2018年のブログです
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またまた本棚の隅に懐かしい本を見つけました。
沢木耕太郎『深夜特急』。
本の帯に、大沢たかおさん主演のテレビ版『深夜特急97』の宣伝文がありますので、読んだのは1997年のようです。
ようです、というのは、例のごとく、ほとんど記憶がないわけなのです。
それでも、1~4巻の部分はところどころ、かすかに記憶があったり、読んでみると思い出すところもあったりしたのですが、この5巻のトルコとギリシャのところは全くといっていいほど記憶がなく、まるで新刊本を読むような感じで読んでしまいました。
1997年、じーじが40代前半の頃、たしかに体調が悪くて、やや人生の危機的状況ではあったのですが、こんなに記憶がなくなるものなのでしょうかね?
そういえば、同じ頃に読んだ吉本ばななさんの『キッチン』もほとんど記憶が飛んでいましたので、この頃は本当に大変だったのかもしれません。
さて、本書、沢木さんらしく、ユーモアとガッツでかなりタフな旅をを進めています。
トルコについては、以前、村上春樹さんの『雨天炎天』を読んでいて、なんとなく怖い国というイメージがありました。
もっとも、村上さんの場合はトルコの兵隊さんとのやりとりが多かったせいかもしれず、一方、沢木さんはトルコの普通の人々との交流が多く、人懐っこいトルコの人々の姿が描かれています。
ものごとというのはやはり一方向から見るだけでは不十分なようで、全体像を把握するためには多方向から見てみることが大切なんだな、と改めて考えさせられます。
トルコもギリシャも、現地の人々と沢木さんの交流は素敵なお話が多く、楽しく読めます。
沢木さんの風景描写や美術の描写も本書の魅力のひとつで、その文章力にはほれぼれします。
あっという間に読み終わってしまいました。
いい読後感で、続きを読みたくなりましたし、さらには、4巻のシルクロード編もじっくりと読み直してみたくなりました。
年末年始は沢木さんの『深夜特急』シリーズを読んで過ごすことになるかもしれません。 (2018. 11 記)