しるべの記し

教会音楽家でクリスチャン・エッセイストのしるべです。
イエスさまの十字架を「道しるべ」として歩んでいます。

宗教改革と感染症

2020年05月18日 | 教会音楽家 クリスチャン・エッセイスト
「宗教改革と感染症」
詩編46:2

新型コロナウイルスの災いは、たいへんな社会不安を巻き起こしています。これまでも教会は何 度となくこのような危機に立たされた歴史がありますが、ヨーロッパにおいて宗教改革という、教 会の新しい息吹の中で、「ペスト(黒死病)」という大流行が起こった時、キリスト者たちはいった いどのような信仰的土台の上に立たされたのでしょうか。 14 世紀の中頃から、アジア・ヨーロッパ全土を襲ったペストは、ヨーロッパの全人口の4分の 1から 3 分の1を死に至らしめました。1527 年の夏、マルティン・ルターがいたヴィッテンベ ルクをも襲い避難命令宣言が出されたのですが、ルターはこれを拒否して町の病人や信徒のため、 その地に残ったのでした。宗教改革者たちは感染症にも、大いなる勇気をもって闘ったことがわか ります。 一方でペスト流行が宗教改革の原動力のひとつとなったとも言われています。

「数百年をかけて欧州社会が変わり始め、中世から近世への変化が起きました。当時はキリスト 教のローマ教皇の全盛期でした。教会がすべての権威を持っていました。ところが、そのローマ教 皇が祈ってもペストは治まらない。医学を担当していた神父たちもぜんぜん治せないわけです。 人々が不満を持ち始め、その後の宗教改革へとつながっていきます。このように 100 年、200 年 かけて、中世ヨーロッパ社会がペストの大流行により大きく変わっていったのです。」 (加藤茂孝・元国立感染症研究所室長インタビュー2020/5/1朝日新聞デジタルより抜粋)


宗教改革のさなかにペストが大流行したのではなく、ペストが流行したことが宗教改革の爆発力 につながったというのです。いずれにしても感染症の苦難の中で、人類は神さまから「何かをつか んで立ち上がりなさい」と語りかけられています。新型コロナウイルスのはびこるただ中、今わた したち教会は、神さまから何を守り、何を変えていかなくてはいけないかという選択肢を導かれて います。「苦難のとき、必ずそこにいまして助けてくださる」愛の御声に耳を傾けましょう。

「神はわたしたちの避けどころ、わたしたちの砦(とりで)。 苦難のとき、必ずそこにいまして助けてくださる。」(詩編 46:2)

新生讃美歌 538 番「神はわがやぐら」は、この時期にルターによって作られた曲と言われてい ます。どんなにかこの賛美によって多くの人たちが死をも恐れぬ信仰の力をいただいたことでしょ う。 ♪