
大方の予想に反して今年のアカデミー賞作品賞と監督賞他を掻っ攫って行った『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』を観てきました。
★★★★★
ここ10年と少しの間で一番面白いと感じた映画でした。
驚く程に延々と続く長回しが生み出す新感覚。
日本でも三谷幸喜がドラマを作っていますが、数ある長回しの映画の中でも、ここまで長回しを演出として生かした映画は観たことが無い。
通常の映画では、役者はカメラを全く意識せずに演じるし、舞台芝居の場合は逆に観客の視線を意識した立ち位置で演じる必要が有る。
この映画の場合は、常にカメラが役者を追いながら、且つ周囲をぐるぐると動くので、役者は常に自分の立ち位置とカメラの位置を意識しながら、それでいて意識している事を出さないようにし続けなければならないから、物凄く綿密にリハーサルにリハーサルを重ねたに違いない。
実際、他の映画と比べて神経を張り巡らせながら自然に演じ続ける全員の芝居の上手さが細部にまで際立っているように感じられ、役者の芝居を観る映画としてのクオリティーが半端なく高くなっている。
個人的にはアカデミー賞主演男優賞はマイケル・キートンこそが相応しいと感じた程。助演男優女優に関しては受賞作を未チェックなので何とも言えないけど、エドワード・ノートンとナオミ・ワッツも素晴らしかった。
おかげでこれまでに観たどの映画とも一線を隔す、感じたことの無いリアリティーがあるのに、さらに現実と妄想が入り混じっているような、そうでもないような余韻に満ちた演出の連続で惑わせてくれる辺りが、この映画がここ10年で一番と感じた理由。
動き回るカメラの動きに乗って、映画の世界の中で起きる事を間近で観ているような感覚になれるところが魅力だけれど、映画好きの視点から観ると、カメラが通れないような狭い隙間や高く広い空間の移動、振り返ると状況や景色まで変わっていたり、どうやって撮ったのかわからない物凄くマニアックな角度の映像や、カメラを固定して時間を薦めたりと長回しならではな演出までが途切れる事なく有って、その度に映画の内容に上乗せして関心させられる。
実際のところはルールを公言して課した映画と言うわけでは無いので、CGを足したりなんてところは当然有るのですが、マイケル・キートンの役柄を含め、あまりにも現実っぽく撮っている映画なので、そんなことはどうでも良いくらいに楽しんだ。
加えて脚本と演出がサイコー。
マイケル・キートンの役柄と言えば、元バットマン役者な彼自身を投影したかのような主人公像が皮肉たっぷりで、自身を演じているようなんですよね。
彼自身は2作目の『バットマンリターンズ』で役を降りているのに対し、映画の中では『バードマン3』まで演じた事になっている。ただし、92年という年代が台詞の中に入っている辺りに含みを持たせている辺りがニヤリとさせられる。
台詞に出てくるジョージ・クルーニーにしても、続編でバットマンを演じて、今やハリウッドきってのナイスガイスターになったジョージ・クルーニーへの本気の嫉妬を思わせるなんて自虐ネタも。
この辺の事を考えると、役作りや設定に関しては、この映画の中でもマイケル・キートンとエドワード・ノートンの間のコミュニケーションでより良い演出や台詞に変えられていく場面が有ったけれど、もしかしたら、監督と役者の間でああ言う作業が有って、アイデアを持ち寄ってよりリアルに変えられて行ったところも有るのかもしれない。
作りとしては、映画と言うよりもかなり舞台芝居に近い感じだったのでしょうか。
それでいて、舞台に携わる映画役者に対するアンチテーゼだとか、批評家と称する職業へのアンチテーゼと言った、この手の映画の中ではタブーになりそうな事も含め、あらゆる角度から皮肉を込めて物語が展開していくのも、映画も芝居も好きな俺としては面白過ぎて仕方が無かった。
★★★★★
ここ10年と少しの間で一番面白いと感じた映画でした。
驚く程に延々と続く長回しが生み出す新感覚。
日本でも三谷幸喜がドラマを作っていますが、数ある長回しの映画の中でも、ここまで長回しを演出として生かした映画は観たことが無い。
通常の映画では、役者はカメラを全く意識せずに演じるし、舞台芝居の場合は逆に観客の視線を意識した立ち位置で演じる必要が有る。
この映画の場合は、常にカメラが役者を追いながら、且つ周囲をぐるぐると動くので、役者は常に自分の立ち位置とカメラの位置を意識しながら、それでいて意識している事を出さないようにし続けなければならないから、物凄く綿密にリハーサルにリハーサルを重ねたに違いない。
実際、他の映画と比べて神経を張り巡らせながら自然に演じ続ける全員の芝居の上手さが細部にまで際立っているように感じられ、役者の芝居を観る映画としてのクオリティーが半端なく高くなっている。
個人的にはアカデミー賞主演男優賞はマイケル・キートンこそが相応しいと感じた程。助演男優女優に関しては受賞作を未チェックなので何とも言えないけど、エドワード・ノートンとナオミ・ワッツも素晴らしかった。
おかげでこれまでに観たどの映画とも一線を隔す、感じたことの無いリアリティーがあるのに、さらに現実と妄想が入り混じっているような、そうでもないような余韻に満ちた演出の連続で惑わせてくれる辺りが、この映画がここ10年で一番と感じた理由。
動き回るカメラの動きに乗って、映画の世界の中で起きる事を間近で観ているような感覚になれるところが魅力だけれど、映画好きの視点から観ると、カメラが通れないような狭い隙間や高く広い空間の移動、振り返ると状況や景色まで変わっていたり、どうやって撮ったのかわからない物凄くマニアックな角度の映像や、カメラを固定して時間を薦めたりと長回しならではな演出までが途切れる事なく有って、その度に映画の内容に上乗せして関心させられる。
実際のところはルールを公言して課した映画と言うわけでは無いので、CGを足したりなんてところは当然有るのですが、マイケル・キートンの役柄を含め、あまりにも現実っぽく撮っている映画なので、そんなことはどうでも良いくらいに楽しんだ。
加えて脚本と演出がサイコー。
マイケル・キートンの役柄と言えば、元バットマン役者な彼自身を投影したかのような主人公像が皮肉たっぷりで、自身を演じているようなんですよね。
彼自身は2作目の『バットマンリターンズ』で役を降りているのに対し、映画の中では『バードマン3』まで演じた事になっている。ただし、92年という年代が台詞の中に入っている辺りに含みを持たせている辺りがニヤリとさせられる。
台詞に出てくるジョージ・クルーニーにしても、続編でバットマンを演じて、今やハリウッドきってのナイスガイスターになったジョージ・クルーニーへの本気の嫉妬を思わせるなんて自虐ネタも。
この辺の事を考えると、役作りや設定に関しては、この映画の中でもマイケル・キートンとエドワード・ノートンの間のコミュニケーションでより良い演出や台詞に変えられていく場面が有ったけれど、もしかしたら、監督と役者の間でああ言う作業が有って、アイデアを持ち寄ってよりリアルに変えられて行ったところも有るのかもしれない。
作りとしては、映画と言うよりもかなり舞台芝居に近い感じだったのでしょうか。
それでいて、舞台に携わる映画役者に対するアンチテーゼだとか、批評家と称する職業へのアンチテーゼと言った、この手の映画の中ではタブーになりそうな事も含め、あらゆる角度から皮肉を込めて物語が展開していくのも、映画も芝居も好きな俺としては面白過ぎて仕方が無かった。
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ブラッド・ピット,ケイト・ブランシェット,ガエル・ガルシア・ベルナル,役所広司,菊地凛子 | |
ギャガ・コミュニケーションズ |
2度みたいとは思わぬし、主演を演じた役者も知らぬものの、映画評を読んで識る裏話から推量る面白さを感じた作品でした。
助演男優女優に関しては、きようにアップした「セッション」の鬼教師を怪演したJ・Kシモンズには、勝手ながら納得しています。^^