ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングやメールカウンセリングなどをやっています

だんご3兄弟が家庭裁判所で大活躍をした思い出-面会交流の試行の経験から

2024年11月17日 | 「おとな」の親を考える

 2023年5月のブログです

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 時々、暇な時に、昔の家庭裁判所での仕事を思い出したり、考えたり、反省をしたりすることがある。

 例えば、だんご3兄弟が面会交流で大活躍をした(?)20年以上も前の思い出。

 お父さんがワンマンで暴力的ということで、子どもを連れて実家に帰ったお母さんに対して、お父さんが子どもに会わせてほしいと求めた調停。

 話し合いは難航をしたが、一度、家庭裁判所でお試しの面会交流をしてみようということになった。

 お父さんが待っているお部屋に到着した4歳と2歳の女の子たち、お母さんと一緒に部屋の隅で固まったまま。

 お父さんが、子どもたちに呼びかけても、動かない。

 お父さんが、部屋の真ん中にあるおもちゃや絵本で誘うが、見向きもしない。

 小さいなりに、女子連合の意地(?)があるらしい。

 しかし、そのうちに、2歳の女の子がおもちゃの魅力(?)に誘われて、部屋の真ん中に移動し、お父さんに背を向けて遊びだし、お姉ちゃんも一緒に遊ぶ。

 ところが、2歳の女の子がだんご3兄弟のお人形を振り回していると、おだんごが一つ外れてお父さんのほうに転がる。

 お父さんが、拾って、ほら!と女の子に渡すと、女の子は受け取り、お父さんと一緒に遊びだす。

 それを見て、お姉ちゃんも遊びに参加、お母さんが見守る中で、父子の面会交流ができるようになった。

 こういう場面を見ていると、じーじは、世の中には本当に神さまがいるのかもしれないなあ、とつくづく思ってしまう。

 面会交流では、こんな素敵な偶然がよく起こる。不思議だなあ、と感心をしてしまう。

 じーじはキリスト教徒でもイスラム教徒でもその他の教徒でもないが(?)、世の中にはきっと子どもたちを守ってくれる神さまがいるのだろうなあ、と思う。

 そして、そういう神さまに守られて、面会交流などもできるようになるのかもしれない、と思ったりする。 

 臨床のちからとはそういうことなのかもしれない。         (2023.5 記)

 

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大島亮吉『山-随想-』1978・中公文庫-大正時代の大雪山登山の記録です

2024年11月17日 | 随筆を読む

 2022年11月のブログです

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 大島亮吉さんの『山-随想-』(1978・中公文庫)を再読する。

 ここのところ、大雪山の動画を観ていて、その中にクワウンナイ川という沢を遡る動画をいくつか発見、その沢の美しさに感動したが、以前たしか大島亮吉さんという昔の登山家がクワウンナイ川を遡った本を読んだことがあるのを思い出した。

 それで読んでみようと探したが、例によって、本棚の中になかなか見つけることができず、半月くらい探して(?)ようやく発見、再読をした。

 大島さんは慶応大学の学生だった大正時代に大雪山の山々を登った人。

 当時、大雪山には登山道がなく、沢から登っていたようで、大島さんはその頃、大雪山を研究していた小泉秀雄さん(上川中学校(今の旭川東高)の先生)の登山記録などをもとに登山をする。

 本書の中の「石狩岳より石狩川に沿うて」という一文にその記録が記されているが、大島さんの大正9年夏の11日間にわたる山歩きの記録で、とても感動的だ。

 一行は4人で、まずは松山温泉(今の天人峡温泉)からトムラウシ山を目指してクワウンナイ川を遡る。

 クワウンナイ川の滝の瀬十三丁と呼ばれる川床の描写がとても美しい。

 トムラウシに登頂後、石狩川の源流から石狩岳に登頂、その後、石狩川を下る。

 当時、ここらあたりは奥山盆地と呼ばれ、旭川の近文アイヌの人々がイワナ釣りやクマ狩りに訪れていたようで、大島さんらと彼らとの交流がとても印象的だ。

 大島さんのアイヌへの尊敬の念がひしひしと伝わってきて、こういうすばらしい日本人もいたのだなあ、と感動する。

 その後、大箱・小箱の難所をなんとか通過し、層雲別(今の層雲峡)の温泉に到着する。

 読んでいると、登山や山歩きというよりは探検という感じだが、読んでいるととてもわくわくして面白い。

 こういう人たちの貴重な報告の積み重ねがあって、今があるのだなあ、と思うと、歴史の大切さを感じてしまう。

 なお、本書の中にある「北海道の夏の山」という一文も同時代の十勝川上流の山歩きと川歩きの記録で、こちらにもアイヌの人々が登場し、なかなか感動的である。

 山好きの人に限らず、地理好き、歴史好き、民俗好きの人にも、とてもよい本だと思う。        (2022.11 記)

 

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