているのが見えました。
どこの地域でも陸海軍の軍楽隊が中心になってパフォーマンスを行いますが、
特に凄かったのがこのリモートによる海軍選抜メンバーのアカペラコーラス。
とんでもなく高クオリティの演奏でした。
FOXニュースでは、ウェストポイントの花火を中継していました。
お行儀よく制服を着て並んで座り見物している士官候補生たちも映っています。
インディペンデンスデイの次の日は月曜ですが、恒例として
この日もアメリカではお休みとなるようです。
9時からの花火の後散々ビールを飲んだりして、次の朝から仕事、
というのはあまりに過酷だということなのでしょう。
翌日公園を歩くと、至る所に花火の燃えかすが落ちていました。
こんなパッケージも。
TNT(トリニトル・トルエン?)のWAR TIMEなる花火。
しかもパッケージには群をなして飛ぶ爆撃機・・・。
TNT Fireworks
どんな物凄い花火かと思ったら。
航空自衛隊が早期警戒機E-2Cを導入した際、既存の警戒管制システム(BADGEシステム)と連接するために通信バッファという情報システムを作りましたが、そのソフトウェアはMIT(契約相手方はMITRE社(MIT Research & Engineering))が作っています。
>π二乗=9ってこれ何なんだよ・・。
ゆとり教育で、円周率は「概ね3」と教えていた時期があります。
日本では、独立記念日以来、雨と土砂災害で大変なことになっています。
海軍艦船の研究だけでなく水抵抗、水中運動や水力学等の研究に必要なので、大学や造船所、企業の研究所等結構な組織が水槽を持っています。
写っているのが円形水槽ですが建物内で艦船の模型で抵抗や船型確認や造波の研究には回流水槽が多いとは思います。
エリス中尉が構内に入られて外観撮影された目黒の防衛装備庁艦艇装備研究所の大水槽の他に円形水槽や回流水槽がありましたが公開されているパンフレットには大水槽247m×12.5m×深さ7mが記載されていますが奥にあった円形水槽は記載がなく、どうもなくなったようです。
まもなく造船から撤退する三井造船も昭島研究所に大水槽220m×14m×深さ6.5mの他に小水槽、潮流水槽、キャビテーション水槽、回流水槽等がありますがどうなるのでしょうか?
要らぬ知識ですがこれらの大水槽は地球の円弧のとおり作られていますの長さ方向で僅かに円弧となっています。
日本の大学では私立の長崎にある大学以外に造船学科が無くなってしまいましたが海洋工学等の1部門で残置されているようなので水槽は残っているものと思います。
水中運動や水力学でも必要とおもいますので結構な数の大学が所有していると思います。
防衛大学校にも回流水槽がありました。
>創立当初の機械工学部(だと思う)。
幾つもの黒い物体はどうもモーターのように見受けられるので電気工学科ではと思いますが、真ん中長く設置されているものがモーターを数台繋いだものなのか、何のためなのか判然としません。
でも全体の雰囲気からも機械工学科では無いように思われます。
それにしても工学部としては窓が多く、明るく、綺麗な建物の思います。
柱は鉄骨がむき出しの部分もありますが塗装され、内装も部分的に実施されている所もあり、床材の敷物も設置されており、日本では機械や装備品に回したいので窓もこれほど多くなく、コンクリートや鉄骨がむき出しが多いのではと思います。
おそらく僕と息子さんは同年齢だと思います。自分は一年浪人して医学生に今年なったのですが、息子さんはアメリカの大学で勉強なさってるとのことで何だか遠くに行ってしまった感じがします(同年齢だと思っているので勝手にシンパシーを感じてました)。とりとめのない文ですいません、軍モノの記事も日常の記事も大変興味深く拝見させてもらっています、今後も(再び)よろしくおねがいします。
今年はNYPDのヘリコプターが、バタバタと低空で6+1機の編隊飛行をしました。
メーシーズの花火は、イーストリバーで2年分を打ち上げたようです。
両方とも初めて見る孫たちは、眠い目をこすりながら、ビックリしていました。
孫娘は「大きな運動会みたいなのは、やるの?」と聞いてきました。会えないのがつらいです。
それはともかく、このフェンスをペイントしたのは、工学部の学生ではないことを信じたい。
土砂災害はソーラーパネルのせいとかなんとか見たような気がしますが、
カナダの件と言い世界が異常気象気味で不気味ですね。
日本にこれ以上の天変地異が起こりませんように・・。
お節介船屋さん、防大にも水槽があるんですね。
あそこは周りに余裕があるのでその気になればなんでも作れそうですが、
日本の普通大学にも水槽くらいはあるというのを聞いて安心?しました。
近大なんかもすごい水槽を持ってそうですもんね。(あ、あれは水産養殖用か)
アメリカの大学、私学は特に学生一人一人から巻き上げる?学費がすごいですし、
名門校ほど帰依心が強いというのか、成功した卒業生ほど気前よく寄付するし、
設備以外のところにかけられる余裕が日本の大学よりあるような気がします。
国の組織や大企業との研究によって資金提供もありますしね。
Lynxさん、初めまして。
まずは志望通りの大学に進まれたこと、遅ればせながらお喜び申し上げます。
当ブログが始まってからずっと、折に触れて登場しているMKですが、
開始当初ほぼ幼児だった彼と同じ歳の方が読んでくださっているということが、
なんだかとても不思議かつ、感慨深いものがあります。
MKは(受験時の彼の傾向からの想像ですが)もし日本の大学に進学していれば
医大を目指していた可能性は高く、わたしもまたLynxさんに勝手ながらシンパシーを感じずにいられません。
これから一層忙しくなると思いますが、頑張って良いお医者さんになるのよー。
(といきなり近所のおばちゃん化するわたしである)
佐久間さん
お久しぶりです。
ボストンの花火スポンサーは毎年変わるのですが、NYはいつもメイシーズなんでしょうか。
毎年独立記念日にはわりとアメリカにいることが多いのですが、今年初めて
ホテルの高層階から外を眺めて、ほとんどのアメリカ人が花火大会に参加するか
花火をテレビで見て過ごすというのを実感しました。
大きな運動会・・・どうするんでしょうね。
今回成田出発の時、いかにもアメリカのスポーツ選手みたいなひとたちの団体が
各々が大きな荷物をカートで押してチェックインしていましたが、それを見て、
「もしかしたら無観客試合はとっくに決まっていて、選手団は早めに東京に来て
『撮影』をすませて帰るところなのでは」
と思ってしまったのはここだけの話です。
うろうろする人さん、裏米に反応してすみません。
そうだったのか!ブルーエンジェルス。なんか前ほど好きじゃなくなったぜ。