弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

事務所開設12年目!
本ブログがKindle本に!「アマゾン 三色眼鏡」で検索!!

動けば、動く。 + 周知ご案内

2016年05月18日 09時06分55秒 | 実務関係(商・不)
おはようございます!
快晴の札幌です。

昨日から出張で来ております。
自分が移動すると仕事も動く、の法則が今回も発動。
にわかに忙しくなっております。
今回はそれも見越して、出張中なのにデスクワークの時間を確保しております(笑)

ま、それはさておき。

ここ1,2年、問題になっている
“手数料払わないで他人の商標を勝手に出願している人がいる”の件、
(特定の出願人です。ここでは具体名には言及しませんが、
 本日現在、個人名義で4740件、法人名義で9145件がヒットします。
 うち何件かはまともな出願のようですが…)
ついに特許庁が公式に注意喚起をしましたね(→コチラ)。

「仮にご自身の商標について、このような出願が他人からなされていたとしても、
ご自身の商標登録を断念する等の対応をされることのないようご注意ください。」

とまで言っている。。しかも、本文では触れていないけれども、不登録事由の条文として挙げているものの中に
「七 公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」
いわゆる“公序良俗違反” まで挙げている。
ここまで積極的なメッセージ発信を行政庁がするのは、珍しいことではないだろうか。


件の出願人のやっていることは、(少なくとも現状は)“違法”ではない。
“違法”ではないけれども、制度の趣旨に背くことであることは間違いない。
本来的に、定められた出願手数料を支払わなかった場合に直ちに却下とすると
出願人に酷に過ぎるため却下前通知を出して救済の余地を残している。
条約上の要請でもある。
少なくとも、先願主義を盾にして瑕疵ある出願を大量に行い、
あまつさえ却下前通知を受ければ分割出願で延命し、
法に詳しくない人間がコンタクトを取ってきた際に食い物にするための制度ではない。

商標制度による保護の恩恵を受けようとする者が、制度の趣旨をないがしろにして
“違法じゃないんだから文句を言われる筋合いはない”というのは、それこそ筋が通らない。
どこかの知事と同じで、開き直るほどに見苦しい。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする